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たいせつな ぬいぐるみ - 外科の新人の歩み -  作者: ぴい


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外科の新人の歩み35 大変な事態と大変なお仕事

 木曜日の夕食を終えて、同僚とくつろいでいると尊敬する地元の先輩から電話がかかってきた。


外科の新人「先輩。元気ですか?。。ええ、私は元気ですよ。。えっ!閉鎖なの。。うん。。ねえ、先輩は家族は?独身なんだ。。そもそも先輩って地元の方なんですか?。。大阪なんですか!ああ、だったら。。この際、こちらに来たら?大阪はそちらよりは近いですよ。。あ〜。先輩、同僚と同じこと言って〜。それなら最高の働き先がありますよ。年明けからなら働けると思う。一度来てみたら?12 月から無職よね。12月に来たらいいじゃない。ええ、また連絡下さい。」


同僚「もしかして、あなたの看護師を目指すきっかけの方?」


外科の新人「そうよ。村の病院が閉鎖なんだって。田舎だから採算合わないのね。」


同僚「何歳なの?」


外科の新人「良く知らないけど。。おばあちゃんの入院の時とか考えたら。10歳も離れてないと思う。30歳くらいかな?また部長面接だな。久しぶりに会えるんだ。楽しみだな〜。」


 

 金曜日の朝を迎えた。外科の新人が朝食を用意する。


外科の新人「体調どう?」


同僚「いいみたい。それにあなたのごはんは最強よ。いただきま〜す。」

 

外科の新人「ねえねえ。彼女、今日早番らしいんだけど。。鍵を渡す?」


同僚「あの子。結婚したら来なくなるから合鍵作る必要はないし。渡したら気を遣って食事作るでしょう?前にみんなで買い物をすごく喜んでいたから、買い物行きましょう。どちらかのナースステーションで待っててもらう?」


外科の新人「そうね。そうするか。じゃあ、行こうか!」


 同僚と別れ外科のナースステーションに向う。


外科の新人「どうした?」


内科の新人「あっ。待ってたのよ!ねえ、今日どうしたら。。」


外科の新人「それなんだけど。終わったら外科か血液内科のナースステーションで待っててくれない?3人で一緒に帰りましょう。」


内科の新人「うん。分かった。」



 朝の打ち合わせが始まる。


外科の新人「婦長。あのー。手術ばっかで。患者さんの様子が見れないから。3時からのは外していただけないでしょうか。」


婦長「それ困るなー。。あっ。部長。手術の担当看護師に苦慮してまして。」


部長「今日は多いからな。」


外科の新人「出来ましたら。3時からのは外していただいて、患者さんの見守りをしたいのですが。1週間出来てないので。」


部長「んー。」


外科の新人「午後一番のを午前に回してもらえないですか?全て部長とペアに変更して頂けるなら。。午前中に3件やります。」


看護師「えーっ!いくらなんでも無理じゃない?」

 

外科の新人「手術内容見る限り難しくないですから。」


部長「いいだろう。3時からの手術を昼一番に変えよう。実は厄介な手術で2時間で終わるか分からないので。」


婦長「では昼一番の手術は私も入ります。」


部長「良し。それで行こうか。」


外科の新人「もう1人の先生。午後空いてますが。」


部長「そんなに詰めれない。救急対応が。。」


外科の新人「あっ。そうですね。すみませんでした。」



 外科の新人は手術に取り掛かると、午前の手術は11時過ぎには3件が終ってしまい、別の手術の応援に入った。


 あまりの手際良さに先生と先輩看護師はびっくりした。あっという間に手術が終わったが、終える前の最終確認だけは、先生を止めてまで全員で確認する。


外科の新人「あの。私、午後の準備と、理事長のごはんの相手ありますから、失礼します。」



先生「あの子って。。あんなに凄かったかな?」


婦長「お疲れ様。いつもは合わせてるからね。部長の時だけ100%よ。今のは近いかもね。」


先生「頼む前に用意されるし。」

看護師「あーっ。みんな片付けてある。」


先生「ウソでしょう!」


看護師「先輩が熱く語ったの分かったわ〜。なんか状況見て内科部長呼び出して、内科部長と外科部長に指示出してたって。。」


婦長「少し言い過ぎね。3人で協力し合ってた。危ないから輸血したがる部長を止めて、最良の方法提案して。。とりあえず私は彼女の汗を拭くだけよ。スーパー看護師分かった?」



