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悪役令息のほしいものリスト  作者: ボアの本棚


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45/69

45話 雪だるまは二段か三段か……。


『ぼくの一年の思い出』


ぼくは、この一年でいろんなことがありました。


一番楽しかったのは、みんなと手話と点字の絵本を作ったことです。


目が見えなくて、耳も聞こえないジーナお姉様とお話ししたり、お手紙を書いたりしたくて、「点字」というものを作りました。


点字は、指で触ると文字が分かります。


最初はどうやったら分かりやすいのか、いっぱい考えました。


みんなと一緒に何回も作り直しました。


それから、目が見えない人でも読めるように、点字を使った絵本も作りました。


みんなで、


「これはどうする?」


「こっちのほうがいいよ!」


と考えながら作ったので、とても楽しかったです。


一番びっくりしたことは、生まれた時から耳が聞こえない子は、上手におしゃべりするのが難しいことです。


ぼくは、耳が聞こえなくても、おしゃべりはできると思っていました。


でも、耳で声を聞くことができないと、自分の声がどんな音なのか分からないそうです。


ぼくは、それを知ってびっくりしました。


「そうだったのか!」


と思いました。


一番心に残っているのは、孤児院で絵本を読んだことです。


見ることができない子。


聞くことができない子。


おしゃべりすることができない子。


いろんな子がいました。


ぼくたちが作った絵本を見たり、触ったりして、みんなが笑ってくれました。


その時、ぼくはすごく嬉しかったです。


絵本を作るのは大変でした。


何回も作り直しました。


「もうちょっと!」


って、みんなで頑張りました。


それでみんなが喜んでくれたので、作ってよかったと思いました。


この一年は、幼稚舎に入ったり、友達ができたり、いろんな人に会ったりしました。


最初は幼稚舎に行きたくありませんでした。


お父様に「幼稚舎に行くんだ」と言われた時は、


「行きたくない!」


って言いました。


でも、今は幼稚舎が楽しいです。


来年も、みんなといっぱい遊んで、いっぱい勉強して、いっぱい新しいものを作りたいです。


ノア・ドルツ。


◇◇◇


礼をして、顔を上げる。


すると、


パチパチパチパチ!


「わあ……!」


みんながいっぱい拍手をしてくれた。


なんだか恥ずかしい。


でも、嬉しい。


俺はぺこっと、もう一回頭を下げた。


「すごいです!」


「えらいですね!」


「とってもよかったですわ!」


みんなが褒めてくれる。


俺はちょっとだけ胸を張った。


頑張って書いてよかった。


……まあ、作文を作るのを手伝ってくれたのはリアムお兄様だけど。


書いた作文は、来月に開かれる「全国作文コンクール」というものに出すらしい。


優勝すると、お金がもらえるんだって。


「お金かぁ……」


お金も嬉しい。


でも俺は、お金よりもフルーツがいっぱい乗った大きなケーキのほうが嬉しい。


イチゴとか、ブドウとか、桃とか!


いっぱい乗っているやつがいい。


……優勝したら、ケーキにならないかな?


◇◇◇


あと少しで「来年」になる。


一年の終わりになると、どんなに忙しくても家族みんなで集まることになっている。


そして、今日はその日。


しかも今年は――


なんと!


リオーネお姉様とレティスお姉様も一緒だあ!


リオーネお姉様は王女様で、セレスお兄様の婚約者だ。


レティスお姉様は伯爵家のお嬢様で、リアムお兄様の婚約者。


二人とも、いつか結婚したあとに家族になるから、今から少しずつ一緒に過ごして慣れていくのだそうだ。


俺にはまだよく分からない。


でも、お姉様が二人も増えるのは嬉しい。


昼間は親戚の子たちも遊びに来た。


庭には雪がいっぱい積もっていた。


だから、みんなで雪だるまを作った。


「もっと大きくしよう!」


「こっちを丸くして!」


雪をころころ転がす。


大きくなった。


さらに転がす。


もっと大きくなった。


「でっかい!」


今度は雪合戦もした。


最初は子供だけだった。


でも途中から、セレスお兄様や従兄弟のお兄様、お姉様たちも参加した。


さらに最後には、リオーネお姉様とレティスお姉様まで参加した。


「えいっ!」


「きゃっ!」


「ノア、逃げろ!」


「うわああ!」


気がついたら、庭中が大騒ぎになっていた。


楽しかった。


◇◇◇


夜になると、みんなで食堂に集まった。


お父様。


セレスお兄様。


リオーネお姉様。


リアムお兄様。


レティスお姉様。


それから俺。


みんなで料理を食べながら、この一年にあったことを話した。


いろんな話が出てきた。


その中でも、セレスお兄様の話が一番面白かった。


「海上訓練に参加した時に遭遇した怪物たちには、手を焼きました……」


「怪物!?」


俺は思わず身を乗り出した。


「どんな怪物だったんですか?」


「聞いてくれるかノア!それがなあ!」


セレスお兄様が話し始める。


「それで、それで?」


もっと聞きたい!


すごく面白い!


でも――


「ノア、もう寝る時間だ」


お父様が言う。


「え?」


いつの間にか、もう寝る時間になっていた。


「まだセレスお兄様の話、聞きたい!」


「続きはまた今度にしなさい」


「えええ……」


もっと聞きたかった。


でも、眠い。


すごく眠い。


◇◇◇


気がついたら、俺はベッドの中にいた。


どうやって部屋まで来たのか覚えていない。


お父様とセレスお兄様とリオーネお姉様は、お仕事があるのでお城に帰った。


レティスお姉様も、家から迎えが来て帰ったらしい。


今、家にいるのはリアムお兄様だけだ。


窓の外を見る。


雪が降っている。


明日から幼稚舎はお休み。


「来年」になるまで、お休みだ。


今年も、いろんなことがあった。


学校に入った。


アロアと友達になった。


セイジたちにも会った。


タヌキにも会った。


ジーナお姉様にも会った。


絵本も作った。


本当に、いっぱいあった。


「来年は、何があるのかな……」


考えていたら、だんだん眠くなってきた。


「まあ……明日になったら分かるか」


俺は布団にもぐった。


そして、そのまま眠った。




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