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悪役令息のほしいものリスト  作者: ボアの本棚


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10話 森の動植物たち



今日は幼稚舎のイベントの日だ。


今日は狩猟祭というらしい。


みんなでチームを作って、幼稚舎のうらにある森へ行く。


森にいる虫や動物を見たり、花や植物を探したりする。


そして、見つけたものをみんなの前で発表するのだ。


「アロア、あの木の上に黄色い鳥がいるぞ! 見てみろ!」


「は、はい……!」


俺は収穫祭の市場で買った遠眼鏡をアロアに渡した。


「お前達も見てみろ! 巣で卵を温めてるぞ!」


後ろで立っているだけだったクライヴとレオンとローザにも遠眼鏡を渡す。


「い、いえ。私は大丈夫です!」


クライヴは頭をブンブン振って、手もフリフリしている。


クライヴはクラスの中で一番背が高い。


レイス侯爵家の三番目だ。


「はい!」


レオンはビシッ!背を伸ばし、両手を足につける。


ブーツには花と鳥の飾りがついていて、おしゃれだ。


俺より一つ年下で、オルン伯爵家の五番目らしい。


「役割分担ですわ、ノア様」


ローザが言った。


「ノア様とアロア様が目標を見つけて、クライヴ様がお話を聞く。そして私とレオン様が紙に書く」


「そのほうが、みんなでやるより早いと思います」


そう言ってローザはニコッと笑った。


ローザは銀色の髪で、赤いドレスを着ている。


キャリー伯爵家の一番目だ。


「そうか。それもそうだな」


「アロア、動物も花もいっぱい探すぞ!」


「はい!」


森には、いろんなものがいた。


黄色い鳥。


赤いウサギ。


黒いリス。


それから、風船みたいにまんまるになって空を飛んでいくタヌキ。


パンッ!と種を飛ばす花もあった。


お昼になると、湖からザザアアッ!と大きなチューリップが出てきた。


すごく大きかった。


お昼ご飯は卵とハムのサンドイッチ。


あまずっぱいレモンティー。


デザートは桃のアイスクリームだ。


原っぱにシートをしいて、みんなでお昼ご飯を食べた。


そして、午前中に見つけた動物や花の話をした。


「風船みたいに飛んでいったタヌキ、どこに行ったんだろうな」


俺はサンドイッチを食べながら言った。


「……雲の上まで飛んでいってしまったのでしょうか」


アロアが左手を口にあてて、首をかしげる。


「地上にもどるには、風船の空気をぬかなければいけませんよね」


ローザが優雅に紅茶を飲みながら言う。


「風船みたいにブシューッ!って知らないところまで飛んでいって、そのあとシュルシュルって落ちてきて、馬車にひかれて!?」


レオンがペンを持ったまま、顔をぐしゃっとした。


「可哀想です!」


「レオンは想像力がすごいね」


クライヴが言う。


「はい! よく言われます!」


「午後の自由時間は図書館に行って、タヌキの本でも探してみるか?」


「ノア様の意見に賛成です。集まった情報も整理したいですから」


アロアと動物や花のことを書いた紙を見ながら、ローザが言った。


紙といえば……。


「あ、そうだ。アロアにお土産があるんだ」


「私に、ですか?」


「そう。俺の避暑地がある街で買ったんだ」


セイジが小さな黒い箱を持ってきた。


これからはクロエの代わりに、セイジが俺の世話をすることになった。


俺は箱を受け取って、リボンを外した。


そして、蓋を開ける。


アロアに見えるようにする。


「黄色のバラの髪留めだ」


「え……」


「よかったら使ってくれ」


「……私がもらっても、よろしいのですか?」


「お前に似合うと思って買ったんだ」


「………」


アロアが、そっと手を伸ばした。


そのときだった。


「メェエエエエエ!!」


ドドドドドドドド!!


ガシャアア!!


目に見えない何かが、ものすごい速さで走っていった。


「「キャアア!!」」


「アロア様!」


「ローザお嬢様!」


「うわっ! なんだ!?」


「羊!?」


「クライヴ様!」


「レオン様!」


メイドたちが俺たちを守ろうとして、上からかぶさってきた。


見えない何かは、こっちを振り返った。


そして、また俺たちに向かって走ってくる。


「サイレントシープだ! 全員、逃げろ!!」


護衛の騎士が叫んだ。


「「メェエエエエエ!!」」


ドドドドドドドド!!


「ノア様!!」


もうダメだ!


俺は腕で顔を隠して、目をぎゅっと閉じた。


そのときだった。


「マギアフルメン!」


ドカアアアン!!


バリバリバリィィ!!


「「ギメエエエエ!!」」


すう……。


今まで見えなかったものが、見えるようになった。


そこにいたのは、大人二人分くらいの大きさがある、ものすごく大きな羊だった。


ずどぉぉん……。


巨大な羊たちは、何秒かフラフラした。


そして、大きな音を立てて倒れた。


「なんでこんなところにサイレントシープが……」


「今の雷はなんだ!?」


騎士たちがびっくりしている。


みんながセイジを見ていた。


「俺……今、ノア様を守らなきゃって思って……」


セイジは自分の手を見つめていた。


「そしたら、頭の中に言葉が浮かんできて……気づいたら雷の魔法を撃ってた……」


「勇者だ……」


メイドに左右から抱っこされているクライヴが言った。


『雷の魔法』は勇者にしか使えない。


絵本にもそう書いてあった。


みんな、何も言わなかった。


森が、とても静かになった。



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