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過去の過ち

紫ゴブリンたちを討伐に成功した俺たちはギルドマスターとやらに会うこととなった。どうもあの紫モンスター達と遭遇した細かい状況が知りたいらしい。当然俺は会ったことがないが、ティアによると気の強い女性らしいがどんな人物なのだろうか。


「お久しぶりです、カテーリア様」

「ほーう、小娘元気にしているようだね。亭主関白とかされてたらあたしが連れ戻してやろうと思ってたんだが」


ぱっと見人間に見えるがステータスによるとハーフエルフらしい。妙齢の美女という感じだが実年齢は200超えとなかなかのものだ。そんな女性に対して失礼なことを考えていたのが見抜かれたのか彼女がぎろりとこちらを睨む。エルフ族の血があるだけあって顔立ちは整っているので余計に怖いからやめて欲しいものだ。

そんな俺を見て後ろから数名の笑い声がする、いつものメンバーはともかくサツキ慣れるのはやすぎるだろう。俺に怖くてしがみついてきたイリスを見習ってほしい。


「それで、何について話せばいいんだ?魔王関連だけでいいのか?」


面倒なので俺が本題に切り出すと彼女は舌打ちをして俺たちの後ろ、つまり勇者の2人に目を向けてきた。


「まあそんなとこさね、後ろの2人は勇者だろう?それを狙ってきたのかと思ってね」

「多分考えすぎだろ、ただ依頼を出していたのが魔王の部下だっただけだ」

『レン様、それは世間一般には何もないなんてことはないと思いますよ』


そういえばこの仕事を教えてくれた受付嬢は今まで見たことのない人間だった。もしかするとそこから既に仕込まれていたのかもしれないな。自分の発言を撤回して気になる点を伝えるとギルドマスターは満足したようで一人首をうんうんと振っている。


「ふーん、運命の相手ってのは悪いもんじゃないみたいでよかったじゃないか」


そういえば長らく王からティアを預かってたわけだし母親みたいな心境なのかもしれない。年齢的にはお祖母ちゃんでも足りないレベルだがそれを言ったら俺なんて何歳かわかったもんでもないのであまり言えないのだが。


「ただこの男、どうもデリカシーがないようだね」

「ごめんね、うちのご主人様はかっこいいところもあるけど基本的には考えなしだから」

「そこがマスターのいいところ……悪いところでもあるけど」

「あんたもなんでのろけなんてしてくるんだい!」


うちの奴隷達はマイペースである。うちの一般人枠ルリアはギルドマスターに緊張してしゃべろうともしない。ただ普段から王女様とは一緒に暮らして普通に話しているのになんでギルドマスターには緊張するのかさっぱりわからないところだ。


「まあ今回の件を解決してくれたのは感謝するよ。あんたたちはポイントが溜まってBランクになるところだったんだけど今回はボーナスとしてAランクまで上げようじゃないか」


おい、報酬の割にはにやにやしながら言ってるぞ。なんだかいやな予感がしてならない、これは何か企んでるんだろう。


「これであんたの噂を聞いて指名依頼を出したいって言ってた奴らの仕事を引き受けられるさ、よろしく頼むよ」


ティアからの依頼は王家の運命の相手云々があったから仕方がなかったようだが他にもやんごとなき方が俺に指名依頼を出したかったらしい。どこでそんな噂を聞いたんだか知らないが勘違いでもしているのではないだろうか。


「それは例えばどのような依頼があるのでしょう?お兄様は確かに凄いですけどランクは高くなかったのに注目され過ぎているのでは?」


俺の効きたかったことをイリスが聞いてくれて助かる。ちなみにこの流れに全くついていけない勇者2人が俺は少し不憫になってきた。というよりもしかして彼らもAまで一気に上がるのだろうか。


「そうだね……。魔物研究所からの依頼でね、最近王都で活躍している冒険者の使役モンスターをどうやって進化させたか聞きたいそうだよ」


……王都で活躍しているテイマー?そんな知り合い俺にはいないのに何を聞きたいのだろうか?そんなことを思っていたのだがアイシャは何か思い当たる節があったようで目をそらしている。


『マスター、思い出してください。あの可愛いスライムのことを』


あーそんな奴もいたなぁ……。速攻で人に譲り渡したから忘れ……これのことか。何故かその時の映像が頭の中に再生されると周りからため息が漏れた。まさか……。


「先輩が何者かは知りませんがこれは酷いですよ……」

「いや、ほら若気の至りというか」

「これまだ今月のことじゃないですか……。こういうところも面白いですね」


こちらの世界の常識なんて大して知らない奴にまで言われてしまってはどうしようもない、ニコニコしている彼女は生き生きとして魅力的だったがそれ以上に俺が疲れた。だがこの依頼はまるで重大な秘密化のように言って受けられないということにしておいた、何が悲しくてあの適当に混ぜた黒歴史について話さなきゃならないのか。討伐や護衛、採取なら受けるからそれで許していただきたいものだ。

こうして本日俺たち、何故か勇者2人も含めてAランクまでジャンプアップしてサツキ達は最速レコードを更新した。本人たちはよくわかっていないようだがとても注目を集めてしまうだろう、正直申し訳ないなんて思う俺であった。


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