31話 くだものいーっぱい!
セレスお兄様が帰ってきた!
「セレスお兄様ああ!」
俺はセレスお兄様に、ぎゅーーーっとだきついた。
「おかえりなさい。セレス兄様」
「おう! リアム、ノア。しばらく見ないうちに大きくなったな!」
「ふふ。ちょっとだけ大きくなりました」
「俺も大きくなりました!」
ほんとは、そんなに変わってないけどね。
「今日は城で大活躍だったんだってな。ノア。えらいぞ」
「はい!」
俺は胸をはった。
「地面にすわって、お花をずーっと見てる変な人に会いました!」
「変な人って……」
リアムお兄様がちょっと困った顔をした。
「それで、お話ししたら、その人は目が見えなくて、耳も聞こえない人でした。すごく困っていたので、俺がお助けしました!」
「そうか。ノアはやさしい子にそだったな」
セレスお兄様が俺の頭をなでてくれる。
「こいつは大きくなったらどうなるんだろうって、心配していた時もあったが……兄は誇らしいぞ」
「あ……」
俺はちょっとだけ目をそらした。
うん。
そうだよね……。
前の俺は、わがままだった。
すぐ泣いてたし。
レオンとクライヴをつれて、幼稚舎のみんなをいじめてた。
そして大人になったら――勇者にボコボコにされる。
それが俺の未来だった。
……こわい。
でも、勇者といえば……。
「セレスお兄様!」
「ん?」
「セイジは元気にしてますか?」
「ああ。元気だぞ」
「騎士のれんしゅう、いやになってませんか?」
「全然だ。むしろ、楽しくて仕方ないって顔をしてたぞ!」
「ほんとうですか!」
俺はうれしくなった。
よかった。
今のセイジなら、魔王の手下に乗っ取られた王様も、悪魔になったアロアも、殺さないで助けてくれるかもしれない。
「リオ殿下とジーナ様から、お礼のケーキをもらってきたぞ」
セレスお兄様がそう言うと、後ろにいた執事が大きな箱を持ってきた。
「ノアが好きな、くだものいっぱいのケーキだ。みんなで食べよう!」
「くだものいっぱい!?」
俺は箱をじーっと見た。
「桃ありますか!?」
「あるぞ」
「梨は!?」
「ある」
「ブルーベリー!」
「あるぞ」
「いちご!」
「もちろんある」
「メロンもあるぞ!」
「だあーーー!!」
うれしい!
俺はぴょんぴょん飛びはねた。
今日は最高の日だ!




