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シンカータイカー   作者: よぐると
コアセンド王国編
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第63話 兄弟山に巣食う鳥獣

 依頼の受注を終え、北の門へ向かった。

 この王国は全方位から内部を守るため、強固な壁が聳え立っている。

 なので出口は東西南北と4ヶ所のみ。

 不便だが、それよりも守るべきものが多いのだろう。


 リテル達はセバスチョーを連れて、観光を兼ねて歩いて行った。

 北門でも同様に検査がある。

 出ていく際は簡単だが、入国する際が少し面倒である。

 検査人に任務を伝えると、すんなりと通してくれた。


 北門から北の方角にある山は2つの山が連なっていて、兄弟山(きょうだいざん)と呼ばれている。

 東が兄山ヴィディ山、西が弟山グラ山と呼ばれている。

 変哲もないただの二つの山だが、ある時極獣が住み着いてしまった。

 最初の目撃者の情報では小枝や綿を集めていたことから、繁殖期に備えていると推測される。

 生物と魔物が混じった生き物故に繁殖できるのが、厄介。


 鳥獣 ミミ・ムグーは足が発達していながらも、空を飛ぶことができる鳥獣。

 鋭い爪が対象の皮膚をえぐる。

 そしてミミ・ムグーの一番の特徴は景色へ消える擬態。

 翻弄からのその物騒な爪は非常にたまげた物である。


 と、依頼の説明が言っていた。


 リテル達は整備途切れの道を進み、兄弟山の麓まで来た。

 ここには人も生き物も見かけず、閑寂とした雰囲気がある。


 兄山へ足を踏み込んだ。

 ミミ・ムグーは0.7m程度の大きさの鳥。

 しっかりとした木の上に巣を作ることから、手がかりはつきそうだ。

 ひとまず、山の上あたりを目指した。

 多少の苔むした階段が設けられていて、道筋はある。


 そしてある程度登ると、生死の賢者が感知した。


「極獣 鳥獣 ミミ・ムグーの生体反応。

 上空7キロ先、確認。

 心拍数の増加、羽色の変化を参照し、産卵済み。

 繁殖期を迎えた雌のミミ・ムグーは非常に繊細であり、凶暴です。

 縄張りは兄山ヴィディ山全体、奇襲に注意してください。」


 なんとミミ・ムグーは凶暴化していた。

 奴の縄張りの中にいるというので、警戒して進みたい。

 二匹の反応はないということは、雄はいないのか?


 リテル達は慎重に山を登った。

 そしてまた生死の賢者は言った。


「巣へ接近。構えてください。」


 と言った矢先、ゼヴァの目の前に突如として現れた。

 一瞬の出来事だった。

 ゼヴァを仕留める爪はゼヴァの融解によって受け流された。

 本人も驚いていた。

 カイや刀を抜き、シャッツは水牛(ヴァッサー・デタイル)へ。

 各々が背を守りながら構えた。


「ク、クルー!」


 セバスチョーが叫んだ。

 今度はリテルを目掛けて爪を剥けた。

 すぐに体勢を低く下げ回避できたが、セバスチョーの爪が当たった。

 うっかりしてしまった。

 セバスチョーが肩に乗っていることを忘れていた。


 しかしセバスチョーに目を向けると、無傷で肩に乗っていた。

 セバスチョーはコネルギで関節同士を繋げているため、ある程度繋ぎの緩和ができ、伸びる音ができる。

 コネルギ自体にダメージはないため、間一髪で避けたそうだ。


 ただこのまま避け続けても進まない。

 リテルは特性のバレットタイムを使用し、集中した。

 風の揺らぎまで読み取ることができれば、抗えるかもしれないと。


 木の影から現れる鳥獣にリテルは剣を振った。

 爪で弾かれてしまったが、結果当たりはした。


「どうやって今の速さを捌いたんじゃ?」


 カイがリテルに問うが、リテルは決定的な捌き方はわからないと言った。

 だけど、勘が有効かもしれないと付け足した。


 カイはそれを信じた。


「ホールン。わしを助けたあの盲目の時のように強化してくれんか?

 頼む。」


 カイがブルーイチ侯爵の閃光を受け、目が見えなくなったときにホールンがカイを助けるため、「勘」を強化した。

 相手がこう来るだろうと予測し、体が勝手に動く。

 この勘をホールンに強化してもらった。


 カイは目を瞑り、あの時のように想像した。

 微かに揺れる木の軋み、不意に裏に迫る脅威。


 カイは体の思いのまま、空を斬った。

 肉を切る音と振動が手に伝わる。

 

 目を開けると、見事に破られたミミ・ヒットが死んでいた。


「すげー!」


 シャッツはその一振りに感嘆する。

 カイ本人も心底驚く。


 これが勘なのか?

 かなり捨て身の選択じゃった。

 実感がない・・・。実力も感じない。

 あまり過信するもんじゃないな。



 巣と雌を守るのが雄の定め。

 嘴には思う相手の食べ物を加えて、巣へ帰還し、ヒナを返す。

 それが果たせない雄は次の雌を探すか、はたまた途方の上の空か。

 それは身を尽くしてでも暴君へと成り上がるか。

 雄のミミ・ムグーの瞳には一筋に絶たれる相手の姿が写る。


「よし、あとは巣を探すだけ。」


 リテルもカイも刃物はもう収めた頃。

 1mの影がカイの背中を突き刺した。

 血は溢れる。


 リテルの生死の賢者が反応する前に、近寄り、復讐の一撃で討ち取った。

 カイは倒れ込み、深い傷を負った。

 復讐はカイにとどまらず、姿を隠した。


 いつ、どこから現れるのか知り得ない。

 シャッツは身につけていた物を思い出した。


 突然シャッツはリテル達と離れる方向へ走った。

 サイダンは注意してお互いを守ろうと言うが、聞く耳持たなかった。


 案の定、孤立したシャッツに奴は襲いかかる。

 その時、シャッツは機械のボタンを押した。

 周辺に黄緑の電気が半球を作った。

 勢いのままに限りを尽くしたミミ・ムグーはと止まることができず、感電し墜落した。

 その隙にシャッツは頭突きをお見舞いし、仇の約束は破られた。




「セバスチョー!」


 リテルがカイの元へセバスチョーを持ってきた。

 セバスチョーの瞳孔が光り、カイの背中へ照射した。

 不思議なことにみるみると流血は治り、遂には傷ついた内蔵まで治った。


「不思議な魔法じゃのう。

 おどれ、助かったぞ。」

「イジョーナシ!ヨシ!イジョーナシ。」

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