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この家が建ってからまだそんなに時間が経過してないはずなのに既に最初の住人の倍近くになっているというのが少し恐ろしいところだ。それと奴隷でいいのでメイドを雇わなければ少々まずいことになっている。
「なあ、勢いで許可したし今週は大丈夫だが俺たちが依頼を受けて冒険に出ている間ルシエ1人になるんだけど」
流石にまだ幼い彼女を連れて行くなんて選択肢はない。レベルなんてものはあるが当然成長によっても能力が変化していくのでルシエがたとえレベル100だとしてもそこらの一般人程度にしかならないだろう。
「ご主事様はまだ足りないって言いたいのかしら」
少し俺のことを白い目で見る彼女だが一理あるとも思っているのか少し思案顔になる。悩んでいる俺たちにミナとイリスが何かを相談しあって頷きあいこちらに話しかけてきた。
「それならメイドたちなんてどうでしょうかお兄様」
確かにそれなら色々家事も最初からできるだろうしちょうどいいかもしれない。王族専属なんていうくらいなのできっと多少は戦闘能力もある、下手すれば今の俺より強いなんてこともあるかもしれない。
なんだかルリアが「メイド?」と首を傾げているが何かおかしい事でもあるのだろうか。
「折角ですからレンさん好みの相手を選んだほうがいいですか?」
なんだか最近ミナは逞しく成長しているようで頬は膨れているが俺をからかう声色も入っているようだ。最初の頃は余裕がなかったのに随分と慣れてきたものである。
とりあえず俺は能力優先でいいと言ったが見た目がよくて能力がいいなんて欲張りですねなんて言われてしまった。そりゃいいに越したことはないのだが。
「こんなに女の子囲っている男に誠実さを求めたらだめだからね。それでもいいなら僕はもう言わないけど」
「ルシエは諦めないもん。ここに来る前にママが言ってたの『女はいい男がいたら例えどんなに相手がいようと妥協したらいけないわ』って」
ルリア達のお母さんはいったい何者なのだろうか。もしかしたらおじいちゃん世代は相当家庭が複雑なのかもしれない。
俺以外にも当然のようにその会話は聞こえていてミナとコレットとアイシャは何やら相談事を始めた。俺は一人余って首を傾げているイリス放して時間をつぶそう。
「悪いな、一応お忍びできてんのに次々に同居人を増やして」
「気が多いのも甲斐性のようなものですからお兄様ならしょうがないです」
「いや、そういう意味じゃなくて会って間もない奴らに囲ませて悪いなってことだよ」
そういうと目を丸くして上品にくすくすと笑う。流石は育った環境も王族なだけあってミナよりちょっと王族っぽい。そんな失礼なことを思ったらミナがこちらに視線を送ってきたが気が付かないふりをする。
「それを言ったら私とお兄様だって出会って殆ど立っていませんよ」
それもそうだな、というより周りのメンバーはなんだかんだ2週間近く面識があるのにイリスとはまだ1週間程度である。あまりに彼女が懐いてくれているのですっかり馴染んでいた、彼女の性格に感謝である。
「まだあの馬車に乱入してから殆ど経ってないしな」
「へえ、ご主人様。馬車って何のこと?」
ふと視線をイリスから外して現れた影の方に向けるとアイシャがニコニコとこちらを見てくる。他のメンバーも当然のように周りに集まってきた。そう言えば転移で偶々遭遇してた話なんてしてなかったな。
「なんだか僕の知らないところでとんでもない話してない?王族って何の話!?」
そういえば俺も話した記憶がなかったな。これを機会に話しておこうとミナとイリスの正体について説明する。いつも通り一応魔法で秘密の保持は忘れない、俺の正体よりは現実味があるお陰でルリアに嘘つきと言われずに今度は秘密の共有に成功した。
「前に言ってた王女の婚約者ってそういう意味かあ。皆王族と一緒にいるのにリラックスしすぎじゃない!?」
「それもそうなんだが俺が神様の生まれ変わりだーなんて言っても態度が変わってないルリアが言えることじゃないと思うんだが」
「……それもそうだね」
あっさり納得しやがって。幸い彼女もミナ達に対しての態度を変えずにいてくれるようで彼女の順応度に感謝する。そして今回の本題について聞きたそうなアイシャ達に一応弁解を試みる。
「別に面白い話でもないぞ、楽しかったけど」
「いいからマスター話して」
なんだか食い気味なコレットに少し気圧される。何か思うところでもあるのだろうか。しょうがないので俺たちの出会いを軽く説明するとなんだかルリアが目を輝かせている。
「なんだか物語みたいよね!王女様との運命的な出会いって」
言われてみるとそうかもしれない。その言葉にイリスは赤くなった頬に手を当てて照れている、こういう反応は姉妹だなぁと感じる。それを言ったらミナとの出会いも相当物語じみているというか運命がどうのということもありそっちの方が物語っぽい。
俺と同じことを思ったのか妹とそっくりなポーズを取るミナ、俺もなんだか少し恥ずかしくなってきた。
結局俺はこれ以上何か隠していることはないかとスキルの詳細なども含めて洗いざらい吐かされることになった。




