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21 仲間

「カリンっ!!」


「助けに来たわよっ!!」


「無事か!?」


「ここにも、デーモンが……」


 ヨシュアが、カティアが、ミシェルが、フローラが、建物のドアを破って突入してくる。


「ヨシュアっ!!」


 心を蝕む闇をはね除けて、叫ぶ。


「カリンを、返してもらうぞ」


 ヨシュアが剣を向ける先は、主上と呼ばれたモノ。


「グレーターデーモンね。こんなところで引きこもっているなんて」


「大物だ……。心が震えるな……。強敵と対峙した歓喜で!」


「まずは、数を減らしましょう。『彼の者の威光よ、今一度、世界を照らしたまえ。《聖霊召喚》』」


 フローラが、人の形をした光を召喚すると、聖霊の放つ光で闇が払われ悪魔たちが怯んだ。


「私もいくわ。『精霊よ、我が意に応えたまえ。《精霊召喚》』」


 カティアが、燃え盛る虎を召喚すると、ヨシュアたちを守るように纏わりつく炎が、いっそう強くなる。


「出し惜しみは無しでいくぞ! 『今ここに、かつての幻影を。《英霊召喚》』」


 ミシェルが、槍を持ち全身鎧を着込んだ兵士の幻影を何体も召喚すると、即座に前進を開始する。


『我が(しもべ)どもよ。勇者を討つのだ。さすれば、更なる力を与えよう』


 女たちに群がり凌辱していた、下位の悪魔ローデーモンが、主上の声に応えヨシュアたちに向かっていく。

 その数、40以上。

 そう広くない建物を埋め尽くすような下位悪魔の突進は、主上の側で動けずにいるカリンから見ても恐ろしいものがあった。


 しかし、ヨシュアの剣に、カティアの槍に、聖霊とフローラの放つ光に、燃え盛る虎の爪と炎に、幻影兵の槍によって、斬られ、貫かれ、焼かれ、滅ぼされていく。


 わずかな時間で、10あまりの悪魔が身体の一部を残して消滅していく。


『……むっ? 我が僕の魂が、戻らぬ?』


 神の祝福と光の加護によって、悪魔の魂が主上の元へ還れず消滅していくのを理解した主上は、動揺をみせた。


「カリンっ! ユングフラウが導いてくれた! オオカミたちが力を貸してくれた! きみを助けるために!」


 先ほど行く手を阻んできたレッサーデーモンより、更に強い力を持つローデーモンは、闇の加護により、物理攻撃にも魔法攻撃にも高い防御力を持つ。それが40もいれば、1000の兵も蹴散らすだろう。


 しかし、勇者の力を解放したヨシュアの一撃は、デーモンの防御力を紙のようにたやすく斬り捨てる。


 炎を纏ったカティアの槍も、光の加護や精霊の力によって増幅され、デーモンの守りを貫き、内側から焼き尽くす。


 ミシェルが光の柱に包まれ、周囲の悪魔の意識を根こそぎ自分に向かせる。

 全方位からの攻撃を、竜巻のように回転しながら、剣で、盾で、時には鎧で、斬り伏せ、逸らし、受け止め、(かわ)し、弾き飛ばしていく。


 3人の猛攻を、フローラと聖霊が光の魔法で的確に補佐し、仲間たちを支える。


 そんな中、カリンは足手まといにならないように息をひそめ、身体の状態を確認しながら主上の側から少しでも離れるべく動こうとした。……その、矢先。


『勇者どもよ、そこまでだ。そこから一歩でも近づいたなら、この娘を殺す』


 両腕を、左右二本ずつ計4本ある主上の腕に掴まれ、掲げるように持ち上げられる。

 腕を拘束されたまま床から足が離れ、身動きできなくなってしまったカリンを見て、ヨシュアたちは、動きを止めてしまう。


 それを好機とみたローデーモンたちに囲まれ、すり潰されそうになったその時、入り口から、傷だらけのユングフラウがいななきながら突入してきた。


『バカな。ただの馬が、何故? ヤギは、我のヤギはどうした?』


 主上が、動揺する。馬が、入ってきたという事実だけで。


 外から馬が入ってきたということは、外に放っていたヤギ……つまり、レッサーデーモンは、全滅したということになる。


 勇者たちは、最短距離を最速で突破してきたと考えていた主上は、少しの時間があれば、残ったレッサーデーモンとローデーモンとで挟撃できると考えていた。


 しかし、外にいるはずのレッサーデーモンからは反応がなく、馬が突入してくるという事態に、思考が停止した。


 その隙を突き、窓を破って突入してきた森オオカミのカタミミが、カリンを拘束する腕に噛みつき、そのダメージで拘束を解いてしまう。


『……なんだ? ……何が起きているのだ? たかが馬が、レッサーデーモンを倒し、たかが森オオカミが、我に傷を付けるだと?』


「サンキュー、カタミミっ! ……ドラァッ!」


 不測の事態に動揺する主上に構わず、解放されたカリンはローデーモンの背中に向けて全力投球した。

 普段使わない、かなり大きいサイズの石を、全力で。


 ヨシュアによる神の祝福と、フローラによる光の加護を受けたユングフラウと共に戦ううちに、仲間認定されたのか、森オオカミたちにも神の祝福と光の加護が宿っていた。

 そのうちの一頭であるカタミミが、カリンに近づいたことで、既に仲間認定されているカリンにも祝福と加護が宿り、ただの投石が魔を祓う一撃になっていた。


 結果、石はデーモンの体を貫き、消滅させたあと、ヨシュアたちに当たる前に、その役目を終えて勢いを失い床に落ちて転がった。



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