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平凡貴族の日常談  作者: ロイ
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ロイの作戦

「では本日の授業はこれまで、宿題を忘れず、遅刻をせず、また明日の授業に励んでください」


 ロイの授業が終わったのは夕方になってからだった。

 この学園において授業は昼すぎには終わり、残りの時間は個々で自由に学ぶというスタイルが主流だった。

 しかし、ロイが請け負ったクラスは最底辺であり、それに合わせて教師の質も悪かったのか生徒たちは基本さえままならない状況だった、

 それをたたき直し、更にロイなりの方法で必要な知恵をつけていく、そのためにはどうしても長時間の授業が必要となった。

 またルールも厳しくした。

 教室での飲酒、喫煙の禁止はもちろん、異性交遊はフリーの時間で行う事等のルールを設けた。

 するなとは言わない、しかし時間と場所をわきまえろという内容がほとんどだ。

 しかしながら、結果が出ているとはいえそれらの態度は生徒の反発を招く、その事をロイは知っていた。

 知っていてあえて泳がせた。


 まずはロイに対する反抗心を燃やすグループが複数生まれている。

 貴族主義の教員にそそのかされたものもいくつか含まれているが、基本的には教室での行動が制限されたことに腹を立てた者たちの集まりだ。

 逆にロイに好意を抱くものも多数存在する。

 若くして才気あふれる貴族の三男坊というだけでも超が頭につく優良物件だ。

 合わせて育成の才能があるとすれば、それはどんな手を使ってでも手に入れたいという物は少なくない。

 どんな手を使ってでも、だ。


 端的に言ってしまえばロイは八方からあらゆる勢力に狙われていた。

 ロイを失脚させようとたくらむ者。

 それに、強制自主的関係なく加担する者。

 ロイを手籠めにしようとする者。

 ロイを自分の陣営に組み込もうとする者。

 とにかくロイを狙う者は多かった。


 では、ロイはなにをしたか。

 実のところ何もしていない。


 必要なことを教え、必要なことを学び、そしてリリアたちの身辺に気を払う。

 それ以上のことをしようとはしない。

 

 今回の目的は、自分を突け狙う勢力の分布を知る事だった。

 その被害がリリアたちには及ばないように警戒しつつ、敵を見極める。

 この手の駆け引きはリアナ達の方がよっぽど向いているだろうし、兄弟の中でもトリスの方が得意だった。

 だからと言ってそれらの仕事は自分が王に与えられたものに、直接的ではないにせよ含まれているのだから押し付けるわけにも放り出すわけにもいかなかった。


「まったく、面倒事を押し付けるのが大好きな上司を持つと苦労しますよ」


 ロイの愚痴は誰に届くこともなく、目を通していた本の中に吸い込まれていった。

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