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線路はいつか途切れる  作者: 秋村 楼
3/9

pray

世界で私だけが経験した事件、いや一件が過ぎてからちょうど一週間、特に変わったことも無かった。あの黒とか言う男にも、一切出くわさなかった。


窓からは影を一つ残らずかき消すような光が差していた。

浩介はジャムが全面に塗られたパンとコーヒーを机に置き、新聞紙をおもいっきりに開いた。

文面には『事故死!先月に続いて6件!』と書かれていた。


自殺や他殺とかではないのかと疑問に思いながら、コーヒーを口へと運んだ。

「アッチ!考え事なんかしてると他のことを忘れるものだなぁ。」


不機嫌ながらも食事を済ませて、彼は普段着へと着替える、そのまま流れるように玄関へ行き、茶色の靴で外を出た。


決して何か急ぎの用事もなく、先週のせいなのか?それとも奴のことを信用できないのか?

惹かれるように、ショッピングモールの目の前に立っていた。


「なーんで来ちゃったのかなぁ…まあ適当に散歩して帰るか…。」


隣では歩きながら、若いカップルがたわいもない会話をしていた。

「ねぇね、ここにもオープンしたらしいから行きたい〜〜」

「はいはいわかったから」


そんな二人を、目で追いながら、続いて中へと入っていった。


中はほとんど変わらず、例のお店は行列が馬鹿みたいにできてる。店の横を抜け、彼は広間のベンチへ向かった。


しかし、そこには人という人が広間を囲っていたのだ。まるで、パンダがそこで展示されてるかのように、人が群れていた。


「なんかライブでもやってのんか?」

独り言を口にしながら、人々の目先を見つけた瞬間、大きく目を開いた。


3階のガラス柵から子供が今にも落ちそうな所だったのだ。誰にも手をつけられない場所に、その子はいたのである。横には母親らしき女性が、手を差し伸べようとしてるのも見えた。まさに事件だ。


そんなことを理解してないのか、それとも集団心理といえるのか、囲っている人々の中には、スマートフォンを子供にかざしている者や、ただ騒ついて、立ち尽くしている者もいた。


浩介は、善意なのか、正義なのか途端に走り出した。


列車は平常運行中だ。


〜続く〜





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