 手術室を後にした。


先生「しかし今日は仕事やりやすかったな。」


看護師「あっ。走ってる。」


婦長「廊下を走らない!」



 外科の新人はエレベーターに乗った。


婦長「天気悪いから理事長室か。」


看護師「婦長。昼の手術の用意が終わってる!」


婦長「部長が言ってた。あの子は、働いてないと死ぬ子なんだって。休みの日は彼氏の店を手伝って。。困った子よ。食事にしますか。」  


  

 午後の手術は複雑だったが婦長は補佐に徹し、外科の新人が半分医師の役割で進めると、かなり困難な手術ではあったが、何とか予定通りの時間で手術は成功した。



 内科の新人が仕事を終えてやってきた。


外科の新人「あら。早いわね。」


内科の新人「うん。血液内科忙しいみたいで。こっちに来たの。」


看護師「あら。うらやましい新人さん。私、先生憧れてたけど、振り向いてもらえなかったなー。」


外科の新人「好意は気づいてましたが。。あの押しでは先生は落とせないですね。それに彼女とは歴史が違う。無理ですね。相手が悪すぎました。」


看護師「ねえ。。どうやって落としたの?」


内科の新人「えっ。。あのー。」

外科の新人「いきなり裸になって結婚して!」


看護師「えーっ!。。私。無理。」


内科の新人「もー。。言わないでよ〜。」


 外科の新人は看護師の胸を触る。

外科の新人「あー。私達では無理よ〜。」


看護師「ちょっと!失礼ね。」

外科の新人「彼女の触って。」


看護師「うわっ!。。確かに。これは無理だわ〜。」


内科の新人「も〜恥ずかしいよ〜。」


外科の新人「あっ!時間だ。私、病室回ってきます。」

内科の新人「じ、じゃあ、私も。」


外科の新人「あら。かわいい子ね〜。邪魔しちゃダメでちゅよ〜。」

内科の新人「もう!いじわる。」


婦長「うらやましい2人でしょう。」


看護師「凄い胸でした。」

婦長「あなたの印象はそれだけ?何を見てるかな。しっかりしなさいよ!」 


 外科の新人が来ると病室が次々とパッと明るくなる。


患者「おお、新人さん。やっと会えた。安心して死ねる。」


内科の新人「えっ。」

外科の新人「あなた来週退院でしょう?二度と来たらダメだよ。」


外科の新人「おじいちゃん。元気?」


外科の新人「元気なら右手挙げて。。左手は?ありがとう。」


外科の新人「じゃあ。みなさん。次来るまで頑張るのよ。」


患者「はーい。」



 外科の新人は全力で走る。


内科の新人「どうしたの?」

外科の新人「大腿骨の骨折なのよ。急がないと。」


外科の新人「婦長。306の大腿骨骨折の患者さん。。しゃべらない。右手挙げれない。脳梗塞の疑いがある。」


看護師「そう言えば、無口だったわ。」


婦長「なんで早く。。ダメだ。内科に繋がらない。」

内科の新人「私、行って。。」

外科の新人「いい。もしもし。内科部長。暇?」


看護師「えーっ。」


外科の新人「内科遊んでるのか知らないけど繋がらないの!あのね、外科の患者さんが脳梗塞の疑いが。。大至急対応してほしい。おにぎり3つで手打ちましょう。」


 すぐに内科部長が確認すると、内科で検査することになった。


婦長「新人さんというか先輩。悪いけど。まもなく救急患者が。。手術になったら入ってくれない?」


外科の新人「分かりました。」



 内科の新人の婚約者が出勤した。


婦長「あっ。先生。申し訳ないけど、急患が。」


先生「分かった。」


 急患が運ばれると、よくあるケースだが金属の棒が貫通して吐血している。


