10 河原
「とりあえず、ここら辺でメシにしようぜ」
森を分断する大きな川に着いて、4人に声をかける。
太陽の位置は頂点に達するところだ。つまり、そろそろ昼時。
投てきに適した手ごろな石ころを拾って《入庫》しつつ、大きめの石でかまどを組んで火をおこす。そして、アイテムボックスから《出庫》した鍋をかまどに置いて、スープを温める。
アイテムボックス内に保管していた川魚を木の串に刺して塩を振り、かまどの周りに刺して焼く。
「あ、塩? 行商から買うのかい?」
「いやー、岩塩? 川の上流の方に採取できるところがあるぞ?」
オレの握りこぶしよりも大きな塩の固まりを《出庫》して見せる。
「せっかくだから、これも焼くか」
串に刺した肉を《出庫》して、魚と同じように焼く。
「わ、何でも出てくるわね。それなんの肉?」
「何でもは出てこないぞ? あるものだけな。これはオーク肉。村の連中には内緒な? 村長が言うには、ゴブリンはどこにでもいるけどオークはこの辺りにはいないって話だから」
「ふーん……」
自分で聞いておいて、串に刺さった豚肉……オーク肉……が焼けていく様子に興味津々なカティアに、内心呆れてしまう。顔には出さないように気を付けているが。
「……魔物が接近中。……数は、4……6です」
「ああ、たぶん大丈夫だぞ」
フローラの言葉に、魚の焼き具合を確認しながら気楽に返事をする。
こっちが警戒すると、向こうも警戒するからちょっとやめて欲しいんだよな。武器を構えるのとかはさ。
「よう、そろそろ来るかと思ってたぞ」
姿を現したのは、片方の耳が欠けた馴染みの森オオカミ。
今日はどうやら、群れの連中も連れてきたみたいだ。
てか、はぐれものの一匹狼じゃなかったんだな。
「んー、獲ったばかりのクロウモンキー2匹でどうだ?」
先ほど倒して《入庫》しておいた爪猿を《出庫》して、目の前に置く。
すると、群れのオオカミの1頭が前に出てきて、口にくわえていた魔物の力の核となる魔石をぼとりと落とす。
「……えっと、もらっていいのか?」
特にリアクションもないまま、こちらというか魔石をじーっと見つめるオオカミたち。
やりづらさは感じるが……。まあ、くれるっていうならもらっておこう。
「ありがたくいただくよ」
ちょっと唾液で濡れてるっぽいところは気にしない方向で。
「ああ、そうだ。せっかくだから焼きたてを食っていけよ」
川魚とオーク肉の串焼きの、塩を振ってないやつを、串から外して皿に盛り付けて地面に置く。
それを、オオカミの数だけ用意して、
「ほら、食っていいぞ」
と促せば、群れのリーダーっぽいカタミミ……片方の耳が欠けてるから、カタミミ……が、なんか驚いた顔をしてから、皿1枚分をペロリと平らげた。
リーダーが食べ終えるのを待っていたのか、他のオオカミたちも遅れて食べ始める。
仔犬、じゃなくて、仔オオカミは、あっという間に食べ終えてしまって、名残惜しそうに皿をペロペロやっていた。
仔オオカミはそんな様子も可愛いのだが、親っぽいオオカミに首の後ろを噛まれて持ち上げられると、悲しそうに鳴いていた。
オオカミたちが去ったあと、ヨシュアたちと一緒にいたことを思い出して、謝ってから食事にした。
しっかりと焼けた川魚は、内臓を抜いているので腹を下す心配も少なく、尾びれまで食べられる。
オーク肉は固めだが、脂が乗っていて旨味も十分。肉を食った! って感じがして、満足感がある。
ヨシュアたちも、野外の昼食を気に入ってくれたようで、終始笑顔で味わっていた。
川魚もオーク肉も、スープも完食。
用意したオレも、給仕しながら食べて焼き加減とか確認。
自分で言うのもなんだが、良いできだったよ。
……あ、魔石、結局10個以上持ってきてくれたみたいだ。
なんか籠みたいなの渡しておいたら、もっと持ってきてくれるかな? なんて。




