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新居での朝

気持ちのいい朝を迎えた俺、腕に眠るアイシャ。何となく思い出したのは初日のことである。あの時は俺と彼女が逆で彼女には起こしてもらったものだ。まだ2週間なのに懐かしいきっぶんになりつつ彼女の頬を引っ張ってたりして遊ぶ。


「ひゃめれ……」


意外と寝起きが悪いのかなかなか起きない。そこまで夜更かしはしていないはずなのだが、そう思っていたのだが俺の視界にいつもと違うものがあることに気が付いた。

一度アイシャの頬から手を放して彼女のステータスを注視する。



名前 アイシャ・ルウ・アーカディア

種族 エルフ

性別 女

年齢 17

レベル 57

<センス>

生命 D

魔力 S

知力 L

筋力 E

精神 C

器用 L

敏捷 S

幸運 F

<スキル>

【奇跡の巫女】【創造神の寵愛】

【家事の天賦】【弓の天賦】

【精霊神の加護】

【獲得SP増加】【必要SP減少】【成長率増加】【無限収納】

【風魔法:S】【光魔法:S】【隠蔽:S】【狙撃:L】【料理:L】【隠密:C】【弓術:L】

<魔法適正>

水,土,風,光,精霊



スキルは無条件で取れるのはSまででLは天賦持ち出なければいけないという地味な制限があったりする。今回の注目はそこではなく昨日までなかったスキルが1つ増えていた。【創造神の寵愛】なんてわかりやすい名前なので大体原因は察するのだが効果を見てみる。


【創造神の寵愛】

創造神より寵愛を受けし証。成長率が大幅に上がる。他色々。非表示。


俺のスキル同様大雑把な書き方だ。勇者スキルの方とは重複するのだろうか。


『一皮むけたマイマスターに教えてあげましょう。答えは重複する、です。だいたいこれでセンスが1ランク分と少し変わりますね』


ということは神の領域に片足突っ込んでいるわけか。もっともセンス自体が上がる場合と違ってそれまで上がったレベルには反映されないのが少し勿体ないが規格外と言っていいだろう。

幸いこのスキルは見えないので変な噂が立つこともない。俺とやることやれば壊れスキル貰えますよなんて言いたくないのだ。俺はこれでも愛というものに重きを置いているのである。


『そういう姿勢はお好きですよ。スキルの発生条件については実は勘違いしていますけどね』


もしかして肉体的じゃなくて精神的なつながりが必要なのか。何か俺の心に必要な何かを満たしたのかもしれない。とりあえずそれなら変に意識せずに済みそうだ。

こうして新スキルについてミナと話をしていると寝ぼけたミナがこちらに抱き着いてくる。あまり表だって甘えてくるタイプではないのでちょっとうれしくなってまた彼女の頬をつついて遊びだしたところで外から扉が叩かれる。


「レンさんー!そろそろ起きてください!」


ミナが俺たちを起こしに来たようだ。というより一緒にいると知っているはずなのに名前を呼ばれないアイシャは起きている扱いなのだろうか。

その声にミナがようやく覚醒して今の自分の姿に顔を真っ赤にして布団にくるまって避難する。


「すまんミナ、今行く」


アイシャはもう少し着替えにかかるだろうし先に俺が行こうと決めてサクッと着替えて出る。

それにミナに個人的に言いたいこともあったからな。


「あー、昨日はありがとなミナ」

「昨日の夕食の時になんとなくわかっていましたから。レンさんが真に私に心を開いてくれたら……今度は私の番ですから」


こんなことを言っているがふくれっ面でいかにも怒っていますという表情をしているのが可愛らしい。そういえば俺たちの中で一番年齢が幼いのが彼女なのだということを思い出す。

正直元から社会で仕事をしていたせいもあり一番しっかりしていたイメージのせいですっかり忘れていたので申し訳なくなる。冷静に考えるまでもなく俺がだらしないだけだしな。

俺が反省をしていたら突然少し笑った彼女はいたずらっぽい年相応な表情を俺に向けてこう告げた。


「期待しています、私の運命の人」


俺のちょろさを舐めてもらっては困る。俺の気の多さが証明されるのはそう遠くないかもしれない。

少し待つとアイシャも着替えて出てきたが相変わらず顔が赤いのでミナにからかわれていた。俺は先に食堂に行くとしよう。

この家の食堂は正直無駄に大きいと俺は思う。このサイズを決めたのはうちのコレットなので何かあるとは思うのだが彼女は俺に教えてくれなかった。


「マスター昨夜はお楽しみ。よかったら手伝ってほしい」


そんなことを言いながら食器を並べていくコレット。今日は彼女が作ってくれたのだろうドワーフの民族料理らしく当然俺は食べたことのないものだがいい匂いに今からわくわくが止まらない。

俺もおとなしく手伝ってるけど一応俺主人なんだけどな……。ただこういう家族っぽいことは好きだ。何せ俺にはそんな記憶が存在しないからな。謎の感動を覚えているとちょうど準備し終わったところで2人もやってきたがどちらもリンゴのような赤さだった、きっとミナはああ見えて興味津々なのだろう。

とりあえずなんとか落ち着いた2人も席について全員でご飯を食べ始める。


「!?!?」


か、辛い。見た目は透き通っているスープなのでそんな風に見えないのに今まで食べた何よりも辛い。その辛さを緩和するためにとりあえずご飯を口に押し込む。


「……ごめんなさい」


何でも失敗すると辛くなる料理だったらしく彼女自身も辛いのか水を口に流し込んでいる。隣にいたアイシャも同様で顔から汗を流しながらも上品さを消さないように水を飲んでいた。


「これ美味しいわね!おかわり貰ってもいいかしら」


ミナは辛い物が好きなのかニコニコと食べている。普通の辛さではないと思うのだが……。


「異様な辛さについては確かに問題だと思うが味はうまいぞ」


わざわざ相手も気が付いている嘘なんてついても意味がないと思い彼女に伝えるとミナが首をひねりながら


「物凄く美味しいと思いますよ。辛いの苦手な私も平気ですし」


なんて言ってくる。口が文字通り溶けるかと思うほどだったのだがまさか成分が偏ったのだろうか。

俺はアイシャに一言言ってから1口すすってみると先ほどとは違い入った野菜達の混ざり合った味とこの前狩ったオークの肉から出た汁のうまみが絡み合って辛さなんて微塵も感じなかった。

俺の反応に残る2人も1口貰うと少し感動していそうな表情をしている。コレットも自分で作って味見しなかったのだろうか。


「コレット、これ味見しなかったのか?」

「これは器を移す時に慎重に入れないと変な反応が起きて辛さが出る材料があって……」


つまり味見など関係ないというわけか。ミナのだけは大丈夫だったということだろう。ただ辛いスープは別物だがこれはこれで美味しいと思い返せば思える。まだご飯もあるし半分程度に減っていた辛いスープを全部俺が貰って米と一緒に完食しておいた。


「ごちそさん、2人は新しく入れなおして食えばいいと思うぞ。これはこれでありだな」

「ふふ、マスターはしょうがない人」


別に嘘じゃないんだがな。ご飯との相性はとてもよかったし食事がとても進んだのも本当である。ただアイシャとコレットは俺より辛い物が苦手そうだったしな。苦笑しながらもうれしそうなコレットを見て俺もうれしくなった。

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