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バアバと孫の異世界転移 ーーーそしてバアバの新たなる人生ーーー  作者: 田舎娘
第一章

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11/12

 11 南の湖

 ニノ鐘(9時頃)が鳴るころ院長が紹介してくれた建具屋さんに行った。お店は西区に近い南区にあった。

 歩こうと思ったが、丁度、巡回馬車が来た。マックスに提案した馬車が実現したのだ。自分の提案だ、乗り心地をたしかめないと。良くはないけど、

「この馬車ができて便利になったわよね。」

「一方通行なのは、場所によっては時間がかかるけどね。でも、子供と一緒の時は助かるわ。」

「年寄りにも、もってこいよね。それに、付き添わなくてよくなったわ。」

概ね、好評だった。朝から、気分の良いバーバラだ。


 お店の人に紹介状を渡すとバーバラが子供なのに驚いていたが話を聞いてくれた。

「トイレを設置したいんだって、家はどこだ。」

「ハイ。できればお風呂も欲しいです。家は商人のギルさんの家だったところです。」

「うん、噂の子供はお嬢ちゃんか。」

 噂ってなんだろう。困った顔をしていると、

「ああ、ギルが死んでその財産をすべて受け取ったラッキーな子供がいるって噂が流れてきた。」

 商業ギルドも冒険者ギルドも兵士達も人に喋らないようにしてくれたって言ってたのに、もう噂になってる。みんな信用できないよ。

「人の口は軽いぞ。どこからかもれるもんだ。それにいずれ知れ渡るぞ。」

 まあそうだろうなと気にしない事にした。


 親方との商談は満足の行くものだった。小さなお風呂ならかなり安かった。珍しいので小さいお風呂も需要があると思って仕入れたが、人気がなく売れ残っていたらしく、在庫処分で安くしてくれた。居間からトイレとお風呂のドアを作った。後、道側の出入り口と庭への出入り口に鍵を設置してもらった。少しは安心だよね。親方は家も見て、これなら5日でできるって言ってくれた。価格も女神様の残りのお金でなんとかなりそうだ。よかった。工事は明日からで、工事の期間中は在宅してくれと言われた。噂の家だから、もし何かあったら嫌だって。まあ当然だね。


 屋台でお昼を買って食べながら南門に向かった。食べ歩きは好きなバーバラだ。日本では行儀が悪いと言われているが、ここではオッケー。ちょっと嬉しい。


 南門にはジミーがいた。

「こんにちは、ジミー。今日は外に出られるかしら。」

「こんにちは。討伐はほぼ終わったと連絡が来たけど、もう少し残りを探すから討伐隊が帰ってくるのは明日の午後ぐらいだ。だけど外への禁止は解除されたから出られるよ。ただここから出ても草や湖しかないよ。魔物も食べられる木の実も何にも生えてないよ。」

「そう聞いてるわ。でも一度は見ておきたかったの。この街が私の家だもの。だから色々な事を知りたいの。」

 嘘はついていない。魔法の練習もしたいけど、見てみたかったのも本当だ。

「気をつけてね。門が閉まるのは日没だよ。それまでに帰ってくるようにね。万一、日没までに間に合わなかったら、ぐるっと回って東門に行けば入れるからね。行ってらっしゃい。」

「行ってきます。

 無事、南門を通過できた。


 南の森は門を少し歩くと見えてきた。その手前に別れ道があり、一方は東門に通じる道に繋がっている。もちろんそっちには行かなで、南の突き当たりにある湖を目指す。

 本当に魔物が出てこない。気が付くと獣道のような細い道が枝分かれしている。多分この道が西の森につながっているんだと推測する。行ってみたいが我慢して湖へ目指す。西の道のどのあたりから魔物や動物が出てくるのか興味はあるが、今日は魔法の練習の日だ。


 結構歩いたと思ったら急に視界が開け湖が目に飛び込んできた。キラキラしてすごくきれいだ。

「海だ。海みたい青い~。」

 しばし青い湖を眺め堪能した。湖に向かって『練習させていただきます』と一礼する。冒険者もいないし、町からもほどよく離れている。魔物も動物もいない。魔法の練習には持ってこいだ。なぜなんだろうとは思ったが、不思議はほっとく。


 魔法の練習とはいえど独学だ。ゲーム好きだったので、そのイメージを思い浮かべる。さらに異世界転生小説を思い出し、魔力を感じられるように体内を探る。確か血管とか骨とか神経とかを意識するとよいって書いてあったはずだ。集中すると、感じる、感じる、これだ、これだ。すごい。