先生「いかん。。す、すぐにオペだ。新人。頼む。」


外科の新人「はい。婦長。血液型調べたら手配お願い。とりあえず3袋。あと、外科部長暇なら。。ちょっと。あなた、ベッド押すの手伝って。先生。私が棒を持ちますよ。」


内科の新人「は、はい。」


婦長「分かったわ。」


 血液型はB型と判明して、婦長は手配と連絡をする。


外科の新人「緊急手術です。直ちに全身麻酔の準備を。第3手術室。。ああ悪い。バイタルチェックと先生の汗だけ頼むわ。」


 慌ただしく器具を並べる外科の新人。


外科の新人「麻酔お願いします。」



内科の新人「け、血液が55の48。心拍が不明。」


先生「今血液型を。。」


 血液を吊るすと、針を刺す。


外科の新人「先生。B型の血液準備出来ました。」


先生「えっ!ああ。大丈夫だ。間違いないB型だ。」


内科の新人「えっ。もう準備が。。」


外科の新人「RH+ですね?」

先生「そうだ。頼む!」


外科の新人「輸血開始しました!」


 外科の新人は次の血液を運び、患者を横向きにする。


先生「みんな離れて。レントゲン照射する。」


外科の新人「先生。背中側は。。背骨外れてます。中心から右に約5センチ。」


先生「胃だけかな。肝臓には。。」



 部長が入ってきた。


部長「これは。。いくらなんでも人が足りないだろう。」


先生「部長。助かります。」


外科の新人「胃を貫通して背中に抜けている可能性が高いです。ちょっと棒を保持してて下さい。」


部長「分かった。」



 外科の新人は吸い出し装置と洗浄装置を用意して戻る。


外科の新人「バイタルチェックを読み上げて!」


内科の新人「は、はい。66の49。。心拍71。」


外科の新人「その調子よ。一分おきね。変化あったらすぐに。」

内科の新人「は、はい。」



 すぐさま、外科の新人は、2人の汗を拭くと部長と棒を持つのを代わる。


外科の新人「先生。私が棒を持ってますから、切開を。部長、血液の吸引を。ノズル左です。右は洗浄液です。洗浄液は先が黒!」

部長「分かった!」

 

先生「今から開く。」


 先生が開くと大量に出血する。


部長「ちょっと待て。吸い出す。。よし、もっと開け。」


外科の新人「バイタルチェック私がやる。入口の血液持ってきて。」

内科の新人「はい。」


外科の新人「65の52。心拍68」


部長「かなり危険だ。胃だけだろう?何故だ。」


 吸い出す血液を見て、外科の新人の様子が変わる。


外科の新人「あっ!血液が色が変わった。。部長。ヤバい。動脈です。どこの動脈か。。あっ待って。入れ替える前にコック閉じて。」

内科の新人「は、はい。」


外科の新人「先生。輸血追加してよろしいでしょうか?B型の血液セットしました。」


先生「ああ。頼む。」

内科の新人「開きます。」


外科の新人「もしもし。婦長、輸血追加。3つ。破傷風用洗浄液も。」


外科の新人「61の50。。心拍63。悪くなってます。先生。思い切り開きましょう!まず、動脈を見つけ出して止血しないと解決しません。」


先生「しかし。あまりに危険だ。」

外科の新人「もう既に危険です。やりましょう。私が動脈見つけます。」


部長「それしかない。」 


外科の新人「ちょっと待って下さい。先生が開いたら。部長が吸引して下さい。私が棒を引き抜くから。その後は部長の吸引を私がやりますから部長は。。」


部長「分かった。私が動脈を繫ぐ。」

 

