過剰戦力
俺のパーティーのハーレム化が深刻な件。俺としては嬉しいだけなのだが街の男たちは妬ましいようだ。どこかで大きな活躍をあげないとただの運のいい男だと思われるかもしれないしランクも上げていきたいなんて悩んでいたりもする。
そういえばミナの呼び方についてだが暫くはこのまま秘密にしたいとのことなのでミナのまま行かせてもらうことになった。本人的には愛称のティアと呼んで欲しいらしい。
「あ、あれ?前登録に来たばかりでしたよね……」
ミナの友人で年上受付嬢のラーナが困惑している。そういえばミナが今まで誤魔化してきたが俺たちのランクの上がり方はおかしいんだったな。ここは元同僚のミナが弁解してくれるだろう。
「ラーナさん、実はレンさんがたまたまスライム狩りをしていたらレアモンスターと遭遇したらしくて…」
この話をしてしまうと余計に俺が運だけの人だと思われそうだがしょうがない。実際幸運値の暴力でレアアイテムを売ってアイシャと仲間になったからこその今があるわけで運とユニに頼っていると言っていい。
ただたまにそういうことがあるのかラーナの方も納得してくれる。ちなみに前のように偏った受付嬢選択はやめた方がいいとミナからアドバイスを貰っていたりする。婚約者がいるのにガンガンアタックしているように見えてギルド内の立場が地に落ちるからだそうだ。
「ではこちらのリザードマンの討伐でよろしかったですか?」
「ああ、それで頼む」
俺の選択したのはリザードマン、彼らは人間同様武器を使うのでいろいろな状況についての練習がしやすいのである。ついでに経験値もなかなか高く、うちのアイシャのスキルがあれば加入したての仲間のレベルもすぐに上がるわけだ。
逆に言えばアイシャが何かの理由で離脱すると成長速度がガタ落ちする。特に俺なんてろくにレベルが上がらなくなりそうだ。
「……ご主人様どうかしたの?」
少しアイシャのことを考えていたので彼女のことを見つめていたようだ。相変わらず赤くなっているのが可愛いところである。そんな俺たちを一歩引いたところで観察しているルリアの口がやはり誑し……お姉ちゃんは妹のために本性を暴くからねなどと言っていた。重度のシスコンなのかもしれない。
とりあえずラーナに他の受付嬢にも毎回混乱されると困るから伝えておいてくれとお願いしておき俺たちは依頼先へと向かった。
「そういえば転移使えない」
「……あ」
コレットに言われるまで忘れていたことだが俺たちは初めて行くところには行きだけまともに移動して他は全部転移で済ませている。流石に転移魔法に関してまで道具で誤魔化せるとは思えないのでこれからは真面目に移動することになるだろう。
「まあ今までの私たちがインチキっぽかったというか。そのうち彼女ともっと仲が良くなったらまた転移を使えばいいんじゃないかしら」
それもそうだな、ルリアも勢いで俺のパーティーに加入はしたが少し居心地も悪そうだしこれから長い移動で交流を深めていけばいいわけだ。このトカゲ狩り往復で1週間弱かかる依頼のようでその頃には新居もできているころだという。
「おう、レン。ルリアのことよろしくな」
「も、もう父さん!僕は一人でも大丈夫なんだけど……」
ついこの前アリにぼこぼこにされていた盗賊が何か言っている。だが俺たちと行動が一緒ならまず死ぬこともないだろうし最悪あの薬もあるからな。
「おう、まかせとけ。ルシエもまた1週間後にな、またうまい土産でも持って帰ってやるよ」
何それ知らないという目でうちのメンバーたちから白い目が向けられるがルシエ本人はわーい!と喜んでいるのでいいとしよう。おっさんまでそんな目で見ないでくれ。ぼそっとうちの娘が2人もこんな野郎に持っていかれるのかとかいうのよ聞こえてる前提でこっちを見るな。
ちなみにミナの部下が持っていた魔導車だが当然まだ身分を隠しているミナが使えるものではないので最初の長旅と同じように馬車を借りることとなった。
