5話 夏至の祭り
げし。
一年で一番、お昼が長い日。
この国では、げしの日になると、国中でお祭りをする。
街の大通りには、きれいな花や旗がいっぱい飾られていた。
朝から人もいっぱいだ。
「わあ……!」
馬車の窓から外を見る。
道には屋台がずらーっと並んでいる。
焼いたお肉。
ソーセージ。
パンや果物。
あまいお菓子。
見たことがない食べ物もいっぱいある。
「リアムお兄様! あれは何ですか!?」
「あれは焼き菓子だよ」
「あれは!?」
「果物を砂糖で煮たものだね」
「あれは!?」
「……ノア、少し落ち着きなさい」
リアムお兄様が笑う。
だって、いっぱいおいしそうな物があるんだから仕方ない。
今日はげし祭りなんだ!
しかも、すごいお祭りだ。
王族や貴族も来る、国で一番大きなお祭りなんだって。
ひしょちの街にも、たくさんの人が来ていた。
人がいっぱいで、前に進むのも大変そうだ。
大通りでは音楽隊が音楽を鳴らしている。
その後ろでは、踊り子さんたちが楽しそうに踊っていた。
騎士さんたちの試合もあるらしい。
広場では、子供が遊ぶところもある。
花冠を作るところもあるんだって!
「ノア、今日は一日楽しめそうだね」
リアムお兄様が笑う。
「はい!」
俺は馬車の窓から、もっとよく見ようとした。
「ノア様、危ないですよ」
クロエに捕まって、座るところに戻される。
「お祭りは逃げませんから、ゆっくり楽しみましょう」
「うん……」
◇◇◇
そして、夜になった。
昼とは違って、街は明るい光でいっぱいになっていた。
広場の真ん中には、大きな薪がいっぱい積まれている。
そのまわりには、たくさんの人が集まっていた。
貴族も、平民もみんな一緒だ。
みんな楽しそうにしている。
しばらくすると、街のおじさんが広場に出てきた。
「今年も無事に夏至を迎えられたことを、神々に感謝しよう。そして、これからもみんなが元気に暮らせるよう願おう」
おじさんがそう言うと、
「わあああ!」
みんなが大きな声を出した。
そして、薪に火をつけた。
ボッ!
「わあああ!」
大きな火が一気に燃え上がった。
すごい!
火が夜空まで届きそうなくらい大きい。
音楽も鳴り始めた。
広場では、みんなが楽しそうに踊っている。
おいしそうな料理もいっぱい並んでいる。
俺はリアムお兄様と一緒に、それを眺めていた。
「すごい……」
空を見る。
すると、たくさんの光が空に浮かんでいた。
魔法で作った光の花が、夜空で次々に咲いていく。
「きれいだね……」
リアムお兄様が言った。
「はい!」
げし祭り。
一年で一番、お昼が長い日。
でも、夜になってもお祭りは終わらない。
みんなが笑って、楽しそうにしている。
俺も今日はいっぱい遊んで、いっぱい食べた。
すごく楽しかった。
きっと、ずっと忘れない日になると思う。




