第85話 目を付けた政府
政府の最高権力者のいる本政府で、一つの通達が届いた。
それを受け取ったのは、黒審のイタダキ。大きな白いスカーフを口を隠すほど巻き、シワを寄せ真剣に通信機からの情報を読む。
その情報の送り出しはコアセンド王国の上層部からだった。
内容は要するに、地下の研究施設及び生産施設の侵入についてのものだった。
侵入した中央フラット王国の学生服に似た服装の数人が特定された。
そして、中央フラット王国は突然姿を消した王国でもある。
コアセンド王国の地下と中央フラット王国の消滅の証拠を持っている可能性のある彼らを地下へ処分した。
更に、test1(チック・ザ・マン)の損失も書かれていた。
「まったく・・・。地下の正体が明らかになれば我々の立場も危うい。
処分の確証はあの仕方ではわからない。念には、手配もしておこう。
事の原因を追求し、公にしていない政府の情報を2度と漏らさないようにと、伝えておけ。」
「ぼ、僕が?!」
突然イタダキの独り言だと思っていた話を振られて、上手く声が出なかったのは、隣に座っていた紫審のクチナシ。
イタダキと同じ階級。
「俺はお前に言った。お前以外に誰がいる?」
部屋にはイタダキと僕しかいない。
その通りだが、あまりに独り言過ぎて気が抜けていた。
けど重要な独り言だとは思っていて、聞き耳は立てていた。
イタダキは指示を断られるとムリ押しに通して来るから、イタダキのわがままに素直に答える。
「はいはい。僕がすればいいんでしょー。」
クチナシは面倒くさそうに席を立ち、頭をポリポリと掻きながら、文字を打ち込んでいる。
「最近は野蛮な奴が多いな。」
打ち込んでいる僕の隣から暇そうに腕を組んで話しかけて来る。
暇なら自分でやれよと心の中で思いながら、相槌と少し話をする。
「んー。
ナラカ監獄のニグメ=グラッドとグルジエ=デクノーアレの逃走もあったなー。」
「人ごとじゃないぞ。
あの監獄は我々の監視。つまり政府の象徴でもある。
コトブキの奴はグルジエに腹を刺されたとか、背負っている物の重さを知らないのか?」
「今更ですよ。
女が象徴を守るには荷が重すぎる。
今はもうハナフサに変わったから、大丈夫でしょう。」




