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repray.1
二週間が経った。
彼は、道という道を踏み外した。
能力に溺れ、罪を手が10本あっても足りないくらい犯した。しかし、一切バレることはないのだ。誰にも気づかれないし、疑われない。
それがこの能力に対する、世界の欠点だ。
浩介は大雨の中、屋上にいた。今さっき金目になる宝を盗んだばかりである。屋上とは古典的だが、素人の感性なんぞこんなものだろう。
「警察は弱いなぁ〜ほんと」
浩介はもうあの三輪浩介なのだろうか。悪魔が取り憑いてるかのように、二週間前とは比べ物にならないほど、豹変していた。
浩介は屋上から屋上へ、跳び越えながら走っていた。だが、雨のせいかツルッとバナナの皮でも踏んだかのように滑り、屋上から落ちてしまったのだ。約40mの長さ、ひとたまりもない。
頭から真っ逆さまに落ちる浩介はすぐさま
「戻れ」
*
浩介は真っ逆さまで落ちている。
「え?…戻れ」
*
浩介は真っ逆さまで落ちている。
冷や汗をかいている。
「戻れ」
*
浩介は真っ逆さまで落ちている。
戻らない。いや戻っているのだが…
全て落ちるところから開始するのだ。




