12 マグロと塩湖
トイレ・お風呂の工事も終わり、動けるようになり冒険者ギルドにいる。5日もたてばさすがにギルドも街も通常運転だ。
バーバラはメアリーを目指し受付に近づく。
「こんにちは、メアリーさん。」
「バーバラ、こんにちは。ちょうどよかった今回の件で話があったの。今時間はあるかしら。」
「大丈夫です。」
「メアリーに連れられて二階に上がるが、もう一階上がる。三階は初めてだ。二階は資料があるので薬草とか魔物や魔獣とか調べるのに上がったことがあった。
三階の一室にはマックスとギルマスの他に一人知らない人がいた。紹介されて副ギルドマスターだと知った。メアリーも含め四人に話しを聞く。マックスがドンと袋をテーブルに置いた。
「バーバラ、君の情報で大事にならなかった。感謝する、ありがとう。早速だが、その情報料だ。」
驚いていると、ギルマスが
「この情報は非常に有益だった。よってバーバラの冒険者レベルを9級に上げることになる。これからちょっと買い取りが高くなるぞ。」
さらに驚いていると、メアリーが、
「ギルドカードを更新してくるから、カードを貸してちょうだい。あとお金はカードに入れておけるけど、どうする?」
「お、お、お願いします。」
しどろもどろだ。
副ギルマスが、
「私は買い取りを主に担っているのだが、何でも大きな魚が手に入ったとか聞いた。」
「はい。どうして、それを。」
「ジミーから聞いたんだ。どんな魚か見ていないが、この街は魚は珍しい。しかも大きいらしいから、変な噂が出回って、またバーバラが困るんじゃないかと心配して教えてくれた。」
「副ギルマス、ジミーは甥だと紹介し忘れているぞ。」
ギルマスが突っ込む。
「ええー。」
驚きの連続だ。
なんてジミー優しいの。本当の十歳だったら、惚れてしまう。かも?
「ジミーにありがとうと伝えて下さい。」
「伝えよう。それで今持ってるんだろう。ここで出せるか。」
「いえ、頭だけでもこの部屋の半分ぐらいなので無理です。」
三人とも固まった。
「湖から飛び出して来た時は、とっても驚きました。」
「怪我はないか?」
マックスって、やっぱり優しい。
「大丈夫です。」
「それでは、ここでは無理ですね。解体場へ行きますか。」
「あの~、その前にお話があります。」
マックスに言いだす。
「なんだ。」
「南の湖ですが、塩湖だと思います。」
「「「塩湖?」」」
えっ、みんな知らないの。
「塩湖とは、何だ?」
「塩湖は塩を含んだ湖です。だから塩が取れると思います。」
みんな固まった。
「あの~、この国には塩湖ってないんですか?」
失敗したかも。
「ああ、聞いたことがないな。近隣国でも聞かない。大体、塩湖という言葉さえ知らない。お前の国にはあるのか。」
「はい、稀にあります。飛び込んできた魚も海のものだと思います。それに湖の周りに川が流れていませんでしたので、地下で海に繋がっていてそこから海水や魚が流れているのかと。塩が入っている湖なので川魚がいないんだと思います。」
「なぜ塩味があると気づい?」
「恥ずかしいのですが、魚が飛び出て来たので驚いて焦って顔から転びました。その時にしょっぱかったのでそう思いました。それに日本は四方を海に囲まれています。他の国より海を利用しているので、そう思いました。」
みんな転んだあたりで笑いをこらえている。きっと真っ黒になったの想像したんだろうとわかった。ちょっと睨んでしまった。
「取り合えず、南の湖に行って確認だな。商業ギルドには潮の精製ができる者はいるか。」
「秘密にされていますからね。すぐには難しいかと。」
「バーバラ知っているか。」
「ごく簡単な作り方なら。ただ味は落ちます。」
「それでも良い。作ってみてくれ、難しいか。」
「いいえ、すぐできます。鍋と布と火ですね。」
「では魚を見た後で南の湖だ。みなの予定は大丈夫か?一人でもまあ商業ギルドものがいればいい。誰か使いをだせ。」
こんな面白い事、見逃せないと全員で行くことになった。
その前にマグロのお披露目だ。解体場へ移動中、メアリーに会いカードを返してもらう。当然メアリーもついてきた。解体場はギルドの裏にある。大きいけどまだ狭い。頭を横に振ると、あきれたように副ギルド長が隅のドアを開けようとした。すると、どこからか楽しいことを見つけた顔で列に並ぶ人がいた。
ドアの中はおかしい。だって日本の体育館みたいな広さだ。解体場の建物より大きいのだ。物理的におかしい、ありえない。
「アハハ、驚いているな。ここは空間魔法を使って広くしている空間だ。この建物はいつの時代に立てられたかわからないが、ギルドができたときにはもうあった。商業ギルドの建物にもあるぞ。今こんな魔法ができるやつはいないのが残念だな。」
「ギルマス、空間魔法を使える人は今いないんですか。」
「ああ、聞いたことがない。」
バーバラは、自分は使えないけど使えるんだよね。と思いながら、もっと色々勉強しないとと思っていた。
「さあ、さあ、出してください。バーンと。」
ジミーのおじさんは楽しそうだ。他の人も期待してそうだ。
バーンと出しました。頭から尾びれまで20mくらいある日本名マグロ。日本でも20mのマグロは考えられない大きさだけど鑑定でマグロって出ているからマグロだよ。
どうだと思ったら、全員しばし不動。
「バーバラお前よく捕まえられたな。それに、そのマジックバッグの容量はおかしいぞ。」
「ギルさんの遺産です。私は知りません。」
知らないおっさんは、解体の責任者だった。そのおっさんが、
「マックス様、この魚はオークションクラスですよ。うちでは手に余ります。」
「そうだな。バーバラ、この魚はどうするつもりだ。」
「この魚は何ですか?」
ジミーの叔父さんが教えてくれた。
「この魚はマグロです。海でも沖でしか見ることができません。獲ろうと思って獲れる魚ではありません。私も知識だけで見たのは初めてですが、海の地域でも見たことのある人は殆どいないでしょう。過去に賢者様が狩った記録があります。」
私、やっちゃった。どうしよう。
「あの~、冒険者ギルドで買取は……。」
「残念だかできない。価値がありすぎる。」
「あの~、オークションに私の名前が出るんですか?」
「出ないようにもできるぞ。」
「そのようにお願いします。」
「バーバラ、それまでこの魚をマジックバッグに入れといて欲しい、いいか。」
「はい。」
「それから王都のオークションになるからバーバラにもこれを持ってきて欲しいんだが。」
「あの私も王都へ行くってことですか?」
「そうだ。私も保護者として行くぞ。」
「マックス様、俺も行きますよ。」
冒険者ギルドのギルマスだ。
「私も行きたいです。」
メアリーの叫びは無視された。
こうしてバーバラ・マックス・冒険者ギルドマスター・商業ギルドから一人の四人の王都行きが決定した。
大丈夫だろうか?ちょっぴり不安だ。機嫌の悪いメアリーとギルドの受付に戻った。
戻ったら、真っ先にあの馬鹿ガキ大将が目に入った。目が汚れると思ってしまった。その当人は
「あいつだ。あいつはお金欲しさに妹を売ったんだ。早くあいつを捕まえろ。」
何か騒いでいる。妹を売る非道な奴は誰だと馬鹿ガキ大将の指さす方を見ればバーバラしかいない。周囲の視線もすべてバーバラに向けられている。
???なバーバラだが、どうなっているんだ。
読んでいただいて、ありがとうございます。




