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普通の兵士になりたかったのに、皇帝直属の隠密として帝国の闇を任されすぎている  作者: ネコミコズッキーニ
5章、他国でフワッとウワサを流すだけの任務ですよね?

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パーティ結成! 相性がいいかもしれない5人

 なんと……!? パーティ結成!?


 パーティというとアレだよな。ストライダーたちのチーム。ハグリアの街でも〈放浪の翼〉なんていう奴らと会ったし。


 ジェルトは自信満々に言葉を続けていく。


「今日の紅殻魔蠍クリムゾンスコルピオとの戦いで私は確信したよ……! このメンバーであればラブルローン王国に来たばかりのよそ者であっても、王都で一流のストライダーとしてやっていけると!」


「へぇぇ~~?」


「わたしたちの力が欲しいんだぁ?」


「私自身も含めた全員の力が欲しいのさ! まずルナくんとルミアくんの魔術は素晴らしい! これは文句のつけようがないっ! 我々が前衛をカバーすれば、集中力の求められる高度な魔術も安定して発動できるだろう!」


 たしかに……今回、硬い外骨格を持つ紅殻魔蠍を比較的楽に倒せたのは、ルナとルミアの魔術があってこそだ。


 外骨格が熱されたり冷やされたり……とにかく急激な温度変化の影響もあり、もろくなった外骨格を楽に割ることができた。


 だが前衛がいなければ、いくらルナとルミアでも迫りくる紅殻魔蠍を相手に戦い続けるのはむずかしかったはず。


「セリスくんは前衛から中衛で素晴らしい立ち回りを見せてくれていたね! 障壁魔術で前衛のカバーをしつつ、必要な時には前に出て2本のショートソードを振るう……理想的な中衛と言えるだろう! きみがいなければ、無傷で紅殻魔蠍を倒せなかったのは疑いようがない!」


 これもその通りだ。俺もセリスの障壁魔術に助けられたし……! 


 あと言われて気づいたけど、たしかに俺たちは全員無傷で紅殻魔蠍を倒すことができた。それだけセリスのカバーが優れていたということでもある。


 ジェルトは続けて俺に視線を向ける。


「そしてレオン! きみも中衛としての活躍は素晴らしいものだった! とっさの判断力で紅殻魔蠍の目を狙ったり、チェーンを巧みに操ってハサミを絡めとったり……ストライダーとしては変則的だが、この5人で組むとなるときみも欠かせない!」


「そ……そう……?」


 ほめられてうれしいけど、普段こんな手放しで評価されることがないから少し恥ずかしい……!


「でも俺、仙勁オーラレベルは3だし、ストライダーとしてそこまで戦闘力が高いほうでもないけど……」


「ストライダーはたしかに個の強さも大事だ。しかしパーティを組むのは、個の強さよりもそのパーティに噛み合う歯車が大切なのさ」


「歯車……?」


「そう! レオン、きみはとっさの事態に対して幅広く対応できるスキルの持ち主だ! 中衛でチェーンやナイフを使った援護の他、その判断力と冷静な思考力をわたしは高く評価しているのだよっ! よっ!」


 ………………!? これまでのどこを見てそんな高評価になった……!?


「船を下りて賊に遭遇したとき、きみは一瞬で襲われている女性2人を賊の仲間だと見破っただろう? その優れた洞察力はパーティを組むうえで必須のスキルと言える! なぁに、戦闘力はわたしがカバーできるさ!」


 いや、あれは事故みたいなものだったんだけど……! 


 でも正直に答えたら「使い慣れていない武装を使用して、一般人をケガさせていた可能性があるのか!?」と、追及されそうで怖い……!


