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シンカータイカー   作者: よぐると
コアセンド王国編
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第71話 崩れた秩序の壁

 青フードの指示で、崩れた横穴に入ったリテル達。

 右手には青フードから貰った紙を握りしめて、青フードと背中を後ろに別れた。


 その穴に入ると、地下へ続く鉄筋の階段が何層も螺旋状にあった。

 駆け降り、人気のない明るい照明が続く通路へ辿り着いた。

 通路の側面にあるガラス板の奥にはコネルギや機械が顔を見せていた。


「不気味な空間じゃ・・・。ところでわしらはどこへ向かえばいんじゃ?」

「わからないけど、きっとこの空間のどこかに重要なことがあるに違いない。

 こんだけ広い空間し、手分けして探す場合や逃げることもあるかもしれない。」


 青フード曰くのその場所へ走る。追手が来る前に奥へ、深くへ行った。

 探す矢先、分かれ道が現れた。


「やはりある分かれ道じゃ。迷う時間はない。」


 1グループはリテル、シャッツ、ゼヴァ、セバスチョー。

 2グループはカイ、ムロフ、ホールン、サイダンというように別れた。

 時間の迫る中、その場で決めたなんの捻りもない選択だった。



 視点は1グループのリテル。

 同じ廊下が続き、大きな部屋についた。


「すごい・・・。で、何すんだ?」

「スベテガココニアル、イイカエルトシンソウガコノチカニアル。

 シンソウヲサガセー!」


 真相を探す、か・・・。

 

 リテルは手に握っていた紙の存在をふと思い出した。

 逃げることで頭がいっぱいだった。



 その紙を広げた。

 

「ん?研究レポート?複雑なのは嫌いなんだけど・・・。」


 と、言いながらもわがままが許される時じゃない。

 スラーっと読み流した。


Nvの脊髄での役割

レポート6

実験対象:Nv


 Nvは脊髄の中でどの役割を司っているのか、複数回の調査を重ねた。

 結果、脊髄と筋肉を動かす神経への補助的役割を持ち、脳との接続を強くする役割を持っていることが明らかになった。つまり、Nvは接続のための物だった。魔人が人間よりも強い力を持つことが多かったのはこれがあったからだと結論付けた。今日まで筋肉の細胞を触ってきたが脊髄の中にあったとは。

 この物質を辿れば起源となった生物を見つけることもでき、あるいは手がかりになるかもしれない。この実験は続けるべきだ。


 その・・・Nvっていうやつが、魔人の脊髄で働いていると。

 だからなんだという話だな。

 それと起源となった生物ってなんだ?

 ろくな目標も指示もなく、ただただ意味のわからない生物の説明が書いてあるだけだった。


「これじゃ何を探せばいいのかわからないよ。」


 問題でさえわからないのに、何が真相だ。

 そこでゼヴァが言った。


「あの人もこのNvがわからないんじゃないかな?

 このNvの正体が真相?なのかしら?」


 なるほどと、ゼヴァの意見に首肯していると、通ってきた道からガタガタと壁が揺れる音が迫ってきた。

 すぐ後ろに死警官がいる、と思っていた。

 だが音はすぐそこまで来ているのに、一向に気配は見えない。


 そして生死の賢者が察知した。


「複数の魔物が極度に集合し、接近中です。」


 追ってきているのは死警官ではなく、複数の魔物だった。

 それに極度にまとまっているそうだがそうは思わない。

 なぜならこんな大事な場所に魔物がいるわけないからだ。

 何か他の別の生き物なのかもしれない。


 張り詰めた緊張で構えていると、隣のダクトから真っ黒の手が飛び出してきた。

 リテルが反応する前にその手はリテルの体を掴んだ。

 リテルは両腕を舌に変えて、手を解こうと試みたがギチギチに握りしめた手は開こうとしない。

 シャッツはその腕にしがみつき、耳につけた機器でコネルギを発生させたが、全く手放す気配はなかった。


「腕無くしちまえ!」


 シャッツは怒りのままに水牛(ヴァッサー・デタイル)の姿で噛みついた。

 野生にも敵う強靭な顎がブニブニのその皮膚に歯形を残した。

 その噛みつきが効き目に出たのか手を解き、痛みに呻く声はなくダクトへ手は吸い込まれていった。


「まだあの手は襲ってくるはずだ。この間に先に行こう。」

「シンタイ、イジョーナシ!」


 セバスチョーの診断も受けたというわけで、また更に奥へ向かった。

 その場所はコネルギが作られている巨大な空間だった。

 鉄の吊り橋と交差するもう一本の橋が不気味に吊られていた。

 慎重に歩き進めていると、頭上から影が落ちてきた。

 その影は全身が真っ黒の巨人だった。さっき襲ってきた腕の正体だろう。

 黒いハットを着けていたように見えた。

 地上の壁付近で倒れていた巨人と同じなのだろうか。


 その巨人が落ちてきた際、橋は歪み崩れ、リテルはゼヴァの手を掴んだが、シャッツはその巨人と共にコネルギの波に落ちていった。


 リテルは宙ぶらりんのゼヴァを引き上げた。

 突然の出来事に恐怖を覚えた。また同じように襲ってくるのではないかと。

 波に呑まれたシャッツとあの巨体は浮き上がってくることはなかった。





 視点はカイに移る。

 深く深く伸びる階段を降りている最中だった。


「本当にこの道で合ってんの?」


 ホールンは行き先も知らないこの道に不安と疑いを持っている。


「じゃが、この道しかまともな通路が見ての通りなかった。

 引き返す訳にもいかない。

 正解の道はわからんが、進めば見えてくるはずじゃ。」


 後ろ向きに考えても、物事は進まず悪化していくだろう。

 この地下に入った時点で逃げることもできないし、ましてや逃げ道は知る余地もない。


 進まざるを得ないこの状況で遂に階段を切り抜けた。

 心残りのあった選択だったが、少し肩の荷を下ろすことができた。


 階段を降りた先には大きな檻だったり、ガラスで仕切られた部屋があったりと何かを観察するような場所だった。

 ただその観察する対象というのは見受けられなかった。

 人の気配が見えないこの空間は蜘蛛の巣も張っていないが、寂れた雰囲気がこもっていた。

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