reprey
その日の夜
浩介は顔を真っ青にしながら、家へ真っ直ぐ帰っていた。
会社を退職することになった。いやリストラだ。好成績を収めることができず、会社自体がどんどん悪い方へ行くのも感じてたし、わかっていた。最近気持ちが失せていたのも、そのせいだ。
つまり私がしでかしたのではなく、会社の経費削減によってシュパッと切られたのだ。能力で戻すのは無理。退職金は出たが、職は消えた。
居酒屋から聞こえる人の笑い声、今にも消えそうな点滅している街灯。それらを照らす三日月。全てが、私をバカにしてるような気がした。
フラフラと歩いていたら、黒いジャケットを着た若者とぶつかってしまった。
「すいません」
浩介は落としたバッグを拾い、行こうとしたが…
「んだお前?調子乗っとんとちゃうぞ」
そう言いながら若者が近づいてきた。右耳にピアスをつけていて、ガラの悪い男だ。
最悪だ、人生で一番最悪な目にあった日かもしれない。いや二回目かな?
若者は怒りを露わにし、浩介を右左と交互に殴りつけ、蹴り倒した。
*
居酒屋から聞こえる人の嗤い声、チカチカとうざったい点滅を繰り返す街灯。三日月は雲に隠れようとしている。
そんな街の路地を歩いていたら。1人の若者にぶつかった。
「……」
気にせずそのまま歩く浩介。
しかし…
「んだお前?調子乗っとんとちゃうぞ」
そう言いながら若者が近づいてきた。
振り向くが黙る浩介、ガラの悪い男が殴りかかって来た。
だが、浩介はまるで相手の動きを読んでるかのように攻撃をかわし、男を殴り返した。
倒れ気絶をしている男を見て独り言。
「もう背負うものはない、存分に使おうじゃないか」
列車のブレーキレバーが壊れ、さらに加速を始める。




