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隠し事は嘘を言わないのが一番

誘惑……ではないが精神的に負けてルリアをパーティーに加入させた以上勇者スキルを何とかつけたいが彼女にはバレたくないのが今の俺の精神である。

つい昨日ミナにそんなにぺらぺらと喋るなと言われたばかりな上に彼女とはほとんど面識がないので流石にチョロイ俺でもまだ警戒的だ。その割に甘いのは妹やおっさんの方とは交流がよくあるからだろう。


「いい案がある」


うちのドワーフが俺の心を読んだのか変な手のひらサイズの玉を渡しながら告げる。【隠蔽】が付与されているだけのただの丸い石なのだがこれでどうしろというのか。


「これにスキルを変更できる能力があるかのように言えばいい。秘密を隠しつつ合意の上でスキルを変えられる」


ほう……。こういう時知力のステータスとは何なのかと思ってしまうな。文字通り頭の回転などもよくなるステータスのはずなのに発想力のあるうちの自慢の奴隷には驚かされた。

その案を採用してミナはまだ大騒ぎの中にいるのでまた後でだけ伝えて俺はアイシャとコレット、そしてルリアを連れて一旦ギルドから外に出た。

とりあえずコレットの言った話をしておく。彼女は新居ができてもこちらに住むわけでもないのでバレはしないだろう。後は許可を取れれば【権能管理】を行使できる。


「僕はそんなアイテム聞いたことがないけどそれ国宝級じゃないの?」


俺とコレットはそのことに失念していたようだ。俺の主観だとコレットなら相当性能の魔道具を作っても不思議ではないが流石に俺のスキルほどではないだろう。確かにそんなアイテムがあればどの国も抱えたいに決まっている。アイシャがぼそりとご主人様ってなんというか抜けてるわといったのが少し心に刺さった。

そんな彼女はため息をついた後口を開く。


「国もこの能力については知っているから問題ないわ」

「どういうこと?」

「うちのご主人様は一応この国の王女と深い関係にあるの」

「……ミナさんはそのことを知ってるの?」

「ええ、知ってるわ。その能力に関してはこの国の偉い人公認ってわけ」


俺たちと違って嘘を一言も告げずにルリアを誤解させていくアイシャ、まだ人生経験の少ない俺ではこうはいかないだろう。確かに俺はティレシア姫と深い仲であり、偉い人ことティレシア姫公認のスキル持ちだ。一度もアイテムが国宝級ともいってなければあのアイテムそのものに能力があるなんて言ってない。

この国で王族関連の嘘なんてつけば不敬罪に引っかかるため嘘だと思われない。ただこれだとルリアはパーティー入りをやめるのではなかろうか。


「あわわわわ……僕凄い人に喧嘩腰に話しちゃった」


この怯えようは俺が悪いことをした気分になるからやめて欲しいのだが……。とりあえず気にしていないこととこの石に関して秘密にしておいてくれと伝えると頷いてくれたので結果オーライである。

さっくりといつものスキルを付けておく。これで今後は彼女のステータスの伸びも良くなり、スキルポイントも充実するので長所を伸ばしやすい。後はセンスが他のメンバーより低めなのでその辺りもちょっとあげておきたいところだ。

一応俺自身に権力なんぞないということを必死に伝えてなんとか普通の態度で接してくれるようにはなったがもしこの奴隷2人が隣国の姫だと知られた場合どんな反応が返ってくることやら。

そういえば彼女達の捜索依頼などは出ていないのだろうか、普通に考えたら1国の第一王女なんていなくなれば国が大混乱のはずなのに一度もそんな話を聞いたことがない。俺の知らない何かがあるのかもしれないな。


「マスターごめんなさい」

「気にすんな、アレに関しては気が付きもしなかった俺が悪い。それにアイシャがフォローしてくれたから問題ない」

「あのねぇ……。ご主人様たちは詰めが甘いのよ」


言い返す言葉もない。勝ち誇ったアイシャは少し腹立たしいが今は放っておこう。

とりあえずこのマイナスに近い状態から始まったルリアとの関係もなんとかしていきたいものだ。俺は明日からの冒険者生活に不安を感じながらもわくわくもしてきた。


ルリアをおっさんたちのもとに送ってミナと合流してから宿へと戻る。本当に今日から俺たちと一緒に生活するようだ。王族3人に囲まれた創造神の転生体、これだけ聞くととんでもない集団である。

この宿ともあと1週間もしないうちにお別れだ。ミナによると俺の家がそのくらいで出来るらしい。それにしても家を彼女に作らせると聞くと相当人聞きが悪いのはどうにかならないものだろうか。

そう思って彼女の目を見ると苦笑しながら答えてくれる。


「まあ遠慮がなさすぎるのもどうかと思いますがレンさんはそれでいいんですよ」


俺をいったいどういう風に思っているのだろうか、そう思ったが奴隷2人もうんうんと頷いている辺りそうなのかもしれない。これだけ息が合っているなら明日のクエストも大丈夫だな、そんなこと思った。

寝るときはコレットが私はアイシャの隣でいいと言って新しく買ってきたベッドで4人並んで眠りについた。ミナは同衾が恥ずかしいのか最初否定的だったので別にしようかと提案したが他の奴隷2人は一緒と聞くとやはり同じベッドで寝ると意見を変えた。運命がどうとか言っていたが思っている以上に慕ってくれているのかもしれない。

アイシャとミナが張り合って俺にくっついて寝てくれたので俺は気持ちよく眠りにつけた。

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