てのひらの上
あの日何をしてきたか3人娘に聞かれたので王都にいってアイテムを売って金にしてきたとだけ伝えた。勇者に遭遇したことに関しては特にいう必要もないだろうしな。
というわけで今日はアレから2日経過して……王女がお忍びでやってくる日である。彼女もミナと同じく【お忍び】を持っているらしくここにきても騒がれることはないだろう。
しかし俺は目下危機にさらされている。
「レンさん……いつうちの妹に会ったんですか?」
「笑顔なのに目が笑ってませんよミナさん?」
「いつも特徴が違いますね……イリスにも手を出してしまったんですか」
別にやましいことは何もないけど浮気を疑われた夫みたいな気分だ。しかもその相手がすぐそこにいるのが何とも滑稽である。
そんな俺たちのやり取りを見て上品な笑顔を浮かべる第2王女様。可愛らしいがなんだかこっぱずかしいなこれ。
「コレット見てよアレ。ご主人様ったら照れてるわ」
「アイシャ、思っていても言っちゃダメ」
そして遠くで俺のことを舐めている奴隷どもにはあとでお仕置きである。最近上下関係が曖昧どころかおれのほうがしたにみえてしょうがないからな。
「アイシャがあんなこと言うからマスターが悪い顔してる」
「何考えててもどうせ大したことなんて出来ないから大丈夫よ」
あながち間違っていないから何も言い返せない。それを見てまた笑顔になるイリスちゃん、この子は今まであった中でも上位の純粋さを持っている気がする。年齢的にはもっと幼いはずのルシエはどこか黒いというか……成長が恐ろしい感じだからな。
「それで?レンさんお話は終わっていませんよ?」
「お姉さま、まあそこまでにしてあげてくれませんか。そういえばお姉さまと将来結婚するのでしたら私にとっては兄ということになりますから…お兄様とお呼びしたほうがいいでしょうか?」
前言撤回、この子もミナの妹だけあってからかい上手なようだ。これから成長すると俺は手玉に取られるかもしれないと少しだけ恐怖する。
「俺としては新鮮な呼び方でいいな」
「レンさん……やっぱりイリスもターゲットになるんですか。幅広すぎませんか」
「わかりました。ではお兄様……家を案内してくれませんか?」
俺の腕にしがみついて甘えてくる、やっぱり甘えたい年頃なのだろう。しかし仮にも王族でしかも実質唯一の王女、自由なんてほとんどなかっただろう。俺はこの子に関しては徹底的に甘やかしてあげることに決める。
『これでまた1人お姫様が増えましたね。流石はレン様!よっ色男』
うちの奴隷たちより余程制裁を加えたい奴が話しかけてくる。この子はそういう目で見てないから。少なくともかわいいと思っても今のところ2桁前半は守備範囲外だ。
とりあえずこの子にも俺の加護とやらを付与しておく。
名前 イリス・シア・エンデシア
種族 ヒューマン
性別 女
年齢 10
レベル 3
<センス>
生命 C
魔力 E
知力 S
筋力 A
精神 L
器用 F
敏捷 A
幸運 B
<スキル>
【癒しの巫女】
魔力を消費せずに魔法を使用できる。強化魔法の効果が3倍。非表示。
【お忍び】
【創造神の加護】
<魔法適正>
光,闇
なんというかヒーラー専門だな。しかも癒しの巫女のおかげで魔力が低くても問題なく回復魔法が使える、というか魔力を使わないで使用できるなんてずるくないだろうか……。
もしかして前回は勇者に合わせるためだけだと思ったが彼女に会うことも目的だったのかもしれない。
とりあえず俺はこの広い家を見て回る。当然昨日ちょこっと見てきた王城よりは小さいのだがそれでも一般庶民が住むには十分な広さがあるのである。
「鍛冶場まであるなんて凄いですね!」
「何か欲しいものがあればコレットに依頼したら作ってくれるから頼むといい。一応俺の奴隷だからな……見えないけど」
「私もコレット様に首輪がなければ奴隷だなんてわかりませんでした。とても仕草が上品ですよね」
あれ、ミナは気が付いてないけどこの子はもしかしたら薄々感づいているのだろうか。それとも間接的にあったことがあるのかもしれない。
「マスターに頼られたらやるしかない」
少し頼られてうれしそうなコレットであった。ちなみにうちの無駄にでかい風呂を見た時はうちより広いです!と大喜びしていたのでとても微笑ましかった。
一通り案内したのだがそういえば彼女はどの程度この家にいる気なのだろうか、ふと疑問に思う。
「そういえばどの程度うちにいるんだ?」
「そういえば私も聞いてないですね…」
姉のミナすら知らない?もしかして勇者が来るまでずっといるのだろうか。確かにそれと一緒に帰れば護衛もいるので都合がいいのかもしれない。
「ずっとです」
何を言っているのかよくわからない。というよりこの国の王様は何を思って自分の娘2人共を一般庶民に預けているのだろうか。
こうして同居人があっさりと1人増えた。
「ご主人様……私に手を出したのにロリコンだったの?」
その純粋に疑問を持っている目で見るのはやめろ。その目は本気で不思議がっている奴の目でからかっているわけでないのが分かるせいで余計につらいんだ。
だが国家権力には逆らえない、かつて天地を創造した神であろうと人間としては特に後ろ盾もな……王女の婚約者というのはかなりの大物なのではなかろうか。これは少し調子に乗っても許される?
「マスターやめた方がいい。ただでさえ最近のマスターはこの街の男にだけ異様にヘイトを集めている」
やっぱりそうだよな……。結局それなら時間もあるし今日はのんびりしようということになり、余っていたミナの隣の部屋を提供することにしたら喜んでいた。今まで少なかったであろう姉妹の交流を今後は楽しんでほしい。
それにしてもずっととはいっても王女なのにフィアンセがいたりしないものだろうかと疑問に思ったが俺が今気にしてもしょうがないかと思って放っておくことにした。




