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悪役令息のほしいものリスト  作者: ボアの本棚


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64話 時渡りの道



「く、暗い……」


レオンが小さな声で言った。


本当に暗い。


前も後ろも真っ暗で、ランプの明かりがないと何も見えない。


「長いですね……。どれだけ歩いたのでしょう」


ローザも疲れた声で言う。


通路はすごく細かった。


人が一人ずつしか通れないくらいだ。


俺が一番前。


その後ろにローザ、アロア、レオン、クライヴの順番で歩いている。


「はぁ……はぁ……」


もう疲れた。


足も痛い。


そういえば俺達、ずっと裸足だった。


「ぃた……」


後ろから小さな声が聞こえた。


振り返ると、アロアが足を押さえている。


「大丈夫ですか! アロア様!?」


ローザがすぐに駆け寄った。


「だ、大丈夫……です」


でも、全然大丈夫そうじゃない。


俺はランプをローザに渡して、アロアの顔を照らした。


「汗、すごいぞ……」


アロアの顔は汗でびっしょりだった。


「ダメですよ! アロア様、無理しちゃダメです!」


レオンが心配そうな声を出す。


「ローザ、アロアと場所を変われるか?」


「は、はい!」


ローザがその場にしゃがんだ。


「アロア様、私を越えてください」


「……ごめんなさい」


アロアがローザの背中をよいしょ、と越えてくる。


「ほら、背中に乗れ」


「の、ノア様……」


「いいから」


俺はアロアを背負った。


アロアは軽かった。


でも、俺の足はもう限界だった。


それでも歩く。


一歩。


また一歩。


「はぁ……はぁ……」


どれくらい歩いたのか、もう分からない。


ずっと一本道だから、時間のことも分からなくなってきた。


そして。


「……あ!」


前のほうに、細い光が見えた。


縦に一本だけ、光が漏れている。


「出口だ!」


俺は急いでそこまで行った。


光が漏れているところに手をかけて、体全部で押す。


「んんんんっ!」


ビクともしない……。


「やっと出口なのに!」


ドンドン、ガンガンと壁を蹴る。


ズズッ……。


ズズズズズズ。


大きな音を立てて、扉が開いた。


ここは、どこだ?


「はあーーーっ!」


レオンがその場に倒れ込んだ。


「やっと出られたんですね!」


俺も床に座りたかった。


でも。


「アロア様! 足が!」


ローザの叫び声が聞こえた。


「え?」


アロアの足を見る。


「うわっ!」


足がすごく腫れていた。


しかも、血まで出ている。


「大変だあああ!」


「クリフト爺ぃを呼ばないと!」


ちょうど近くに多くの騎士がいた。


「アロアが足を怪我した!」


騎士達がびっくりした顔をする。


「クリフト爺ぃを呼んで!」


「クリフト爺……?」


「神官のおじいちゃんだよ!」


「アロア第二王女が怪我したって言ったらすぐ来てくれるから!」


一瞬ザワッ!てした後、パジャマの男の人が片手を上げた。


すると騎士達のザワめきが収まった。


早くしないと!


アロアがどんどん苦しそうになっている。


「部屋へ案内させよう」


「アレス殿下!?」


殿下?


こんな人知らない。


どこか別の国まで来ちゃったのか?


「良い」


「私について来なさい」


そう言って「殿下」と呼ばれたその人は、アロアを抱き上げて歩き出した。


部屋の前には、騎士が二人立っていた。


「開けろ」


「しかし殿下。この部屋は……」


「構わない。開けろ」


「はい」


殿下は騎士に部屋を開けるように言った。


そしてドアが全部開くのを待たずに、中へ入った。


アロアをベッドに寝かせる。


この部屋アロアの部屋だ。


じゃあ、ここはフレナリア王国の城?


「アロア……」


近くで見ると、もっと大変そうだった。


汗で髪の毛が顔にくっついている。


息も、


「はぁ……はぁ……」


と苦しそうだ。


「熱もある……」


どうしよう。


その時だった。


メイドが、若い医者?を連れて入ってきた。


その医者は白衣を着ていて。


「酷いな……」


と呟くと、左手をアロアに、右手を俺達に向けた。


「回復!」


パアアアアアッ!


暖かい光が部屋いっぱいに広がった。


体がぽかぽかする。


痛かった足も、腕も、どこも痛くなくなっていく。


やがて光が消える。


「……治った?」


自分の腕を見る。


傷が全部なくなっていた。


レオン、ローザ、クライヴも驚いている。


「すごい……」


もう大丈夫だ。


アロアも痛いのなくなったみたいだ。


みんな大丈夫。


そう思ったら。


なんだか急に眠くなってきた。


「ふぁ……」


大きなあくびが出る。


横を見ると、レオンはもう寝ていた。


ローザも、


「すぅ……すぅ……」


と寝息をたてている。


「早いな……」


クライヴを見る。


クライヴも俺を見る。


そして二人で、


「へへっ」


と笑った。


なんだか安心した。


今日は本当に疲れた。


俺も目を閉じる。


そこから先のことは、もう覚えていない。




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