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悪役令息のほしいものリスト  作者: ボアの本棚


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51/69

51話 悪役令息のステータス


ついに来た!


初等部の入学式!


俺は朝から新しい制服を着ていた。


鏡の前に立って、くるっと回る。


「……かっこいい!」


半ズボンじゃない!


長いズボンだ!


幼等部の制服より、ちょっと大きい。


胸には王立学園の紋章もついている。


「ノア様、とてもよくお似合いですよ」


クロエが俺の襟を直してくれる。


「本当?」


「はい。とても素敵ですよ」


「ふふ」


嬉しくなって笑う。


すると、ドアが開いた。


「おお! ノア、似合っているぞ!」


「お父様!」


俺はお父様のところへ走っていく。


お父様は俺の頭を大きな手でなでてくれた。


「今日から初等部の一年生か」


「はい!」


「先生の話をちゃんと聞くんだぞ」


「お任せください!」


「友達とも仲良くするんだ」


「もちろんです!」


お父様が笑った。


「それなら大丈夫だな」


俺もちょっとだけ胸を張る。


今日から俺は、初等部の一年生だ!


◇◇◇


王立学園に着くと、門のところに人がいっぱいだった。


馬車もいっぱい。


きれいな服を着た人もいる。


騎士みたいな服を着た人もいる。


俺と同じくらいの子もいる。


大きなお兄さんやお姉さんもいる。


「すごい……」


俺は口をぽかんと開けた。


すると、


「ノア様!」


聞き慣れた声がした。


振り向く。


「クライヴ!」


クライヴがいた。


「おはようございます」


「おはよう!」


「ノア様」


今度はローザだ。


「ローザ!」


「今日は一段と素敵ですわ」


「ローザも!」


ローザの制服もよく似合っている。


すると、


「ノア様……」


アロアも来た。


「アロア!」


これで四人がそろった。


「みんな一緒だ!」


「はい!」


みんなで顔を見て笑った。


幼等部のときと同じだ。


でも、今日からは初等部。


なんだか変な感じ。


「それでは、新入生の皆様はこちらへ」


先生が呼んだ。


「じゃあ、行ってきます!」


俺はお父様を見る。


お父様は笑って手を振っている。


クロエも手を振ってくれた。


「いってらっしゃいませ、ノア様」


「いってきます!」


俺も大きく手を振った。


◇◇◇


先生についていくと、大きな建物の中に入った。


入学式をする大講堂だ。


「……うわぁ」


すごく大きい。


天井も高い。


正面にはフレナリア王国の紋章がある。


大きな花もいっぱい飾ってある。


春の花だ。


「綺麗ですね」


ローザが言った。


「うん!」


俺はきょろきょろする。


一年生は前のほうに座った。


後ろには二年生や三年生のお兄さんやお姉さん。


もっと後ろには、お父様たちが座っている。


「人がいっぱいだ……」


だんだん緊張してきた。


「ノア様、顔が固まっていますよ」


クライヴが笑った。


「だって、みんな俺たちを見てるんだぞ」


「大丈夫ですわ」


ローザが言った。


「みんな同じ新入生ですもの」


「そうだけど……」


俺は背筋をぴーんと伸ばした。


クロエに、


『姿勢をよくしてくださいね』


って言われていたからだ。


◇◇◇


しばらくすると、入学式が始まった。


「これより、フレナリア王立学園初等部、入学式を始めます」


先生の声が大講堂に響いた。


俺も背筋をぴーん。


しーん。


みんな静かだ。


俺も静かにする。


学園長先生が前に立った。


「新入生諸君。入学おめでとう」


学校で勉強すること。


友達を大切にすること。


先生の話を聞くこと。


いろんな話をしてくれた。


俺はちゃんと聞いた。


ちゃんと聞いてる。


でも……。


ちょっと長い。


「……いつまで続くんだ」


小さな声で言った。


隣のクライヴが笑っている。


「ノア様」


「だって長ぇんだもん……」


ローザがこっちを見る。


「静かにしてくださいませ」


「はい……」


ちゃんと聞きます。


◇◇◇


「続いて、クラス分けを行います」


壇上に大きな透明な板が運ばれてきた。


五枚もある。


「名前を呼ばれた人は前へ出てください」


先生が説明する。


「板に触れると、その人の適性が表示されます」


へえ。


剣術。


攻撃魔術。


回復魔術。


それから知性。


この四つの数字を見て、クラスが決まるらしい。


「最初の生徒です」


名前を呼ばれた子達が前に出る。


透明な板に手をつける。


パアッ!


