9話 秋、収穫祭。
王都は、いつもとぜんぜんちがう街になっていた。
大きな道には、きれいな色の布がいっぱいかざってある。
お店の前には、麦の穂や木の実や、お花もかざってあった。
広場には、朝からたくさんのお店が出ていた。
農村から持ってきた野菜や果物、小麦、チーズなんかがいっぱい売っている。
「焼きたてのパンだよ!」
「今年とれたリンゴだ! 甘くておいしいぞ!」
「焼き栗はいかがですかー!」
いろんな人が大きな声で呼んでいる。
お肉を焼いているいい匂いもする。
甘いお菓子の匂いもする。
おいしそうな匂いがいっぱいで、お腹がすいてきた。
いつもなら馬車が走っている大通りも、人がいっぱいだった。
子供たちは楽しそうに走り回っている。
農民も、商人も、職人も、冒険者もいる。
今日はみんな楽しそうだ。
中央広場には、大きな舞台も作られていた。
吟遊詩人たちが楽器を鳴らして、歌を歌っている。
そのまわりでは、腕相撲をしたり、弓で的をねらったり、子供たちが遊べるものもたくさんあった。
そして、広場の真ん中には、とても大きな麦の束がかざってあった。
今年はたくさん麦がとれたから、それをみんなに見せているんだって。
お昼になると、
カーン、カーン、カーン!
大聖堂から大きな鐘の音が聞こえてきた。
収穫祭が始まる合図だ。
神官たちは、今年とれた小麦や野菜や果物を神様におそなえしていた。
今年もたくさん食べ物がとれました。
ありがとうございます。
来年もいっぱいとれますように。
そうやってお祈りするんだ。
それから王族の人たちが広場にやってきた。
すると、みんなが、
「わああああ!」
と大きな声を上げた。
国王様が手を上げる。
「今年も無事に収穫を終えることができた!」
国王様の声が広場に響いた。
「これも皆が一年間、頑張ってくれたおかげだ! 今日は身分を忘れて、みんなで楽しんでくれ!」
「おおおおおっ!」
また大きな声が上がった。
すごい声だった。
夕方になると、もっと人が増えた。
広場には大きなお鍋がいくつも並んでいる。
中にはお肉や野菜がたくさん入ったシチューが入っていた。
焼いたお肉やパンもいっぱい運ばれてくる。
みんなお酒を持って、
「乾杯!」
と言っている。
笑い声が聞こえる。
歌も聞こえる。
楽器の音も聞こえる。
子供たちの楽しそうな声も聞こえる。
いつもの夜の王都は静かなのに、今日はぜんぜんちがう。
夜になっても、王都は明るくて、ずっとにぎやかだった。
今年もいっぱい食べ物がとれたことを、みんなで喜ぶ日。
来年もいっぱい食べ物がとれますようにって、お祈りする日。
それが収穫祭なんだって。
俺は、こういう祭りが好きだ。
だって、おいしいものがいっぱい食べられるから。




