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SAIGA《サイガ》  作者: 大西アキラ
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第48話 「電話3」

街の一角にある廃墟ビル。


その一階に、西牙丈一郎さいがじょういちろうの事務所はある。


プルルルルッ。


その事務所の電話機が、けたたましく音を奏でた。


西牙丈一郎は、コードレス電話機の子機を掴むと、ゆっくりと電話に出た。


「西牙さんですか?」


聞き覚えのある声だ。


戸倉一心とくらいっしんである。


「ククク、久しぶりじゃねぇーか?」


西牙丈一郎は静かな声で応対する。


「すみません。こちらもいろいろとありましてね」


「ククク、そうかそうか。俺はてっきり・・・お前が俺に臆してもう連絡をしてこないとばかり思っていたぞ」


西牙丈一郎はニチャリとした笑い声で挑発した。


「ははは、それはそれは、とんだ勘違いを」


戸倉一心も笑って答える。


「では、本題に入りましょう」


戸倉一心は真剣な声質に変えると話し出した。


「日時は、三日後。時間は夜の十九時。場所は、都内のジャパンサッカースタジアムでどうですか?」


「ほう・・・」


西牙は感嘆の声を上げた。


都内のジャパンサッカースタジアムは、日本国内で三番目に大きい総合競技場であり、普通の一般人が貸し切ることなど、とうてい不可能な場所なのである。


だが、日本裏社会の「暴武」部門の頂点に立つ戸倉一心が動けば、その様なことですら容易いことなのである。


「喜んで頂けましたか?」


戸倉は明るい声質で言った。


「ああ。最高じゃねぇか」


西牙はニチャリと言った。


「では、よろしくお願いします」


戸倉はそう言うと、電話を切ろうとする。


「おっと・・・一言いいか?」


西牙は戸倉一心が電話を切ろうとするのを遮った。


「はい?何ですか?」


戸倉は聞き返す。


「ククク、逃げるんじゃねぇーぞ」


西牙丈一郎は、静かな声で言う。


「わかりました。肝に命じておきますよ」


戸倉はそう言うと、ガチャンと電話を切った。


「ククク!」


(戸倉一心・・・てめぇは俺を満足させてくれるのか?)


西牙は電話の子機を机の上に置くと、口角を上げて笑った。


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