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バアバと孫の異世界転移 ーーーそしてバアバの新たなる人生ーーー  作者: 田舎娘
プロローグ

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6/11

  6 カナとの別れ

 今日は、神様の信託のあった日だ。それは、佳苗が日本に帰れる日だが、翔子と佳苗の永遠の別れの日だ。


 朝起きてカナの髪をまとめる。今朝は今までに一番上手くできた。

「可愛いよ、カナ。」

「うん、ありがとう。バアバ。」

 いい笑顔だ。忘れないよ。


 手をつないで城門から出る。街道をちょっと行ったところで森の中へ入る。そこで女神様は待っていてくれた。カナには突然のことだけど、

「カナ、これからママとパパのところへ帰れるよ。よくがんばったね。えらいよ。」

「ほんと?ほんとに?」

「この人と一緒に行けば大丈夫だから、もうちょっと頑張ってね。」

「うん、バアバも一緒だよね。」

「バアバは帰れないの。だから、このお手紙をママとジイジに渡してね。バアバのお願いよ。できるよね。」

「バアバと一緒がいいよ。一緒じゃないといや~。バアバと一緒がいいよー。」

「バアバはね、大きいからママの所へ行く道を通れないの。だから佳苗にお手紙を持って行って欲しいの、お願いよ。」

 ・・・・・。


「バアバのお願いね。頑張れるよね。」

「…うん。カナ、ちゃんとお手紙渡せる。頑張る。」

 泣きながら頷く佳苗を抱きしめる。佳苗の温もりを消して忘れない。


 手紙は女神様にお願いして地球の紙を用意してもらった。本当はいけないことらしいけど、

「今回は神のミスだから特別ですよ。」

「ありがとう神様。さすが神ですね。」


佳苗は、女神さまの手を握り、振り返りながら光の道に消えて行った。翔子は手を振りながら、ずっと、ずっと見送っていた。佳苗の最後の姿を忘れないように、目に焼き付けた。


     *  *  *  *  *


「この道をまっすぐ行けば人がいます。その人にバアバから言われたことを話しなさい。そうすればママの所へ帰れます。ちゃんとできますね。」

 涙をこ笑え『うん』とうなずく少女は佳苗だ。

 ママに会える、帰れる、との思いで駆け足になる。手にはバアバから託された手紙を握りしめている。


 佳苗を保護した男性は交番のおまわりさんだ。さすが女神様いろいろ考えている。佳苗はおまわりさんに、

「あのね。カナは佳苗。ええと、いとうかなえ五歳です。ママの名前は

 いとう・・・。パパはいとう・・・です。あのね。これ・・・。」

 差し出された手紙のようなもの。それを読んで確信したおまわりさん。

 今にも泣きそうな女の子はここ二か月話題の子だ。全国に捜索願いが出され、連日マスコミも取り上げている、今一番有名な子だ。おまわりさんはすぐに本部に連絡した。


「パパやママには連絡したからね。もうすぐ会えるから待っていようね。よく頑張ったね。」

 その言葉で佳苗は崩壊、大声で泣き出した。おまわりさんに抱っこされ安心したのか寝てしまった。しかし、起きるとすぐに、

「ママは?」

「今一生懸命ここに向かっているよ。もう少し待っていようね。」

 またもや泣きそうだが、うんと健気に答える。そして手紙を抱きしめる。


「カナエちゃん、一緒にいたおばあちゃんは?」

「バアバ、うわーん。バアバーーー。」

 バアバの事を思い出し、またや大泣きだ。その時、

「カナちゃんーー。よかった、良かったー。」

「ママ、ママ、ママーーー。ウワーン。」

 親子共々、周りの人たちも泣いている。

「あのね、バアバが…。バアバが…あのね、これ。」

 手紙をママに渡す佳苗は涙がいっぱいである。


 手紙には、佳苗の名前や両親の名前、住所、携帯番号があった。翔子のもある。そして翔子の手紙が書いてあった。


【とんでもないことに巻き込まれました。カナちゃんしか戻ることができません。私は一応元気に過ごしています。

 カナちゃんの話は信じられないことが多いと思いますが、真実です。また、この二ヶ月のことは徐々に忘れていくようです。守ってあげてください。

 私は帰れません。お父さん、今までありがとう。一人になっても頑張ってね。子供たちは各々の幸せを願っています。カナちゃん元気でね。

                         小林 翔子】                                    



     *  *  *  *  *


 バーバラは、カナと別れた後すぐに教会に行った。礼拝堂で祈っていると声が届いた。

「あなたの孫は無事親元に戻りました。多少煩わしいことが続くでしょうが大丈夫です。私の加護を与えました。幸せな人生を送れます。安心してください。あなたにも加護やこの世界で生きている力を与えました。これは神々の贖罪です。そして、この世界を自由に生きてください。迷惑をかけました。」


 よかった。あの子は帰れた。娘の元に帰れたと思うと、寂しさより嬉しさがこみあげてきた。

「私は大丈夫。十歳だけど50年以上の人生経験があります。女神様、私は自由に生きてみます。加護をありがとうございます。心強いです。」


 日本人の小林翔子は思いかけず地球の双子星であるマーズ星に転生した。マーズ星の名はバーバラである。バーバラは新しい人生を歩むため教会を跡にした。

「頑張るぞー。」



読んでいただいて、ありがとうございます。

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