先生「開くぞ。」

外科の新人「抜きます。。部長代わります。血液61の52。。心拍が60。。先程より血色が悪くなっています。あっ!部長、背中側の動脈です。ちょっと、吸引代わって。」

内科の新人「は、はい。」


 外科の新人は走って血管を圧迫して止める器具を持ってくる。


外科の新人「部長。右に置いた。吸引代わるわ。あなた汗を頼む。」



婦長「血液持ってきました。」


外科の新人「婦長ヤバいです。動脈が。出血が止まりません。」


婦長「えっ!」



部長「今、動脈を一旦止めた。時間がない。すぐに繫ぐ。」  



 婦長が部長に付き、道具を渡す。


部長「新人。動脈持ち上げて。下側だ。婦長は上。」


 部長は急いで血管の止血テープを何重にも巻く。


外科の新人「ハサミ右です。」


部長「テープ切るぞ。切ったら血管離せ。」


外科の新人「はい。離します。」

婦長「離します。」


 部長は下の止血クリップを取り、慎重に上のクリップを外す。


部長「どうだ。ダメだとかなりマズいぞ。」


内科の新人「血圧95の78 。心拍90。」


部長「頼むぞ。このまま頼む。」


先生「出血の有無を確認する間に洗浄しよう。」

 

婦長「彼女に依頼されて破傷風対応の消毒液がありますが。最初にそれを。」


外科の新人「部長。待って下さい。まず、背中側を消毒と塞がないと。」


先生「そうだったな。患者をずらすぞ。」


部長「よし、私が下からやる。」

  

 部長は消毒液をかけ、縫うと、ガーゼをあてテーピングした。


外科の新人「出血。今のところ大丈夫ですね。」


部長「このまま3日出血しなければ大丈夫だろう。」

 

外科の新人「先生。胃の中の血液は。。吐血したら、動きで動脈にダメージが。。」


先生「そうだな念のため取るか。。かなり溜まってるな。」


外科の新人「内部の出血は。。」


先生「血圧が安定してるから。大丈夫だろう。」


部長「先生。胃を持ち上げてくれ。裏側を縫う。」


先生「はい。」


 部長は消毒をし、素早く縫うとテープを貼る。


部長「表は任せた。」 


先生「はい。。完了しました。もう大丈夫ですね。かなり危なかった〜。」


 外科の新人が純水で洗浄し、吸引する。


部長「あと少し確認したら閉じるか。」



 皆が安堵する中で外科の新人は器具を片付ける。


外科の新人「部長、閉じて。先生。彼女のフォロー。」



 あまりの緊張感に椅子にへたり込む内科の新人に寄り添う先生。


内科の新人「やっぱりナンバーワン看護師は凄いわね。」

先生「いつもはあんなんじゃないんだ。緊急事態だけはあんな感じなのかな。噂はこれだったのか。。」


部長「えっ?他の先生では違うのか。。」



婦長「部長がいる時は、気合いが違うのよ〜。愛なのね〜。」


外科の新人「ちょっと婦長!ペラペラ余計なこと言わない!」


婦長「はい。先輩。申し訳ありませんでした。」


内科の新人「あのー。いつから先輩になったの?」



婦長「1ヶ月くらい前かな?研修生の最後には気持ちは先輩だったかな。」



外科の新人「先生。ばい菌怖いから点滴はいつものではないほうがいいのではありませんか?」


先生「そうだな。では。。この3つから君が選んで。」  


外科の新人「えっ!。。いや〜、むちゃくちゃ言うな〜。真ん中かな?」


先生「じゃあ。これにしようか。」


外科の新人「そんな。いい加減な。。」


内科の新人「メーカー違いなだけ。全部一緒。」


外科の新人「もー。」


部長「お熱いところ済まないが、先生、指示を。」  


先生「では、片付けて手術を。。えっ!既に片付いてるの?いつの間に。。」


婦長「毎回だけど、誰も気づかないの。」



先生「でしたら、手術を終わります。」


部長「全員いいか。問題になる。彼女は見学しただけ。一切何もしてない。いいな。」

 

婦長「分かりました。」

外科の新人「了解。」

先生「はい。」


内科の新人「でも。。実際、何も役に立ってないし。。こんな臨機応変の手術、私には経験ない。内科はいつも計画通りだから。」


婦長「そうなのよ。内科は花形だけど、外科は超高度なの。いろんなモノを刺して運ばれてくるから疲れるわ〜。」



 手術を終えてナースステーションに戻る看護師達だった。



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