第86話 人類との対面
リテル達は地下へ落ちた。
3枚の木の葉がひらひらと舞い落ちる。
光の一つない真っ黒な世界にゼヴァ一人だけが動く。
瓦礫からスルリと液状の状態で抜け出し、瓦礫を振り返ると中でほんのり光っているのに気がついた。
地下だった建物はすでに光が消えていて、その中で光っていたのはすぐにわかった。
「アブナーイ!!」
セバスチョーが瓦礫を吹き飛ばして、登場した。
そしてすぐにゼヴァの後ろに飛んできた。
ゼヴァがセバスチョーの危ない物を目にした時、信じられない奇妙な物が静かに立っていた。
獣のような鋭い牙、大きな体を持ち、禍々しいオーラを放つ・・・。
というわけではなく薄暗い闇の中で、三つの穴が空いた赤みのある茶色の焼き物がポツンと立っていた。
それの表情は何一つわからない。少し間抜けにも見える。
しかし、それは青緑色の丸い盾を構えながらゆっくりと近づいて来る。
無表情ゆえの怖さが二人を襲う。
人ではなく、手足は真っ黒。地下の妖精?生き物?
チック・ザ・マンの子供みたい、と例えると似ているかもしれない。
ゼヴァとセバスチョーは身構える。
セバスチョーの少し手前でそれは止まった。
数秒、それの目にあたいする穴と目が合う。
中は真っ黒で何が入っているのかわからなかった。
それはゼヴァを見上げた。
「人か?」
と一言、ゼヴァに向かって問いかけた。
その声は男性でも女性でもなかった。中性的な感じ。
ゼヴァはそれの言葉に対して、うん、と短く返事した。
そしてまた、それは問いかける。
「人は自然にどう思う?」
人が自然に抱く気持ち?ゼヴァはよくわからなかった。
極獣の怖い印象と、ロス・ガデーンズ王国の華やかな森を思い出す。
質問にそれなりに答えた。
「怖いけど、優しいよ。」
「ならば、人はその恐怖を取り除き、発展にのみ目指す生物か?」
これまた大きな主語すぎて重たい質問だった。
ゼヴァはコアセンド王国を思い出す。
確かに発展以外には盲目な王国だけど、極獣を残虐に扱うことはなかった。
逆にオイカゼ旅人団は発展よりも、極獣と戦うことをやってきた。
「無茶なことはしないよ。」
自然を破壊することはないと言う。
その言葉を聞いたそれは少し声が高くなった。
「やはりか!」
その答えを待ちわびていたかのように、嬉しそうに反応した。
それは後ろを振り返り、「頭鐸兵!」と声と共に黒い手で手招きした。
岩陰に隠れて出てきたのはそれの仲間なのか。
頭鐸兵と呼ばれるそいつは青錆びた鐘を被ったような見た目だった。
その被っている鐘の周りには薄く光る虫が飛び回っていた。
頭鐸兵はゼヴァにお辞儀し、言った。
「我ら、地下で暮らしてきた人間に仕える存在、「命脈族」です。
この時を、ずっとお待ちしていました。
なんでも手伝います。
どうか、手を貸してくれませんか?」
「それなら、私の仲間が瓦礫に埋もれてるんだけど、手伝ってくれない?
早めに。」
それを聞いた頭鐸兵はその被っている鐘を地下に行き渡るほどの低く、伸びる音を鳴らした。
「聞いたか!人間の仲間を救助だ!」
頭鐸兵のその声と音に呼応して、岩陰や伏せていた命脈族の仲間がわらわらと現れた。
命脈族の中には、ひび割れが目立ったり、盾や鐘を持っていたり、重そうな殻を着ているものがいた。
ゼヴァがリテル達のいる場所辺りを指差すと、一斉に瓦礫を持ち上げ、順調にリテル達は掘り返された。
全員、気絶や怪我を負っている。
地脈族に運び出され、受け渡されるように地脈族の上を移動する。
そしてどこかへ運ばれていく。
その過程で1匹の命脈族が足を踏み外し、命脈族を覆っている殻が土器が割れる高い音と一緒に割れた。
「気を抜くな。殻は無限ではない。」
と、近くにいた命脈族が割れたやつに言った。
そして割れた殻の破片を両手に気が抜けた奴は抱えてどこかへ急いだ。
ゼヴァはどこに行っているのか、初めの頭鐸兵に聞く。
「安全な場所へ移動しています。
知らない内に、貴方達は我らを助けた。」
「え?」
「あんば良く、貴方達の落ちた下に、
我らの敵である「地脈族」がいました。
地脈族の中には機転兵と呼ばれる敵は身を爆弾のように爆発してくる、厄介な敵です。
これはかなり相手の痛手となりました。」
ゼヴァは地脈族という敵がいることを知り驚く。
「もしかして、私たちはそれと戦う?」
「嫌でも好でも、共に戦ってほしい。貴方達、人間の力が必要です。
頼りにしています。」
と、すでにゼヴァ達はもう命脈族と共に戦うことになっていた。
その頭鐸兵は仲間と一緒に安全な場所の方向へ歩いて行った。
後ろ髪を引かれながら、ゼヴァとセバスチョーは後を追った。
ムロフとホールン、魔人、青フードの姿がないことことから地上に出れたのだろうと信じたい。