当然馬車での移動中は色々なことがあったわけだが俺以外とは見事に打ち解けたルリア。俺のことは旅に出る前より警戒心を持っているように見える。家を手に入れてこいつらと同棲することでも聞いたのだろうか。
リザードマンの縄張りの周囲にある村からの依頼でなんと壊滅させて欲しいらしい。なんでも最近までここにモンスターなんていなかったそうなので何か陰謀めいたものを感じる。
とりあえず村長さんからサクッと話を聞いて俺たちは狩りへと向かった。
「あのさ」
「どうしたのですかルリア?」
「なんで皆この異常なドロップアイテムを見て平然としてるのさ!?」
とりあえずアイテム集めるから俺一人でやると宣言して俺が魔法で爆撃してしているとひきつった顔のルリアがいた。皆最初見た時は呆然とするんだがな、ミナは俺の正体について聞いているからかそこまで驚いていない。
「そりゃご主人様だし……気にしたら負けね」
「マスターと行動するなら細かいことを気にしていては負け」
もしかしたら俺は正体を隠す気がないのかもしれない。確定ドロップだけでもおかしいのにたまにリザードマンのドロップアイテムとは聞いたことのないアイテムが落ちるのだからそれもそうだろう。どうもこれは上位モンスターのアイテムが落ちているので今回はリザードマンロードのアイテムということだ。
十分にアイテムを集めたので残りは彼女たちに任せることにする。今までの戦闘でレベルの低かったミナとルリアも能力が跳ね上がっている。しかも成長率が本来より上がっているのでCランク程度ならソロでも心配ないレベルだろう。
「アイシャはステータスぶっちぎりだからフォローに徹してくれ」
それだけ指示をして彼女たちを観察する。唯一特殊スキルを持っていないルリアだが比較的現実的なポイントで非表示系の壊れスキルを後付けできるのが分かっている。汎用スキル以外は適正によって習得のしやすさが異なるがそれでも特殊スキルと便宜上呼んでいるあのスキルが現実的なのは初めてだった。
俺なんてアイシャどころかコレットにも追い越されてしまっているし1週間もすれば全員にレベルで超えられるだろう。ちなみにレベルは上限が100となっている。
流石のアイシャも最近レベルの伸びが一気に悪くなっていて上限までは程遠い。
「行きます!」
ミナの唱えた火魔法がトカゲを消し飛ばす……まずいミナの火力が高すぎて練習にならない。彼女の魔法は他人より3倍の威力があるのに消費が3分の1というふざけた代物だ。彼女は中級クラスの魔法までなら詠唱を破棄できるようにしていたようで
「てい」
気の入らない声を出しながらコレットが振り回す槌は物理に強いリザードマンを2桁いかない回数でのしていく。彼女はアイシャについでレベルが高いからしょうがないといえばしょうがない。勇者スキルの力でステータスの伸びもよくなっているのだから。
「あ、あれ?これどうなってるのかな」
一番の問題はこの依頼の前と比べて倍速で動けるせいで感覚がくるっているルリア、彼女は完全に困惑していた。ごめんなそれ俺のせいなんだ。なんて言って誤魔化すべきだろうか。
「ッ!」
アイシャは俺が言ったことをガン無視で異様に沸いているリザードマンをハチの巣にしている、ストレス発散みたいだが心当たりが何となくあるので自由にさせてやろう。後でちょっと甘やかしておくのもいいかもしれない。
結局今回の依頼はなんの練習にもならなかった。冒険者ランクとして壁のあるAランクには早くなりたいものだ、Aランク低級でもワイバーンなのだと思えばそれ以上もごろごろいるのだろうしな。リザードマンロードでもいれば奴のスキルで全員強化されるのだがないものを言ってもしょうがない。
正直そろそろ雑魚専みたいな生活からは脱したいので何かきっかけが欲しいところだ。
この後俺がルリアに質問責めされたのは言うまでもない。




