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シンカータイカー   作者: よぐると
ファストクルステ編
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第87話 命脈族

 地下の地下に落ちたリテル達は意識を失い、ゼヴァとセバスチョーが動けた状況だった。

 二人は地下に住む「命脈族」という不思議な生き物と出会った。

 命脈族は人と友好的で、リテル達を瓦礫から救ってくれた。

 


 リテル達が運ばれた先は命脈族の巣のような場所だった。

 その巣は土や黄土色の石で積まれ、大きく広い建造物を地下に構えていた。


 まるで地下に王国があるみたい。


 そこではセバスチョーと同じように治療ができる土鐸兵(どたくへい)というまた別の種類の命脈族が待機していた。

 リテル達は土鐸兵に受け渡され、淡い緑の光で照らされ始めた。


 ゼヴァとセバスチョーはその様子を見守るが、なんとも不思議な様子だった。

 突然出会って、急に仲間になって、すぐに助けてくれる。

 友好的すぎて逆に怪しくなってくる気持ちが浮かんできた。


 ゼヴァは聞きたいことがあって待ちきれずに聞いた。


「命脈族のその治療は何?魔法?」


 土鐸兵はこもった声で優しく答えてくれた。


「これは生命の力。我々と人間に共通して持つ力です。

 人間には治癒の効果、我々には命を授けてくれます。」

「そんな物を使っていいの?」

「我ら、土鐸兵が作っているので心配しないでください。

 そして、なによりも我らより仲間を心配してください。」


 と話が終わると、くるりと体を元に戻して治療を再開した。

 また沈黙が始まるな、と思っているとリテル達を助ける途中で不運にも殻を割った気が抜けた奴が土鐸兵に治してもらっていた。


 殻には痛覚がないだろうに、まるで自分の体のように治療してもらっている。

 小さめの穴はすぐに治り、おそらくこの治療する場所であろう部屋から出て、仲間の中へ消えて行った。


 ゼヴァは岩に座っている。その隣で、頭鐸兵も静かに立っている。

 彼らには光が必要がないのか、光る虫が舞っている頭鐸兵の場所以外に光が見当たらない。

 外でウロウロと光っているのは頭鐸兵のいる所だろう。

 光はなくても、土器が擦れたり、歩いたりする音は聞こえてくる。

 寂しくはなかった。


 少し経って、一番に目覚めたのはシャッツだった。

 体を起こし、首だけで顔面の目の前にいる土鐸兵、光って唯一見える頭鐸兵を見る。

 ゼヴァは一安心、立とうとした時。


「あー、もうダメだ俺。死んだ。」


 シャッツは腕を顔に乗せ、再び目を瞑り、横になった。


 土鐸兵は振り返り、無表情な柄のまま告げた。


「気絶しました。」


 ゼヴァとセバスチョーはしまったと思った。

 流石に気絶からの目覚めにこれは心臓に悪いか。


 次に起きたのはカイ。

 シャッツと同じように、目を細めて辺りを見渡す。


「なんじゃ!おどれら!」


 意識が正気になると、すぐに立ち同時に刀を抜く。


「カイ、落ち着いて!」


 ゼヴァはシャッツと同じように気絶しないように、カイに言う。

 ゼヴァが岩に座っていて、敵に捕まっている訳ではないとわかると刀を納めた。


 カイは土鐸兵に治療されているシャッツ、サイダン、リテルが横になっているのを見る。


「どういう状況じゃ?

 こいつらが助けてくれたんか?」


 ゼヴァは頷く。

 カイは改まって、得体の知れない生き物に礼を言った。


 カイは平たい岩に座り、ゼヴァに言った。


「にわかには信じられない。じゃが、これは現実で、こいつらは味方か。」

「私達を瓦礫から助けてくれたんだよ。

 それに傷の手当もしてくれた。」

「それはありがたい。」


 カイは部屋の外を見ている。

 ここがどんな場所なのか知りたいのだろうか。

 一人で外を覗きに少し出て行った。


 カイの後にリテルが起きる。

 ゆっくり視界が明るくなってくると、目の前に不気味な柄がじっと見つめていた。

 驚く拍子に叫ぶ。


「埴輪ーー!」


 体が固まった後、少しずつ冷静になり、動けるようになる。

 そして自分が漏らしたハニワという言葉に違和感があった。

 ハニワ・・・。聞いたことがないのに、訳わからず口から出てきた。

 ゼヴァもそれを不思議に思った。


「ハニワってなに?」


 笑いながらリテルに聞く。

 もちろん、自分でもわからない。



 そして次に起きたサイダンも命脈族に驚いていた。

 2度気絶したシャッツも遂に起きた。


 落下してきたのが嘘みたいに傷や痛みはなくなっていた。


 目を丸くして今を見ているリテル達は命脈族のリーダーに会いにいくように土鐸兵に言われた。

 途中でカイを拾っていき、指示された場所へと足を運ぶ。

 

