25話 あれから3ヶ月
冬至祭から、三ヶ月がたった。
俺たちの種は、毎日ちゃんと大きくなっている。
最初は土からちょこんと芽が出ているだけだった。
それが今では――。
「わあ!」
俺は温室の中に入って木を眺めた。
「大きくなった!」
三ヶ月前は小さかったのに、今では俺の胸くらいまで大きくなっている。
葉っぱもいっぱいだ。
「ノア様、触るときは優しくですよ」
庭師のおじさんが教えてくれる。
「うん!」
俺は葉っぱをそっと触った。
つるつるしていて、ちょっとひんやりしている。
まだ果物はなっていない。
「いつ実がなるの?」
「もう少し先でしょうな」
「あと何日?」
「それは……木に聞いてみないと分かりませんな」
「木に聞いても喋らないよ?」
「ははは。そうですな」
◇◇◇
みんなの木も見せてもらった。
アロアの木は、葉っぱの先が少し赤い。
温室の中も、ほかより暖かい。
「火の力があるからだそうです」
アロアが教えてくれた。
「触っていい?」
「いいですよ」
「わっ! あったかい!」
葉っぱがほんのり温かかった。
「すごい!」
クライヴの木は、葉っぱが大きくて、葉っぱの上に小さな水滴がいっぱいついている。
「雨が降ってないのに水がある!」
「水属性だからですかね?」
クライヴが嬉しそうに笑った。
レオンの木は、葉っぱがキラキラしている。
太陽の光が当たると、葉っぱの中に小さな光がいっぱい見える。
「星みたい!」
レオンが嬉しそうに言った。
ローザの木は、葉っぱが濃い緑色で、とても元気だ。
根っこが土の中で大きくなっているらしく、鉢も少しずつ大きなものに替えてもらっている。
そして俺の木。
三日月の種から出た木は、五本の中で一番葉っぱが大きかった。
葉っぱは緑色だけど、よく見ると白い線が入っている。
夜になると、ほんのり光るらしい。
「きれい……」
俺は木を眺めた。
「ロア、見てるかな?」
「きっと見ていますよ」
アロアが笑った。
「そうかな?」
「ええ」
俺は木の幹をそっと撫でた。
「ロア、元気だよ」
もちろん返事はない。
でも、葉っぱが風もないのに、ふるふるっと揺れた。
「……今、動いた?」
「気のせいじゃないですか?」
「そうかな?」
俺はもう一度、木を見る。
やっぱり動いていない。
「まあいいや」
まだ実はない。
でも、ちゃんと大きくなっている。
あと三ヶ月したら、もっと大きくなるかな?
そのころには果物ができるかな?
「早く実がならないかなー!」
俺は木を見ながら、毎日そう思っている。




