第76話 鳥と巨人
シャッツが襲われたのちに、研究室を見つけたリテルとゼヴァ。
薬品瓶が置かれている棚には埃がたくさん積もっていた。
もうずっと使われていない部屋だった。
そこで不自然に埃があまり被っていない箱を見つけた。
その箱の裏で、鍵になりそうなカードを見つけた。
「コレハ、ケンサカンノカード?!
ジュウヨウナトビラヲヒラクカギデス!」
「なんで知ってるの?来たことがあるの?」
ゼヴァは不思議に思った。
そもそもセバスチョーの存在について詳しく知らない。
ただのそういう機械だと思って飲み込んできたけど、なんだか仲間として知っておきたかった。
「シ、“シツジ”トシテアタリマエ。」
「その当たり前は誰から教えてもらったの?」
「・・・。エ、コレラノチシキハ、スベテプログラムニヨル、キソテキナモノ。
ロボットデスカラ。
デハ、ソノカードヲシヨウスルトビラヲミツケマショウ!」
セバスチョーはカードを口に咥え、リテルの肩にトンボ帰りをした。
次の部屋はコネルギの貯蓄管理室だった。
長広い機械が壁に敷き詰められていた。小さな電子音が唯一の音だった。
メーターの針が小刻みに揺れ動き、同じ数字を指し示していた。
状態は安定しているようだ。
「ここでカード使える?」
「エエ、アノカタチノボタンニシヨウデキマス。」
セバスチョーは翼であの形のボタンというのを指した。
壁に付いている平らなセンサーがついているボタンだった。
リテルはセバスチョーが咥えているカードを取り、そのボタンに表面をかざす。
カードを承認したボタンは、赤く色がつき、押し込むとちょうど横にある小さな扉が開いた。
壁のくぼみには紙と3本の筒状の物があった。
紙を手に取って読む。
非常用凝固装置
:黒のMPに対して緊急停止を行います。
使用の際は、離れて起動してください。
それだけが書かれているだった。
「エムピーって?セバスチョー。」
「MPトハ、
“ミックスフィジカル”ノコトデアリ、アノキョジンノカラダノコトデス。」
「じゃあ、これを使えばあいつを倒せるのか。」
「オソラク、ショウゲキヲクワエルトキドウスルヨウデス。
カチコチニナッタトコロガジャクテンデス!」
すると、壁越しから聞き覚えのある声が漏れてきた。
全部の凝固装置を取り、その声のする方へ向かった。
「多分、サイダンだよね。
セバスチョー、これ持って先に行ってくれる?」
セバスチョーに凝固装置を持たせて、前に投げ飛ばした。
「シュッチョー!」
セバスチョーはサイダンのかすかな声を頼りに、道を飛んで行った。
その後をリテルとゼヴァが追う。
そして、リテルがチック・ザ・マンの右腕を折った時に辿り着く。
「どこで、その、情報を・・・。まさか、セバスチョー・・・。」
巨人はしかめた顔でセバスチョーに言った。
対して、セバスチョーは相変わらず高い声で、テンションも高く見えた。
「ダンドリヨォーシ!ウラドリヨーシ!
チック、ヤッテキマシタヨー!」
「いつでも、あなたは、裏切って、きますね。
あなたまでも、私を、邪魔するのですね?」
チック・ザ・マンとセバスチョーは以前にも出会っていた、なんなら仲間だったような発言で、リテルとサイダン、後から到着したゼヴァは驚いた。
巨人は左手だけで頭を抱え、唸るような低い声で言う。
「どうして、私は、此処にいるんだ!」
丁寧だった口調から一変し、巨人はリテルを目掛けて腕を伸ばしてきた。
冷静に追い詰めて、的確に仕留めにいく巨人の行動は見定なしに攻撃してくるようになった。
「いつまで続けば、終わるんだ!!
お前も、お前らも、全部、お前ら人間のせいだ!!」
巨人はサイダンに掴み掛かった。
驚いて足場から踏み外したサイダンをリテルが空中で拾う。
空中で羽ばたいているリテルに、巨人は何もできないだろうと思っていた。
だが、どうしても人間に恨んでいたのか、千切れて落ちた自分の右腕を投げつけた。
思いもしない飛び道具にバレットタイムを使えなかった。
「うわ!」
ビタっと右腕がサイダンを掴んでいるリテルに直撃し、サイダンとリテルは深淵に落ちていった。
「リテル!サイダン!」
ゼヴァが二人の名前を叫んだが返事がなかった。
今度は、ゼヴァに狙いを定めて巨人が襲った。
巨人がゼヴァを握った。・・・しかしゼヴァは体を液体に変化させ、手や指の隙間から逃げ出し、体勢を整えた。
「特性・・・あるのかな?」
ゼヴァが巨人に触れたことで、特性変化ができるようになった。
特性を発動するが、巨人の体には一切の変化がなかった。
ゼヴァはここで巨人自体が基礎の体だとわかった。
ぶにぶにの体も、伸びる腕もそれは巨人の体だった。
ゼヴァとセバスチョーは含蓄背負うチック・ザ・マンと戦わなければならなかった。