板が光った。


そして数字が出た。


【剣術適性】12

【攻撃魔術適性】20

【回復魔術適性】3

【知性適性】10


「おお……」


俺は思わず声を出した。


数字が出るんだ。


なんだかすごい。


何人かの子が呼ばれていく。


そして。


「ノア・ドルツ!」


「はい!」


俺は元気よく返事をした。


大講堂に俺の声が響いた。


「クライヴ・レイス」


「はい!」


クライヴも返事をする。


「ローザ・キャリー」


「はい」


ローザはきれいな声だ。


そして、


「アロア・フレナリア」


「…………」


アロアは返事をしなかった。


後ろから、


「王女様だ……」


「仮面をつけてる……」


「顔に怪我したから隠してるって話、本当かな」


小さな声が聞こえてきた。


みんなアロアを見ている。


アロアは下を向いていた。


胸の前で手をぎゅっと握っている。


手が震えてる。


「アロア、大丈夫だ!」


俺が小さな声で言う。


「背中を伸ばせ!」


アロアが俺を見る。


「前を向け!」


「ノア様……」


「その仮面、かっこいいぞ!」


アロアの目が少し大きくなった。


「アロア・フレナリア!」


もう一度、名前が呼ばれた。


「は、はい!」


アロアは背筋をぴーんと伸ばした。


そして、前を向いた。


◇◇◇


俺たちの名前が板に表示された。


まず俺。


【ノア・ドルツ】


【剣術適性】1

【攻撃魔術適性】0

【回復魔術適性】2

【知性適性】5


【クラス】0


「…………」


俺は板を見る。


数字がいっぱい。


でも、俺の数字はぜんぜん大きくない。


「さ、さすが雑魚敵令息のステータス……」


ちょっと悲しくなった。


すると先生が言った。


「ノアさんは戦闘系の適性がほとんどありませんね」


「…………」


やっぱり。


でも、先生は続けた。


「ですが、これだけで人の価値が決まるわけではありません」


「知性を伸ばす勉強もあります。ノアさんはそちらで頑張りましょう」


「……はい」


次はクライヴ。


【クライヴ・レイス】


【剣術適性】3

【攻撃魔術適性】2

【回復魔術適性】36

【知性適性】24


【クラス】1


「回復魔術がすごい!」


俺が言う。


「神官クラスですね」


クライヴは嬉しそうに笑った。


次はローザ。


【ローザ・キャリー】


【剣術適性】2

【攻撃魔術適性】42

【回復魔術適性】3

【知性適性】31


【クラス】3


「攻撃魔術が42!」


俺はびっくりした。


「魔術師クラスです」


ローザは小さく頷いた。


そして最後。


アロア。


【アロア・フレナリア】


【剣術適性】34

【攻撃魔術適性】38

【回復魔術適性】2

【知性適性】48


【クラス】0


「…………え?」


俺はもう一度、板を見る。


「アロア、数字いっぱいだ!」


剣術も高い。


攻撃魔術も高い。


知性も高い。


「アロア様は剣士クラスです」


先生が言った。


「剣術と攻撃魔術、両方の適性が高いので、魔法剣士を目指すこともできるでしょう」


「魔法剣士!」


俺はアロアを見る。


アロアは少し恥ずかしそうに笑った。


俺は自分の板を見る。


【クラス】0。


「……あれ?」


俺のクラスも0だ。


アロアと同じ。


「アロアと俺、同じクラス?」


俺が聞くと、先生が首を振った。


「いいえ。クラス番号はそのままクラス名を表しているわけではありません」


「そうなの?」


「あくまで参考って事?」


「はい」


俺はちょっと安心した。


でも――。


俺は思った。


俺は剣もできない。


魔法もほとんどできない。


回復魔法もできない。


頭も良くない。


「どうすんだよこれ……」


今日から初等部。


俺の新しい学校生活が始まった……。



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