 建てられているのは全て石でできていた。

 人と同じように地下で文明を築いていた。


 リテル達は大きな岩の建物の中へ入ると、一番高い場所に命脈族のリーダーらしき生き物が座っていた。

 他の命脈族と違い、リーダーは背が高く、白みがかった赤の殻で、人の形に似ていた。


「お待ちしておりました。

 我々は命脈族。そして命脈族の頭“ホラクゥイーン”です。」


 ホラクゥイーン・・・。実に奇妙な姿だ。

 リテル達は間抜けな命脈族とは一線を越える不気味さを感じている。


「我々、命脈族は遥か昔から地脈族という敵と争いをしていました。

 命脈族は生命の化身、地脈族は大地の化身。

 互いの思想を持つ者です。」


 リテル達は静かに話を聞く。


「我々の目的は争いを終わらせること。

 そしてこの終止符は貴方達の力が必要です。」

「争いで暴れればいいってことか?楽しみだ。」


 シャッツは意気揚々に肩を回す。


「いえ、戦いには参加してほしいのですが、貴方達の役割は終止符です。

 戦いを終わらせるために地脈族の頭“ヒエラルキング”を説得してほしいのです。

 彼は我々のように場所を構えているのではなく、各場所を転々としています。

 一筋縄に見つかるわけではありませんが彼と出会い、話をつけてもらいたい。」

「でも、戦わないとそいつに辿り着けないわけだろ?

 俺達も戦うぜ。」

「ありがたい。

 では、歩きながらこの場所をご説明させてもらおう。」

 

 ホラクゥイーンは玉座を立ち、リテル達を先導し始めた。


 建物の階段を降りてすぐ、1匹の命脈族が走ってきた。


「ホラクゥイーン様、西に小団の奇襲です。」


 奇襲報告をしてきた命脈族は慌てた様子もなく、西へ走って行った。


「西へ共に来てくれますか?」


 リテル達は聞かれるまでもなく西へ行く。

 その先では命脈族と地脈族がすでに戦っていた。


 戦闘で戦っているのは、近距離戦を得意とする交戦兵。

 素早い動きで敵を偵察、翻弄させる斥候兵が前線にいた。


 リテルは敵を見た際、土偶・・・と声が漏れた。

 また自分でもわからない単語だった。

 

 リテルが土偶と声を漏らしたその地脈族は同じように近距離戦が得意な武戦兵。

 硬い盾を二つ持つ双盾兵。そして一番厄介と言われるのが機転兵が並んでいた。

 機転兵は自爆特攻で前線を崩してくる。


 ちょうどその機転兵が前線へ走り、爆破する。

 爆破する寸前、またこちら側の一人の兵が機転兵へ走っていく。

 周りにいる交戦兵は逃げるのに対してその兵だけは躊躇せず機転兵に近づいた。

 誰もその兵を止めることなく、丸い青緑の盾を構えた。


 盾を構えたその兵は爆発に巻き込まれる。


 共倒れに思えたが、爆煙の中から敵陣に爆発が起こった。


 身を粉にして盾を持っていたその兵は鏡兵(きょうへい)と呼ばれる銅鏡を持つ兵。

 銅鏡は地脈族の「大地の力」を反射できるそうだ。

 だから爆発から後ろの兵を守りながら、爆発を反射し、敵陣を爆発させた。


 今の爆発で敵の数はかなり減った。

 しかし敵は退いたり、弱さを見せることはなかった。


「やはり、“大地の力”が強くなってきている・・・。」


 ホラクゥイーンは兵を見渡しながら声を漏らした。


「貴方達はあのような戦場に参加してくださるのですね?」


 先程の爆発に呆気を取られていたリテル達はすぐに頷けなかったが、リテルは覚悟を決めて言った。


「これが人類の助けになるんだな?」

「ええ、なりますとも。」

「なら参加する。」


 リテルがみんなを振り返る。首を横に振る仲間はいなかった。


「我々は貴方達の実力はまだわかりません。

 この戦場で最後の判断を見極めてください。

 貴方達がこれから参戦する戦いを。」



 兵が自分の役割をしっかり理解し、攻める時は全力で、守る時は敵を伺いながら行動している。

 長い間、練られた集団の動きは誰一人として見捨てる行動はない。


 対して、地脈族は身を犠牲にしてでも攻めに積極的だ。

 激しく爆発したり、激突したりしている。


 その激闘の中、押され気味の命脈族の重装兵が声を上げた。

 重装兵は硬い殻を身に纏う兵で、長い槍で先陣で戦っている。


「我に続けー!!」


 重装兵が槍で双盾兵を突き刺すと、激しい電光が槍先で生じた。

 次の瞬間には双盾兵が粉々に姿を消していた。


 その後も続いて、槍の電光が地脈族を倒し、陣軍に穴を開けた。

 その機会を逃さずに後ろから、交戦兵、鏡兵、鐸兵などが穴を広げながら優劣を逆転させた。


 戦場を見ていたリテル達はその重装兵に感嘆する。

 シャッツのように前へ飛び出し隙を作るが、統率も取れる戦場リーダーだった。


 電光を使うのは雷の波紋を持つ重装兵のサージ。

 

 そしてそのままサージを筆頭に戦場を有利に進めて、決着がついた。

次回の投稿時間を変更します。

午後8時〜9時の間で投稿しようと思います。

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