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11/25

11 午後の森で

 川魚とオーク肉の串焼きに使った岩塩を採取した場所を見てみたいとのことなので、予定変更して川の上流の方へ。

 ちょうどいいので、畑にも寄る方向で考える。

 川の上流に進むにつれて、次第に上り坂が多くなり、標高が高くなっていく。

 しばらくすると見えてくる急な上り坂を上りきると、平坦な場所に出て、森が途切れて視界が開ける。


 そこに広がるのは、狩人だった父が見つけて母が結界を張りオレが維持してきた、野菜畑。


 これまで、母の結界を維持するために、畑の外周に配置されている、結界の起点になる大きめの石一つ一つに魔力を注いできた。

 両親が他界して、一人になってからも、ずっと。


「カリン、きみは、すごいな。この規模の畑を守る結界を維持しているなんて」


 ヨシュアの感嘆の声に、ため息を一つ。


「からくりがあるんだよ。……家の結界もそうなんだけれど、オレが15歳になって成人するまでの期間しか効力を持たず、それ以降は自壊するように組み上げられてるから、その分強力にできてる。……オレの母親は、オレに、よほどあの村にいて欲しくないらしい」


 思い出の詰まった住み慣れた家を、いずれは出ていけと、親から何度も言われていた。

 その時々に感じた複雑な想いがよみがえり、どうしても苦い顔になる。


「稼働する期間に制限をかけることで、強力な結界に、ですか……。カリンさんのお母様は、素晴らしい技量の持ち主だったのですね」


 魔法を得意とするフローラが純粋な気持ちで称賛すれば、オレのことを精一杯愛して育ててくれた自慢の両親のことだから、やっぱり嬉しい。


 ……でも、やっぱり、寂しいな……。


「カリン、大丈夫?」


 心配そうな表情のカティアに肩を揺すられて我に返る。

 今は、お客を案内している最中なんだっけ。


「うん、もう、大丈夫。……結界の期限はあと数日だから、今収穫するともう畑は使えなくなる。だから、収穫手伝ってくれるか?」


「ああ、もちろんだ。……だが、野菜の収穫なんて初めてだから、やり方を教えて欲しい」


 とても良い笑顔で、素直に教えを乞うヨシュア。


「岩塩の採取の方が……ううん、なんでもない。手伝うわよ」


 資源としてより価値の高いものを優先したい雰囲気のカティア。


「力仕事なら、任せて欲しい」


 これがメシに変わるんだよな。って呟いたら、めっちゃやる気出したミシェル。


「これなら、私もお役に立てそうです」


 畑仕事は経験者なんだろう。ふんすとやる気満々で法衣の袖をまくるフローラ。



 畑の規模は、オレの足で100歩どころじゃないくらいの広さがある。


 本来の目的とは違うだろうけどさ、ありがたく、こき使わせてもらうぞ。



 ちょくちょく休憩をはさみながら、4人が収穫した野菜を次々とアイテムボックスに《入庫》していって、全部収穫する頃には空が茜色に染まり始めていた。



「お疲れさま。ありがとう。助かったよ。……さて、次はどうする? 家に帰るか? 岩塩を見ていくか?」


 ねぎらいつつ、果実水の入った木のコップを配って水分補給にしてもらう。


 ここから家に帰れば、途中から真っ暗だ。明かりがないと歩くのもおぼつかなくなる。

 対して、このまま岩塩を見に行けば、洞窟になっているので、雨風しのいで夜を明かすことはたやすい。

 食料はアイテムボックスにたくさんあるし、汗や汚れは魔法できれいにできる。屋外で眠るための寝具もまた、アイテムボックスにある。

 森は夜に活発化する魔物が出るが、岩塩の洞窟なら、入り口に結界を張れば、よほど強力な魔物以外は入ってこれない。


 オレがそこまで言えば、4人の方針は固まったようで。


「せっかくだから、このまま岩塩のところまで行ってみよう」


 ヨシュアの言葉に、カティア、ミシェル、フローラの三人はしっかりとうなずく。


「じゃ、こっち。……たぶん、結界の外にそこそこの数居るな。陸も空も」


 魔物の気配を感じ取り、警戒を促せば、


「ゴブリン、12。レイブン、5。ファングボア、1。……それから、離れたところに森オオカミが4。少し放置すれば乱戦になって数を減らせますが?」


「ファングボアは、良い状態で仕留めると肉が結構美味いぞ。毛皮も採れるし、ゴブリンに荒らされたくないな」


 索敵魔法を使ったらしいフローラの提案にちょっと抗議してみれば、


「森オオカミの動き次第だけど、ゴブリンとボアはおれたちでやろう。カリン、すまないが、大カラス(レイブン)を落としてくれないか?」


「任された」


 急降下して攻撃するレイブンの爪やくちばしで傷付き仕留められていくゴブリンと、そこに遠慮なく突っ込んで行こうとするファングボア、それを追いかける森オオカミという構図。


 まずは、遠距離攻撃で露払い。

 投石でレイブンを落としていく。そうすることで、空という死角からの攻撃に気を割く必要がなくなる。


 空からの攻撃がなくなれば、次はヨシュアが、カティアが、ミシェルが、フローラが、ゴブリンに向かっていって、斬って、突いて、殴って、混乱から復帰していないゴブリンを次々と倒していく。


 そこへ突撃するファングボアは、手が空いたオレが投石で頭を砕いて仕留める。


 森オオカミたちは、不用意に近づいてくることはなく、距離を保って警戒している。

 よく見れば、馴染みのカタミミだったので、ゴブリンを倒し終わってからレイブンを引き取ってもらう。

 ファングボアはこっちで確保させてもらうけどな。


 しっかりと獲物を得たオオカミたちが去ったことで、戦闘は終了。ほんの数分のできごとだった。



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[一言] TUEEE!!!!
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