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本格スタート

予感の通り現在俺には危機が迫っている。具体的に言うならばアイドルをかっさらった新参者に対する嫉妬の目線である。

ミナが恥ずかしそうに「その……寿退社で……」なんて他の受付嬢に伝えたのを冒険者たちにも聞かれたので恨みがましい目を向けるが結局対応するのが何故か俺になっているのであまり意味がない。よく考えると俺は別に何か悪いことをしたわけではないのだが、ミナにされ変な恨みが向かなければそれでいいかと諦めた。

綺麗どころには強烈なファンもついているものである、俺より弱い人なんて認めないとか言っている奴も現れるものである。


「なんでこうなるんだか」

「ご主人様と一緒にいると退屈しないわね」


結果として俺は3人に勝負を挑まれてなんとか勝利をもぎ取った。俺のステータスに関してはミナが秘匿していてくれたおかげで全く漏れていなかったのとこちらからは相手のスキル構成が丸見えなおかげで割と余裕を持った決闘だった。


「キャー!ミナの旦那強いね。私も第二婦人でいいからダメ?」

「ら、ラーナさん駄目ですよ。まだ私たち恋人らしいことなんてほとんど何もしてないのに」


旦那扱いなのは寿退社なんて先走ったミナの言葉から妥当だろう、どうせ王族相手に生半可な付き合いなんぞ許されないだろうし俺もうれしいから別にいいが。

それにしても俺が活躍してキャーキャー言われているのを見て更に周りの男性冒険者の恨みを買っている気がする。このままだとこの街での俺は男冒険者からの扱いが悪くなるのは確定的だ。

そんなことを思っていたら更に面倒のタネがやってくる。そう、こんな大騒ぎを近所に住む彼らが耳にしないわけがないのだ。


「ちょっと悔しいけど、ルシエは別に第一婦人でなくてもいいの」

「お父さんとしては娘のこんな言葉複雑だよ……」


どうやら奥さん以外はこちらにやってきたようだ。恐らく彼女は店番に残されているのだろう。ルリアとは直接話したことがなかったはずなのに随分と敵視されているようで凄いにらみをこちらに向けている。むしろ俺は彼女の命を救った恩人のはずなのだが、そう思っておっさんの方を見るとフイッと目をそらされる。どうやら伝えていないようだ。


「よ、おっさんとルシエ。そして初めましてルリア」


はじめましてとちゃんと返してくれる辺り根はいい子なんだろう。ただ顔が敵意むき出しなのはどうにかならないものだろうか、そう思っていると俺の横にいたコレットがステータスの差を生かして彼女の横に移動してくすぐり始める。人によってくすぐりは効く部分が違うのだが効果はあるのだろうか。

そう思っていたが必死に笑いをこらえるルリアを見る限りツボをうまくついているのだろう、なんだかとても色っぽい。


「ご主人様……流石に今日は一途でいるべきでしょ?」


隣から冷たい視線を向けてくるアイシャ、確かにそのとおりである何も言い返せない。一応謝罪の意味を込めてミナに目を向けるとにっこりとほほ笑んでくれた。理解ある彼女である。

ミナは甘いと呟く彼女であるが自分が一番甘いということに気が付いていないのだろう。身内にはとことん甘いのが彼女なのだと最近特に実感する。


「ね?きっとあれは天性のしかも積極的な女誑しだよルシエ。絶対やめといたほうがいいって」

「や!」


解放されたルリアの説得に妹は断固反対と声をあげる。そもそも年を取れば消えるはずの気持ちなので余計な刺激を与えずにほっておくのが一番だと俺は思うのだが。


「そうだ、僕が彼の本性を暴いてあげるよ」


なんだか変な方向に話が転がりだす、まさか一緒に冒険するなんて言い出さないだろうな。そして俺以上にくすぐるのはやめてもルリアの横にいた彼女が警戒をしていた。何か彼女に警戒する要素でもあるのだろうか。


「マスターは変なほうに鈍い。これは嫉妬」


コレットは普段から想像できない言葉を口にする。割と真実味を感じさせるほのかにひきつった表情が珍しい。


「ねえ、君のパーティー入れてくれないかな。一応君と同じCランク冒険者なんだけど」


思っていたよりも高い、少し覗いてみると前見た時よりレベルが2上がっていた。ただ俺の目の前で散々本性を暴くなんて言っておいてよく気軽に言えるものである。俺は可愛い女の子が入るのは全く問題ないのだが。


『レン様は気に入った女の子をパーティーに囲わないと気が済まないのですか……』


いつもと違い呆れたような声色のユニ、てっきり俺の運命の先でも見えているのだと思っていたのだが。そう考えると返事が返ってくる。


『いえ、そもそも私は情報にアクセスできるだけで未来が見えるわけではありませんから』


それもそうか、ほとんどの情報にアクセスできるから未来予知みたいなこともできるのだろうがそれは本来の使い方ではないのだろう。

意識を前に戻すとこの僕っ子は少しだけ不安そうになっていた、とりあえず俺はいいのだがと周りのパーティーメンバーに目を移すと頷いてくれる。本当にいいやつらに囲まれている。

ただメインの彼女はそろそろ少し膨れているので後でフォローしておくべきだろう。こうして俺たちに盗賊職の仲間が臨時で加わった。

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