 魔法が発動しそうなのでイメージを大事に水魔法から練習してみる。火魔法を使って延焼しても消化できるようにまず水からと決めていた。


 水魔法

 指から蛇口程度の水が出た。

 消防自動車並みの放水ができた。

 温度の調節はできなかった。


 風魔法

 ドライヤーみたいにできたが、クールのみ。

 湖にかなり大きく波打った。

 湖がモーゼの奇跡みたいに割れた。

 ウィンドウカッターで小さな木が切れた


 土魔法

 10㎝ぐらいの穴が掘れた。最後は1㎡になった。

 1㎡を埋め直した。

 少し土を圧縮できた。


 火魔法

 ライターぐらいの火がついた。

 フャイヤーが打てた。

 ウィンドーカッターで倒した木が燃えた。(水魔法で消せた。)


 回復魔法

 ナイフでの切り傷が治った。

 それ以上は怖くて出来なかった。


 空間魔法

 難しい、できず。


 空間魔法って難しい。ほかはゲームとかのイメージでなんとかなった。水魔法は何か津波のイメージが強くて怖かった。ただファイヤーで木が燃えた時は消火器のイメージで消すことができた。応用できて助かった。


 さっき風魔法で湖から飛び出してきたマグロみたいな大きい魚がいた。マジックバッグに入れたけど、バッグを覗いてみたらマグロ、日本名マグロ。って出てた。マジックバックって優秀だ。わからない物も袋に入れれば名前とか色々教えてくれる。

「ギルさん、ありがとう。」


 魔法の練習でちょっと疲れたようだ。さっき切り倒した切り株に座って小休止中、湖を眺めながら思う。

「絶対、ここは塩湖だよね。さっきもマグロが飛び出してきたし、きっと地下で海まで繋がっている感じかな。どうやったら確認できるんだろう。」

 ”ん‼”すっかり忘れていた鑑定魔法を思い出した。

「アハハ。鑑定。」

 塩湖だ。それも海より塩分濃度が高い。


 この街はこれといった特産物がない国境の街で、兵士も多いのでそれなりに発展はしているが、あくまでもそれだけだ。

 この街に根付いている住民は総人口の半分くらいだ。あとは兵士と商人だ。冒険者はUターン者と新人だ。この数にスラムの人口は入っていない。これでは自給自足はできない。国からの補助がなければとっくに破産している。

 特に塩が高い。


 海に近いが、その海は他国にある。自国に海はない。ここの湖ってどうなってるのかな。調べるのは面倒だからマックスに相談かな。だってマックスって本名マックスウェル・ド・ワンジーグとかで、この国の第二王子だよ。鑑定でそう出た。使える者は使うのだ。



 日も結構傾いたので帰ろうとした時、草に足を取られて転んだ。服が汚れ自分のドジさに嘆いていたが、目の前に青々(緑々?)とした草を見て、頭に浮かんだのはフランスのモンサンミッシェルの羊たちのことだ。満ち潮の時に海に埋もれる草を食べて肉を海の塩味にしている。南門の外で羊が飼育できるかも。

 鑑定も忘れてないよ。結果は、海のミネラルを多く含んだ草、食用可だって。この草も役立ちそうだ。



 汚れを生活魔法で落として南門へ進む途中でジミーに合った。心配して来てくれたらしい。二人で門に向かいながら情報収集だ。

 まず魔法のことを聞く。

 生活魔法を使える人は平民でも多いけど、魔力が少なく1日一回から二回がせいぜいらしい。また生活魔法にも種類があって全部使える人は貴族にも稀だそうだ。すべて発動できる人は魔法の全属性があり、今現在この国には居ない。昔は賢者様や聖女様がいて、伝説やお伽話になっているという。

 私の秘密が増えてしまった。


 さらにジミーに聞く。

 マグロを捌いて欲しいのだ。ジミーも私がマジックバッグを持っていることは知っている。

「ねえジミー。湖にぼーっとしてたら大きな魚が水の中から飛び出して来て、湖に戻れなくなっちゃって弱るのを待ってマジックバックに入れて持っているの。すごく大きいからどこかさばいてくれるところを知らない。」

 十歳の子供らしく、聞いてみた。答えは簡単だった。

「冒険者ギルドで解体してもらえるよ。大きい魚だったらきっと魔物だから、いい値がつくよ。ただ明日は討伐隊が帰ってくるから、今から行くか日を空けた方がいいよ。」

 忠告された。


 バーバラも、今日はお腹いっぱい頭いっぱいでゆっくりしたい。明日からトイレとお風呂の工事があるから外へは出られない。

 マジックバックは時間経過がないからゆっくりでいいや。


 今日も宿に戻る。だって、トイレが・・・。





読んでいただいて、ありがとうございます。

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