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悪役令息のほしいものリスト  作者: ボアの本棚


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57話 ジーナお姉様にご報告


週末。


王城に着くと、俺とトリス先生はジーナお姉様のところへ案内された。


「ノア、久しぶりですね」


「ジーナお姉様!」


俺は駆け寄りそうになったけど、王城なので我慢した。


「今日は何か大事なお話があると聞きましたが?」


「はい!」


俺は持ってきた箱を机の上に置いた。


「これです」


ぱかっ。


中には、何本もの鉛筆と消しゴムが入っている。


「これは……?」


ジーナお姉様が不思議そうに見る。


「鉛筆です!」


俺は一本持ち上げた。


「インクを使わないで、字が書けるペンなんです」


「インクを使わずに?」


「はい!」


俺は紙を一枚取り出して、鉛筆で文字を書く。


スーッ。


『ノア』


「この黒いところで字を書くんです」


「まあ……本当に書けていますね」


ジーナお姉様が驚いている。


「しかも、インクのように滲みません」


トリス先生が説明を続ける。


「鉛筆の芯には、グラファト鉱石とケーラ粘土を使用しています」


「グラファト鉱石とケーラ粘土……」


「グラファト鉱石を細かくして、ケーラ粘土と混ぜます。そして細い棒にして乾燥させ、加熱します」


先生は鉛筆を一本手に取った。


「それを木の板で挟み、削って形を整えたものが、この鉛筆です」


「なるほど……」


ジーナお姉様は鉛筆をじっと見つめている。


「とても小さな道具なのに、作るのは大変なのですね」


「そうなんです」


俺はうんうん頷いた。


「でも、これだけじゃないんです」


「まだあるのですか?」


「はい!」


俺は今度は消しゴムを持ち上げる。


「これは消しゴムです」


「消しゴム?」


「鉛筆で間違えたところを消せます」


俺は紙に大きく文字を書く。


『ジーナ』


そして、その上を消しゴムでゴシゴシこする。


「ほら!」


黒い文字が消えていく。


「まあ……!」


ジーナお姉様が目を丸くする。


「本当に消えてしまいました!」


「すごいでしょ!」


俺は嬉しくなって、消しゴムを見せる。


「これがあれば、間違えても紙を捨てなくていいんです」


「それは資源を無駄にしなくて済みますね」


ジーナお姉様が感心する。


するとトリス先生が少し真面目な顔になった。


「ただし、こちらは鉛筆よりも材料の扱いに注意が必要です」


「危険なのですか?」


「材料の中には、粉になって飛び散るものや、加熱するときに注意が必要なものがあります」


先生は俺を見る。


「ですから、実験では安全な材料だけをノア君に触らせ、危険な作業は私が行いました」


「はい!」


俺も大きく頷く。


「危ないものは先生がやってくれました!」


「それは大切なことですね」


ジーナお姉様が優しく笑った。


「そして、今日はもう一つ報告があります」


「もう一つ?」


俺は思わず身を乗り出す。


「この鉛筆と消しゴムを、友達にも使ってもらいました!」


「みんなの反応は?」


「すごかったです!」


俺はみんなの反応を思い出す。


「レオンは、インクがいらないのがすごいって言ってました!」


「クライヴは手紙を書くのに便利だと!」


「ローザは滲まないから便利と言ってました!」


「アロアは、消しゴムを見てびっくりしてました!」


「ふふっ」


ジーナお姉様が楽しそうに笑う。


「みんなに喜んでもらえたのですね」


「はい!」


俺は胸を張る。


「だから、もっといっぱい作って色んな人に使ってほしいです!」


トリス先生も頷いた。


「今回の試作品はまだ完成品ではありません。芯の硬さや黒さ、消しゴムの硬さなど、さらに改良できる余地があります」


「なるほど」


ジーナお姉様は鉛筆と消しゴムを手に取った。


「これは、とても面白い発明ですね」


「でしょ!」


「ノア、素晴らしいものを作りましたね」


「ふふふ……」


俺はちょっと照れた。


でも、まだ言いたいことがある。


「あとね!」


「まだありますの?」


「レオンが言いました!」


俺は目を輝かせた。


「他の色もあったらいいのにって!」


トリス先生の目が、すっと細くなる。


「色……ですか」


「はい!」


「赤とか、青とか、黄色とか!」


俺は次々に指を折る。


「紫も! 緑も! いっぱいです!」


ジーナお姉様が笑った。


「つまり、次は色のついた鉛筆を作りたいのですね?」


「はい!」


俺は元気よく答えた。


「だから、まだまだ発明するんです!」


トリス先生も小さく笑う。


「……研究することが、また一つ増えましたね」


「はい!」


俺は嬉しくなった。


鉛筆。


消しゴム。


そして、次は色鉛筆。


考えれば考えるほど、作りたいものが増えていく。


俺は拳をぎゅっと握った。






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