13話 お城で授業!
冒険者ギルドには行けなかった。
王族や貴族の子供が講習を受けるには、家の当主の許可がいるんだって。
でも、俺たちの家からは許可が出なかった。
すると王様が、
「それなら城で勉強すればいい」
と言ってくれた。
そして今日。
王城の一室で、俺たちは魔物についての授業を受けることになった。
先生は魔法の研究をする研究所で働いている人らしい。
机の上には、とっても大きな本が置いてある。
先生は本を開いて、俺たちを見る。
「では、今日は魔物について勉強しましょう。まず、魔物とは何か分かる人はいますか?」
「はい!」
レオンが元気よく手を上げた。
「大きな羊です!」
「……大きな羊も魔物の一種ですね」
先生がちょっと困った顔をした。
「では、魔物と普通の動物の違いは何でしょう?」
今度は俺が手を上げる。
「魔力を持ってることです」
「その通りです」
先生がうなずいた。
「魔物は体の中に魔力を持っています。その魔力で体が強くなっていたり、種類によっては特別な力を使えたりします」
ローザが手を上げる。
「じゃあ、魔物はみんな人間を襲うんですか?」
「いいえ。魔物だからといって、みんなが人間を襲うわけではありません。草を食べる魔物や、人間から逃げて暮らしている魔物もいます」
「普通の動物と同じ見た目の魔物もいるんですか?」
「もちろんいます。見ただけでは、普通の動物なのか魔物なのか分からないこともあります」
「じゃあ、普通のタヌキに見える魔物もいますか?」
俺が聞くと、先生は少し考えた。
「いますね。動物とほとんど同じ姿をした魔物もいます」
「やっぱり!」
俺は思わず声を出した。
「あのタヌキも――」
「ノア様。まだ、あのタヌキが魔物だと決まったわけではありませんよ」
クロエが言った。
「分かってるって」
俺はちょっとだけほっぺをふくらませる。
クライヴが手を上げた。
「先生。魔物は人間の言葉を話せますか?」
「頭のいい魔物なら、人間の言葉を理解したり、話したりすることもあります」
「じゃあ、強い魔物ほど頭がいいんですか?」
「そういう魔物も多いですね。でも、全部がそうとは限りません」
アロアも手を上げる。
「普通の動物が魔物になることはありますか?」
「とても珍しいですが、魔力の影響で性質が変わる生き物もいます」
「じゃあ、植物はどうですか?」
アロアが続けて聞いた。
「植物にも魔物はいますよ」
「やっぱり……」
アロアの顔が少し青くなる。
「王城のお庭にも魔物がいるのでしょうか……」
「可能性はあります。でも、王城の庭はちゃんと調べていますから、心配しなくて大丈夫ですよ」
先生が笑った。
するとレオンがまた手を上げる。
「先生!」
「はい、レオン君」
「魔物って食べられますか?」
「…………種類によります」
先生がちょっとだけ黙った。
「食べられる魔物もいます」
「じゃあ、大きな羊も食べられますか?」
「レオン」
俺はあわてて止める。
「僕たち、あの羊に食べられそうになったんだぞ」
「あ……そうでした」
レオンがしょんぼりした。
先生が小さく咳をする。
「では、次は魔物の特別な力について説明しましょう」
俺はすぐに手を上げた。
「先生!」
「はい、ノア様」
「人間の記憶を変えて、自分のことを忘れさせる魔物っているんですか?」
先生の顔がちょっと変わった。
「……います」
「やっぱり!」
「ただ、とても珍しい力です。人の心や記憶に関係する力を持つ魔物は、とても危険です」
「じゃあ、そんな魔物に会ったらどうするんですか?」
クライヴが聞く。
「まず、その力を受けないことです。もし記憶を変えられたかもしれないと思ったら、すぐに詳しい人に相談してください」
「でも、力を使われたことを忘れちゃったら?」
クライヴがまた聞いた。
先生は少し考えた。
「……その場合は、とても困りますね」
俺たちはみんなで顔を見合わせる。
「じゃあ、記憶を変えられたことも分からないってことですか?」
「そういうこともあります」
「じゃあ、どうやって見つけるんですか?」
今度はローザが聞いた。
「魔力が残っていないか調べたり、近くにいた人から話を聞いたりします。それから、その魔物がどんな特徴を持っているのかを知っておくことも大切です」
「特徴……」
俺は考えた。
大きくなる。
風に乗って飛ぶ。
それから、記憶を変える。
俺は手を上げた。
「先生!」
「はい」
「危なくなると体を膨らませて、バシュー!て風に乗って飛んで逃げるタヌキって知ってますか?」
「…………」
先生が黙った。
「それから、会った人の記憶から、自分のことを忘れさせるんです」
先生の顔が、どんどん真剣になっていく。
「そのタヌキについて……もう少し詳しく教えてもらえますか?」
俺たちは顔を見合わせた。
なんだろう。
先生の顔が、さっきまでと全然違う。




