43話 女神アローナの誕生日
冬中ば。
今日は女神アローナ様の誕生日。
女神アローナ様が生まれた日をお祝いする、一年に一度のお祭りらしい。
朝から王都はすごかった。
いつもの道に白と金色の旗がいっぱい飾られている。
お店にも花が飾られていて、道にはいつもよりたくさんの人が歩いていた。
「うわぁ……!」
俺は馬車の窓から外を見ながら声を出した。
「すごい人ですね!」
「今日は特別なお祭りだからね」
隣に座っているリアムお兄様が笑う。
大通りには、お店がいっぱい出ていた。
焼いたお肉。
パン。
果物。
ケーキ。
それから、見たこともないようなお菓子まである。
「リアムお兄様!」
「うん?」
「お菓子買っていいですか?」
「まだお祭りの会場に着いてないよ」
「でも、あそこにあります!」
「……よく見つけたね」
リアムお兄様が苦笑する。
だって、お菓子は大事だから。
王都の中央広場には、大きな女神アローナ様の像が置かれていた。
その前には、たくさんの花が飾られている。
白い花。
黄色い花。
青い花。
赤い花。
いろんな花がいっぱいだ。
みんな女神アローナ様にお祈りしている。
「アローナ様、いつもありがとうございます」
「今年もよろしくお願いします」
そんな声が聞こえてくる。
俺も手を合わせた。
「アローナ様、いつもありがとう」
すると、俺の前に座るクロエが笑った。
「ノア様は何をお願いしたのですか?」
「お願い?」
「はい」
「えーっと……」
俺はちょっと考えた。
おいしいもの。
新しい本。
行きたい場所。
いっぱいある。
でも、最後に思いついた。
「みんなが元気でいられますように」
「……ふふ」
クロエが嬉しそうに笑った。
「素敵なお願いですね」
そのあと、広場では音楽が始まった。
楽器を持った人たちが音楽を鳴らして、踊っている人もいる。
魔法使いのお兄さんは、空に光る花をいっぱい咲かせた。
「すごい!」
白い光が空に上がって、ぱあっと大きな花になった。
「魔法で花を作ってる!」
「綺麗だね」
「俺もやりたい!」
「ノアにはまだ少し早いよ」
「えー!」
お昼になると、みんなでお祭りの料理を食べた。
焼いたお肉も、パンも、果物もおいしかった。
そして――。
「ケーキ!」
大きなケーキが売っていた。
上にはイチゴがいっぱい乗っている。
「リアムお兄様!」
「はいはい。買ってあげようね」
「やった!」
今日は女神アローナ様の誕生日。
王都中が笑っていて、音楽が鳴っていて、おいしいものがいっぱいある。
夜になると、もっとすごかった。
街中に小さな明かりが灯っていた。
大聖堂も、広場も、王城も、全部キラキラしている。
空にもたくさんの光が浮かんでいた。
「……きれい」
俺は口を開けたまま空を見た。
そのとき、大聖堂の鐘が鳴った。
カァーン……。
カァーン……。
王都中に鐘の音が響いていく。
みんな空を見上げている。
俺も空を見上げた。
「アローナ様」
俺は小さな声で言った。
「お誕生日、おめでとう」
すると、空に白い光が広がった。
まるで、女神アローナ様が笑っているみたいだった。




