外科の新人の歩み34 不調
ついに結婚に向けて動き出した。晴れやかな気分で病院に向かう。
早番は人が少なく忙しい。素早く処理すると、相変わらず早めに婦長が来ている。
外科の新人「おはようございます。」
婦長「ああ。おはよう。」
外科の新人「体調悪いのですか?」
婦長「いや。大丈夫。ねえ、先輩。」
いきなり泣き始める婦長にびっくりした。
外科の新人「なになに。。ちょっと、待合室に行きましょう。」
待合室に2人で行く。
外科の新人「どうしたの?」
婦長「悩んでるの。」
外科の新人「そう。」
婦長「彼の赤ちゃんが欲しくて。もう。。作ろうかと。」
外科の新人「婦長!全員が幸せになるのですね?」
婦長「そうよね。。無理よね。。」
婦長は人目も気にせず泣き出す。
外科の新人「全員が幸せになるなら産めばいい。それだけ考えて。みんなの幸せ。ただ快楽のためなら、絶対にダメ。自分のワガママなら絶対にダメ。彼には?」
婦長「言ってない。私が1人で悩んでいるだけ。」
外科の新人「ご主人とは?」
婦長「もう。。無理かも。前から冷え込んでて。。浮気してるの知ってた。。だから、私。彼の優しさに。。いっぱい愛すから、家庭はしっかりって約束で頑張って。。でも、もう限界なの。」
外科の新人「そう。辛いわね。婦長は幸せになってもらわないと。」
婦長「私だって。一度くらい赤ちゃん産みたい。」
外科の新人「婦長。今混乱してます。少し落ち着いてから。相談したら?2人で考えて。」
婦長「私。どうしたら。。」
外科の新人「婦長。しっかり!いい?あなたの一番大切な人は変わったんじゃない?一つずつ解決して、信じる道を見つけて進む。でないとダメになっちゃうのよ!婦長。みんな壊れちゃう。あなただけじゃない。私も不幸になるの!」
外科の新人は泣き始める。
婦長「えっ。。あなた。そんなにも。。ごめんなさい。」
2人で抱きしめ合って号泣すると婦長は少し落ち着いた。
婦長「先輩。私。。良く考えるわ。また報告する。ありがとう。」
婦長はお辞儀して戻って行った。何とも複雑な気持ちで待合室に座る外科の新人。頬に冷たい感触が。
部長「大変だな。飲め。」
外科の新人「ああ。ありがとう。。はあ。。最初から?」
部長「そうだろうな。。詳しくは知らないけどな。君は全て幸せな道を切り開いた。彼女は溺れた。。難しいな。彼女らしくないな。相手は知らないけどな。。」
外科の新人「不器用なのよ。不器用なのに。。進むからよ。私のほうが不器用だから、私は慎重に進む。彼女には出来ない。全く聞いてなかったけど家庭上手くいってないみたいね。私、あまり触れたらいけないと思って聞かなかった。。友達として失格だわ。。はあ〜。」
部長「そこまでするのは正しいかは分からない。だが、他人の意見を聞こうが自分で答えを出すしかないんだ。」
外科の新人「あっ!仕事中だった。仕事中にコーヒー飲んで休む看護師なんて1人もいない。新人なのに。」
部長「だが、ナンバーワン看護師だ。他の誰にも出来ない婦長の悩みを聞いている。休憩ではない。」
外科の新人「今日は手術ばっかだ。部長の裁量で、私と婦長のペアを指定してもらえませんか?今日は全部仕事は私がやりますから。婦長の負担を減らさないと。」
部長「分かったよ。」
看護師「おはよう。なに。。朝から休憩?」
部長「いや、重要な打ち合わせだ。手術のな。引継ぎ会議始まる。戻りなさい。」
外科の新人はナースステーションに戻っていった。
部長「人柄だよな。。大変だな。婦長が真剣に先輩と言うとは。。んー。」
先生「部長。おはようございます。」
内科の新人「おはようございます。」
部長「おお。仲いいな。投げ飛ばすなよ!」
内科の新人「もー。彼の前で言わないでよ〜。」
先生「お嬢さん。強いの?」
内科の新人「先生。そんなふうに見えますか?先生。金曜日ね、彼女達の家に泊まるから、会えないの。」
先生「じゃあ。。夜勤交代してもらって金曜日にしようかな。」
内科の新人「うん。」
部長「仲いいじゃないか。」
診察が始まると、外科の新人は婦長とペアで次々と手術をこなす。外科の新人は婦長に何もするなと言い、全て1人でやる。
婦長は1日中考えて、最後の手術を終える。
婦長「先輩。部長。。ありがとう。私、決めました。離婚に向けて話し合います。一つずつ解決していきます。明日からは仕事頑張ります。本当にありがとうございます。」
婦長はお辞儀して出て行った。
部長「吹っ切れたか?」
外科の新人「また悩みますよ。彼女はそういう人。」
部長「しかし、とにかく手術が上手くいくし、早い。君引っ張りだこだろう。」
