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平凡貴族の日常談  作者: ロイ
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尾行

(……3、いや4ですね。

忍び方からするとプロが1人と学生3人……うちのクラスのレイナード君とその取り巻き二人ですか。

自習をさぼるとはいい度胸、といいたいところですが非行と恋は学生の華。

それを落ち着かせるのが大人の役目、ひとまずは様子見にしておきますか)


 わざと足音を立てて見たものの、ここまで連れるとは思っていなかったロイはため息をつく。

 この二週間、怪しまれるような動きをすることで注意を引いて今日は自習にして自由な時間を作る。

 何かしますよと言っているようなものではあるが、そこに食いついてくれたらなと思っていた。

 しかし、これはあまりにもかかりすぎだ。

 入れ食いというレベルではない。


(相手がこちらの想像を上回るバカなのか、もしくは僕が掌で転がされているのか……どちらにせよいい気はしませんね)


 ため息をつきながら教員室に入り、自分用のデスクに腰を下ろす。

 そして引き出しから書類を取り出して一枚一枚目を通していく。

 それは生徒の個人情報の載った書類だ。

 年齢性別指名はもちろん、出身地から得意な魔術、はてはスリーサイズまで記入されている。

 故に、基本的には閲覧許可がないと見ることはできないのだが前もって国王へ閲覧許可がほしいと手紙を出しておいた。

 それはその日のうちに受諾されたが、、学長は良い顔をしなかった。

 学院の最高責任者を飛ばして国の最高責任者に話をつければないがしろにされた感じるのは、当然と言えば当然だろう。

 しかしそんなことに構うつもりもないのかロイはペラペラと資料をめくっていくとある共通点にたどり着いた。

 今回自分を尾行している者たち、前回屋根裏に投げ込まれていた者たち。

 彼らは自分のクラスの生徒であり、その中でもそこそこの魔術的性を有している。

 そして、その身内に何かしらの問題があった。

 例えば尾行者のレイナード、彼の家庭は貧乏ながらに貴族の経営する店の下請けとして日や金銭を稼いでいる。

 ならば、貴族がその店をたたむと言ってしまえばレイナードを始め全員が路頭に迷う事となる。


 他にも身重の姉がいる者、病気の弟がいる者、父親に犯罪歴があり現在も投獄されている者など様々だ。

 おそらく相手はこれらの情報を餌に脅しているのだろう。

 もしくはロイへの敵対心をあおることで、従わせているという可能性もあるが考え始めたらきりがない。


(まぁ、貴族主義の連中がやりそうなことです)


 貴族主義、それは平民はゴミ同然であり貴族は神のごとき存在であるという思想の持ち主のことである。

 この時、貴族のトップを王と考えるか、もしくは王は飾りだとするかで細かい区分がなされているがそれは割愛する。


「…………」


 ふと天井を見上げて、微笑みを向ける。

 それと同時に天井裏にいた気配はどこかへ走り去ってしまった。

 合わせて教員室の外にいたレイナードたちの気配も遠ざかっていく。


「やはり……グルですね」


 微笑んだまま天井を見つめるロイの表情は、今にもウサギを食い殺さんとする獅子のようだった

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