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22 合流

「オラどけぇっ!!」


 未だ呆然とする主上から離れつつヨシュアたちを援護するために、ローデーモンの背中にドロップキックをぶちかます。


 体格差から考えて揺らぎもしないと思ったが、思いの外吹っ飛んで床を跳ねて転がっていった。


「ヨシュア、カティア、ミシェル、フローラ。それに、ユングフラウにカタミミたち。来てくれてありがとな。もうダメかと思った」


 全力パンチでデーモンを吹っ飛ばしながら、《仲間》に礼を言う。


 ……ちょっと照れくさい。


「カリン。きみが無事で、良かったよ。本当に」


 笑顔を見せてくれながら、縦横無尽に剣を閃かせ、瞬く間に数匹のデーモンを斬り捨てるヨシュア。

 まさに、勇者さまって感じだ。


「素手でデーモン、吹っ飛ばすとか、正直、引くわよ。すごい馬鹿力ねっ」


 槍の一撃に必殺の威力を込めてデーモンを貫き、燃やし尽くすカティア。

 ほとんど爆発するみたいにデーモンが焼き尽くされてて、派手派手だ。


「驚くほどのパワーだな! 今度時間があれば、力比べをしよう!」


 全身鎧を着込み、大きな剣と盾を持ちながら、竜巻のように激しく、舞姫のように華麗な円舞でデーモンを傷付け、攻撃を防ぎ、躱(かわ)し、逸らし、時おり仕留めて、場を乱し隙を作っていくミシェル。

 装備が一番重そうなのに、一番身軽そうに動き回ってる。


「ご無事でなによりです。思いの外、取り巻きが強くはありませんでしたが、あのグレーターデーモンは間違いなく強いです。お気をつけて」


 杖の先端に光の刃を生み出して槍のように扱い、デーモンを斬り捨てるフローラ。

 最小限の動きで最大限の結果を出してる感じがすごい。


 荒ぶるユングフラウと、その周囲を守るオオカミたち。

 カティアの召喚した燃え盛る虎に、ミシェルの召喚した幻影の騎士たち、フローラの召喚したヒト型の光。


 それぞれが、立ち位置に気を付けながら、それぞれを守り、支え、戦っていた。


 40いたローデーモンも、その力を発揮することなく、次々と倒され身体の一部を残し消えていった。


 あとは主上だけ。立ち直る前に一撃食らわせようと、アイテムボックスから石を《出庫》して、力を込める。

 神の祝福を石に込めるやり方は、なんとなく分かった。

 体の血の流れを意識して、そこに魔力を乗せて循環させるイメージに加えて、手の熱が石に伝わるような感じで、循環させた魔力を石に送るイメージ。


 イメージがしっかりしているほど、石に魔力が乗るのが感じられた。


「……オッ……ラァっ!」


 全身の動作から生み出される力が、全部石に乗るようにして、投げる。


 神の祝福によって、デーモンにも致命傷を与えた投石に、さらに魔力を乗せた一撃は、主上の体にめり込む。……が、


『それも、神の祝福の成せる業か。なれば、致し方あるまい。理解できぬものを理解しようとしても時間の無駄。なれば、神の使徒を贄に捧げ、女共は僕(しもべ)を増やす苗床にしよう』


 主上が語り出せば、めり込んだ石の動きが止まり、さらさらと崩れて砂のようになった。


『ここは我が領域である。家畜どもよ、その身その命その魂を贄として捧げよ。さすれば我と共に永遠を生きるであろう。《サクリファイス》』


 デーモンたちに凌辱され、息も絶え絶えだった村の女たちは、生命力と魂を奪い取られて、ミイラのようになってしまった。


「……なんてことを……」


「お前! その女たちだって、お前の村の仲間じゃなかったのかっ!?」


 オレたちが命を奪い取られなかったのは、神の祝福があったから。


 女たちの命と魂を奪い取った主上の力が増すのが感じられた。


『この村に住まう者共は、すべて等しく我の家畜である。屠殺して肉を食らい、皮で衣を縫い、纏う。それは、人間共もやっていることであろうに』


「……この……っ!」


「カリン、その怒りは、至極真っ当なものだよ。……そんな風に、カリンの両親も殺したのか?」


 怒りに任せ主上をぶん殴ろうとしたところで、ヨシュアが前に出てくる。

 冷静なようでいて、そばにいるだけで鳥肌が立つような激しい怒りに、落ち着くことができた。

 そして、強大な力を持つ悪魔が目の前にいるというのに、なんだか嬉しくなってしまう。

 オレの両親のことを、オレと一緒に怒っているという事実が、ありがたくて。


『手を尽くしても手に入らぬのであれば、逃がしたり、他の者が手にする前に、壊してしまえばよかろう? そうすれば、誰も手にすることができなくなるでな』

 



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