策略
「そろそろ行動に移しますか」
ロイが、行動を始めたのはロイへの反抗勢力が他のクラスへ拡大し始めたころだった。
まずロイがとったのは平民への対策。
ここで注意したのが家名を使ってはいけないという事だ。
仮にマーキュリー家の名を出せば鎮圧自体はたやすいだろう。
しかしそれでは貴族主義と同じ事をしたという結果が残ってしまう。
それは後に禍根を残す上に、付け入るすきを与えることに他ならなかった。
ではどうしたか。
「明日、中級クラスとの模擬戦を行います」
中級クラスの中でも特に選民思想の強いクラスを選び、模擬選という形で生徒の実力を示すことにした。
この学園の特徴は、下は切り捨て上は押し上げ間は予備軍としているところだ。
故に下級クラスは一つにまとめられ、中級クラスは20近くあり、上級クラスは3つしかない。
しかしこれらの区分わけは絶対であり下剋上はあり得ないとされる程の実力差がそこにはある。
「大丈夫、今のあなた方なら上級クラス相手でも……リリアが出ない限りはそこそこいい勝負ができますよ。
魔術限定ならね」
はっきり言ってしまってリリアは規格外だ。
そんな存在相手に戦えるような育て方は、さすがのロイも知らない。
逆にリアナ達は近接戦こそが売りで、魔術はあくまでも補助に過ぎないため限定としてしまえば彼女たちにもこのクラスの人間なら、戦い方を考えればどうとでもできる。
「それじゃあ、明日に備えて今日は自由行動としましょう。
体を休めるもよし、羽を伸ばして気分を晴らすもよし、勉学に励むも特訓するもよし、僕を闇討ちするもよしです」
最後のセリフは多少声のトーンを落としながら笑顔で言い放つ。
やれるものならやってみろ、と暗に言ってのけたのだがレイナードのように事前に情報を集めていなかった生徒にとって今のロイは魔王よりも恐ろしい存在に見え多。
逆にレイナードのような者たちからしてみたら、あぁやっぱりやばい奴だな程度の表情だったが、それでも威嚇には十分だったのだろう。
ほぼすべての生徒が顔色を変えて、必死に頷いていた。
「では明日を楽しみに待ちましょう。
上級クラスの、一部の化け物が相手でない限りは楽勝です。
頑張ってくださいね」
そう言ってロイは教室を後にした。
次はいくつか仕込みを行わなければならない。
生徒たちのことではなく自分のことで、だ。
「伝書鳩と……客席の用意、あとはご招待をと」
そう言って着々と準備を進めるロイは楽しそうに喉を鳴らすばかりだった。
完結設定 まだ続きます。




