第24話 仲直り①
俺と母さんは居間でテレビを見ていた。懐かしい番組でこんなのあったなーと関心していたときふと母さんに質問をした。
「母さん」
「ん?」
「記憶が無くなる前の俺って何してた?」
「それはっ、「ピーッピッーピッー」ごめんなさいね、洗濯物が出来たから、その話はまた後でね」
そう言って母さんは立ち上がった
「…分かった。母さん。そうだ、ソウと紅蓮に約束してるから、行ってくる」
「最近は物騒だから早く帰ってくるのよ」
「分かってるよ」
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どうやらソウは笑い上戸だったみたいだ。
何とかソウの笑いをとめると改めて話に戻った。
「じゃ、お前らこのノートを見ろ」
俺は空翔の机から拝借して作ったノートを取りだし2人に見せる。
「これは...!」
『6月2日、昼頃神蘭小学校2階階段おどり場で敦賀蒼太が仰向けで倒れている所を草薙翠が発見。保健室に運び込まれる。5時限目の休み時間に意識を取り戻すが頭への衝撃のため記憶喪失になる。なお、俺を発見したソウの証言から当時の状況からみて事件性がある可能性が新たに分かった。』
『草薙翠…当時、俺と口論があったらしい。俺が記憶を取り戻すことに反対している模様。それが口論の内容からか、はたまた別の理由で記憶が戻るのに反対しているのか詳細は不明。』
『園城紅蓮…俺の記憶が戻ることに賛成らしい。何らかの理由でソウと喧嘩している模様。』
「これが俺がこれまでのことを客観的に見て、まとめたものだ。なお、随時更新予定だ」
「…これは凄いね」
「で、さっそくだが喧嘩の原因は?」
「それは、そのー」
「えーとだな、なんと言うか」
2人は目を泳がせながら言い淀む。
「はい、言い淀んだことから後暗いことがある、もしくはとてもちっぽけな理由で言い出すことが恥ずかしい、などなどいろいろ考えられるがお前らの様子から察するに俺自身に隠したいことがある仮定する。すると、ソウは俺に記憶が戻るのに反対派だから分かるが、紅蓮が隠すのは不自然だ。記憶が戻るのは推奨している紅蓮がソウとの喧嘩の原因を言うのははばかられる。何故か。ソウと紅蓮は俺が記憶が戻るのに反対、賛成で別れている。何故か。母さんはあまり俺の記憶が無くなる前の事を話さない。何故か。理由は単純だ。思い出して欲しくないから。母さんは俺が登校する事前にお前達に電話で接触している。この事から口止めでもされたのか、と考えると、おのずと答えは出てくる。何故、口止めしたか。普通記憶喪失になれば思い出そうとさせるものだろう?思い出して欲しくないのは、それは、当時の俺にとって何か良くないことがあった。」
と、ながながと長文を喋ったせいで喉がかわいた。カバンの中から事前に自販機で買った缶コーヒーを取り出す。
「ん?どうした?顔色が悪いぞ?」
2人は顔を青くさせてこちらの様子を伺っている。
「えっともしかして、もしかしなくともアオ、怒ってる?」
「怒ってない」
「え、いや怒って」
「怒ってない」
全く紅蓮までそんなこと言って。俺は笑顔だろ?
プシュと缶コーヒーを開ける音にビビる2人に驚きすぎだろと思いつつ缶を煽る。
んん…………
…………………
「えっと、蒼太?そんなにコーヒーを睨んでどうしんだ?てか、コーヒー飲めんのか?」
「それ、ブラックじゃない?父さんがよく飲んでるけど...」
「いや、大人の味覚というものの偉大さを痛感していただけだ」
なんだこれ、にがっ。大人の時は平気でガンガン飲んでたんだが。くそっ、いつものノリで缶コーヒーなんか買ってしまった。捨てるのも勿体なく苦いと思いつつチビチビ飲む。
「一旦休憩だ。ほらお前らも飲め」
ふたりの目の前にみかんジュースのみっちゃんを置く。
「「あ、ありがとう」」
「あのー僕ら手錠されてるんですがー」
「ん、それ百均の玩具だから簡単に外せるぞ」
鍵とか要らんと伝えると器用におもちゃの手錠をはずすとみっちゃんを手に取る。
「「いただきます」」
「おう」
そうして俺は休憩中、缶コーヒーと格闘するのだった。




