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今度は三国志の真っ只中にいます  作者: 水原伊織


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60.未来の人類から託された使命──異形の核を破壊せよ

その夜。

織と廠は寝台で寄り添い、互いの温もりを確かめ合っていた。


行為の余韻が残る静かな時間。

織は廠の胸に頬を寄せ、廠は織の髪を撫でていた。


その時だった。


風が止み、音が消え、空気そのものが凍りつくような静寂。


そして。


「聞こえるか」


二人は同時に飛び起きた。


織は慌てて毛布を胸元に引き寄せ、廠は周囲を見回す。


「……また、あの声だ」


声は、二人の頭の中に直接響いてきた。


『異形が発生したのは、はるか未来の地球だ』


廠は息を呑む。

織の肩が震えた。


『まだ、人類は存在している。異形は、人類を滅ぼすために、地球そのものが生み出した存在だった』


廠は思わず言葉を失った。


『文明を作り上げ、大地を穢し、寄生虫のように地球を蝕む人類を“浄化”するために。異形は、地球が生み出した免疫反応だった』


(何か…地球防衛軍の…四角いやつであったな…そんなこと)


織は震える声で呟いた。


「……地球が、人類を……?」


声は続ける。


『異形は未来で暴走し、世界は今も食い尽くされ続けている。人類は滅びかけている』


廠は拳を握りしめた。


「だから……過去に干渉したのか」

『そうだ。我々、人類の生き残りは、過去に干渉した。異形の“力の源”となる物が存在する時代に』


廠は問う。


「その場所とはどこだ」


声は答えた。


『場所までは分からない。

だが、間違いなく“核”がある。そして、あの黒い塊を伝って、今も異形がこちらに送り込まれている』


織は息を呑んだ。


「じゃあ……あの塊は、未来と繋がっている……?」

『そうだ。異形の回路だ。未来から過去へ、過去から未来へ。異形を送り込み、回収し、増殖させるための装置』


廠は深く息を吸い、静かに言った。


「……わかった。やるべきことは一つだ」


声は最後に告げた。


『核を破壊しろ。異形を倒せ』


世界が元に戻る。

風が吹き、虫の声が戻り、夜の神域が静かに広がった。


----


翌朝。

神域の大広間には、すでに全員が揃っていた。


劉備、関羽、張飛、趙雲。

紅陽、紅仁。

張世平、かすみ。

そして織が廠の隣に座っている。


廠はゆっくりと立ち上がり、昨夜の声の内容をすべて語った。


未来の地球。

人類を浄化するために地球が生み出した異形。


暴走し、世界を食い尽くした未来。

生き残った人類が過去に干渉したこと。


異形の“核”がこの時代のどこかに存在すること。

そして、黒い塊が未来と繋がる“回路”であること。


大広間は、しばらく沈黙に包まれた。


張飛が頭をかきながら言った。

「なんだそりゃ。地球が人間を殺すために化け物を作ったってのか?」


関羽は静かに目を閉じた。

「荒唐無稽に聞こえるが、異形の存在そのものが、すでに常識を超えている」


劉備は深く頷いた。

「信じるかどうかではない。異形はこの時代に現れ、人を喰らう。それが事実である以上、我らは戦わねばならぬ」


趙雲が槍を立てた。

「核を見つけ、破壊する。それが唯一の道……ということですな」


廠は頷いた。

「そうだ。異形を倒すには、核を破壊するしかない。未来の声がそう言った」


紅陽が前に出る。

「殿。曹操殿、孫堅殿、呂布殿にも知らせるべきです。異形はすでに三方向で消失しています。彼らも異常を感じているはず」


廠は頷き、劉備に視線を向けた。

「劉備殿。あなたの名で、三軍へ使者を出してほしい」


「承知した。曹操殿には荀彧殿を、孫堅殿には周瑜殿を、呂布殿には陳宮殿を通じて伝えよう」


「未来だろうが過去だろうが関係ねぇ!核ってやつをぶっ壊しゃいいんだろ!」


関羽は静かに言った。

「問題は、その核がどこにあるか……だ」


紅仁が地図を広げる。

「この時代のどこかに“異形の核”がある。しかし、場所がわからない以上、手がかりを探すしかありません」


廠は織の手を握り、静かに言った。

「……織。なんとなく、だけど、織なら感じる事ができるかもしれない」


「わたしが……核を見つけるの?」


「ああ。未来の声が聞こえる俺達しか、反応できない何かがあるのかもしれない」


織は震えながらも、しっかりと廠を見つめた。

「分かった。廠と一緒なら、どこへでも行く」


廠は微笑んだ。

「ありがとう。では動こう」


劉備が立ち上がり、声を張った。

「曹操殿、孫堅殿、呂布殿へ使者を出そう」


大広間に、力強い声が響いた。

こうして、三国すべてを巻き込む“異形殲滅作戦”が始まった。

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