「そしてこの私が前衛で身体を張れば……どうだ!? これほど理想的なパーティはなかなかないのではないかね!? 想像してみたまえよっ!」


 言われて想像してみる。前衛は仙勁オーラレベル6のジェルトが受け持ち、グレートソードをブン回して戦う。


 紅殻魔蠍との戦いで十分その実力は見えたが、ジェルトはかなり強い。たぶん個の戦闘力はこの中でトップだろう。


 それにストライダーとしての経験も長く、魔獣素材をその場で売りさばく手際や騎士との話し合いといい、いろいろ手慣れている。


 そして中衛で俺とセリス。俺はチェーンなどを用いてみんなが戦いやすいようにとサポートを行い、セリスは障壁魔術で防御支援を行いつつ前衛にも出て戦うことができる。


 そんな前衛と中衛が援護する形で後衛の双子姉妹が強力な魔術をバコスカ撃ちまくる。これでより前衛と中衛は戦いやすくなるという好循環が生まれる。


 あれ……もしかしてこの5人……お互いをフォローしつつみんなが十全に能力を発揮できるくらい、かなり相性がいい……? 


 これならたしかに俺の戦闘力が低くてもサポートはできそうだし……。


 というか脅威度が高いという紅殻魔蠍を初見かつ突発のチームにもかかわらず、無傷で討伐できたのだ。


 この時点でこの5名がパーティを組んだ場合のポテンシャルを示せていると言える。


 皆も同じ結論に至ったのだろう。双子姉妹は笑顔でうなずいて見せた。


「たしかに……アリかも!」


「肉壁は何枚あっても困ることないし!」


「おい」


 双子姉妹はパーティ結成に乗り気のようだ。


 セリスはと言うと、ビールの入った杯を両手に持ってジッとその中身を覗き込む。


「……セリス?」


「しっ! 今、ビール波紋占いをしているんです……! ………………でました! この5名なら……きっとラブルローン王国の明るい未来を取り戻せると!」


「え。今のラブルローン王国って暗いの……?」


 セリスも乗り気のようだ。


 というかその占い結果、主語がでかくない? なんで王国の明るい未来を取り戻せるパーティになってんの?


「フ……レオンはどうだい?」


 全員の視線が俺に集まる。


 まぁ……そうだな。正直、慣れない土地でストライダーとしてまだまだわからないことも多い。


 目的は〈王立古代遺物研究院レリクス・ラボ〉の研究員との接触だが、どうその任務を進めていくのかまだ不透明だ。


 もしかしたら1人で活動するよりも、パーティとして動いたほうがやりやすいかもしれない。


 それとジェルトの〈精鋭ヴァリアント〉というランクは、もしかしたら任務遂行をスムーズにできるかもと考えている。


 おそらく〈精鋭〉ランクは、ストライダーの中でも上位に位置している。そんなパーティがいろいろ活躍をすれば、〈王立古代遺物研究院〉の方から接触してくる可能性もあるのではないか。


「ああ、俺もこの5名だと安定感があると思ったよ。一緒にやっていこうぜ!」


「おお!」


 まぁ偶然が重なったとはいえ、王都到着までにせっかく知り合えた仲間たちだしな。


 戦闘力が大したことがない身からすれば、ジェルトの力を当てにできるのも大きなメリットだ。


 任務を遂行するまでの付き合いにはなるが……それまではこのパーティの一員としてしっかりストライダーをやらせてもらうとするかな!


「ではあらためて……パーティ結成のお祝いといこうじゃないか!」


「王都到着の前祝いと魔獣の討伐祝いと合わせて!」


「トリプルお祝いだね!」


「あ……! ところで、パーティを組むなら名前は何にします……? リーダーはジェルトでいいとして……」


 まぁリーダーはジェルトで決定だな。双子姉妹もそこには文句がないようだ。


「ふむ……たしかにパーティ名を考えねばならないね。何を隠そう、私はこれまでいくつかのパーティに入ったことはあるが、自分がリーダーとして名前を考えた機会は一度もないのだよっ!」


「わたしも~」


「わたしも~」


「俺も~」


「まぁ明日、王都のギルドでパーティ申請をする時までに考えれば問題はないさっ! ではここからはどういう雰囲気の名前がいいか話しながらお祝いを続けよう!」


「お~~~~!」


 こうしてこの後はみんなでいろんな案を出し合いながら大いに盛り上がる。


 そして翌日……乗合馬車で街道を進む中、とうとう目的地が見えてきたのだった。


「あれが……!」


「ラブルローン王国の王都!」


「ラブルリア~!」

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