外科の新人「部長以外の時は、患者さんのことしか考えてないから、そこそこじゃないですかね。先生の指示に従うようにしてますからね。部長、たぶん年明けから。。赤ちゃんお願いすると思います。あの赤ちゃん作るのが目的ではないので。。愛し合って、結果的にですから。。お互い愛し合いたい時は自分から。。その。。もちろん彼優先ですが。。出来やすい日は部長優先です。やがて、赤ちゃん産まれたら。。2番目として。ずっと。。赤ちゃん関係なく。。私はそう考えています。」
部長「分かった。。2番目だが。妊娠しやすい日は一番か。」
外科の新人「奥さま許すかな?」
部長「似たようなこと言ってたぞ。彼女。2人をすっかり気に入ったみたいだ。男の子を産めなかった後悔が、あんなに大きいとは。。ずっと泣いていたし、希望が見えたみたいだ。」
外科の新人「お互い独身で、歳も近かったら。。一番だったのでしょうね。2番が最善なんですよ。それでいいんです。しかし、まさか私より先に彼がこの案を考えてたとは。。」
部長「私のことあまり知らないのに?」
外科の新人「婦長が相談に乗ったらしいの。だから、私は婦長をもっと支えなければならない。」
部長「そうか。早番だろう。帰りなさい。」
外科の新人は部長に抱きつき「愛してる。」と。
外科の新人「やっと素直に言える。幸せ。」
部長「まだ終わってないぞ。」
外科の新人「片付け忘れた?1日中1人でやると、さすがに限界だわ。何を忘れたかな。。」
部長が抱き寄せ「愛してる。」と伝える。
外科の新人はとろけそうになりながら、ナースステーションに戻った。
看護師「あなた。ものすごい手術の回数じゃない。」
外科の新人「いや〜。やっぱり婦長がいたら最強ですね〜。」
看護師「疲れただろう?帰りな。」
外科の新人「お先に失礼します。」
マンションに戻ると同僚が寝ている。
外科の新人「どうしたの!調子悪いの?」
同僚「ああ。。おかえり。。あのね。私。あの生活リズム無理みたい。病院辞めることも考えてる。」
外科の新人「ねえ。12月まで何とかならないかな?」
同僚「どうして?」
外科の新人「まだ内緒の話なんだけど。。部長が病院辞めて開業するの。私、事情があるというか。。あからさまな引き抜きは目立つから。。妊娠を理由で辞めるつもりなの。初期メンバーが足りないはず。あなたなら、部長も大歓迎でしょうね。あちらに移れば生活リズムの問題は解決するわ。」
同僚「それは是非お願い!」
外科の新人「部長。仕事終わり?まだ病院にいるの?ちょっと家に寄れないかな?病院の裏の8階建てのマンション。。そうよ。。あのね、ルームメイトとの約束で男は入れない掟なんだから、貴重な経験だからね?。。ええ、彼も引っ越しの日だけよ。。いい?じゃあお願いね。。えっ。。いや。。ダメよ。。もー、分かったわよ。あ、愛してる。」
同僚「えーーっ!ち、ちょっと。。いや。。えーっ。」
外科の新人「もー。。お互い結婚したら、2番目の約束したの!事情があるから、聞かないで!一番じゃない。2番目。これは彼も承諾してるから。」
同僚「わ、分かったけど。。びっくりした。あれ?体調戻ったみたい。」
玄関まで迎えに行くと部長と腕を組んで入ってくる。
同僚「いやー。。えーっ。。私は、何も見てない。何も。。」
外科の新人「部長。あのね。彼女、不規則勤務が体質に合わないらしくて限界らしいの。だから。部長の第一号の看護師に。」
部長「本当か?こんな優秀な看護師がウチに?是非。」
同僚「年内で辞めます。年明けから働けます。夜勤無ければ大丈夫ですから。元気はあるほうですので。あの。。そのー。。えー。。お二人はいつから。。」
外科の新人「私の片思い。。お互い片思いかな?内科のかわい子ちゃんのプロポーズの日に2番目の約束したから。最近よね。」
部長「そうだな。」
同僚「彼は本当に大丈夫?」
外科の新人「詳しくは言えないけど。3人で話し合ったから大丈夫。」
同僚「あなたは、いつから移るの?」
外科の新人「そこは慎重に。。一番いいのは妊娠を理由に。理事長と仲良くなったから。体裁悪いのよ。」
部長「内科の子も結婚したら、いずれは。。圧倒的に優秀な3人が抜けるんだから。。まあ、いろいろあるかもな。」
同僚「私、本当に悩んでたから。ありがたいです。よろしくお願いします。」
外科の新人「はい。決まったから帰って下さい。」
部長「いや、冷たいな。」
外科の新人「男子禁制なんだから。それに、ごはん食べたら奥さまに怒られるんでしょう?」
部長「まあ。確かに。。じゃあ帰るか。いや〜。ありがたい話だ。」
2人で部長を見送ると、外科の新人が夕食を作る。
外科の新人「ねえ、今週早番らしいから、金曜日泊まりにくるって。私達通常勤務だからね。」
同僚「久しぶりに来るか!初体験聞くか!」
外科の新人「結婚までしないらしいわ。」
同僚「へー。あの子我慢出来るかな?」
外科の新人「さあ?」
しばらくぶりの2人の楽しい時間になったようだ。




