14
どんどん短くなってる?
いや、なんか最近忙しくてですね……
ログインした俺が最初にした事はパーティ探しだ。
昨日行った酒場のノリには付いて行けそうもないので、他に似たような場所がないのか探している。
エグベアには細道が多く、隠れた店なんかも多数ある。
隠れた居酒屋や武器防具を売る店なんかも探せば探しただけ出て来る感じだ。
エグベアはそこそこ広い。ちょっと大きめの遊園地くらいの広さがある。
なんだそれ位か、と思うかもしれないが、そこにギュウギュウと建物を詰め込めばちょっとした迷宮といっても過言じゃない。
大熊亭は掲示板に紹介されていた店だった。だけどあそこはダメだ。第一印象が酷過ぎた。
本当の名店というやつは自分の足で探す物のはず。
俺は俺のベストプレイスを探しだすんだ。
エグベアは街の中心に冒険者ギルドがあり、そのギルドを囲むように建物が建っている。
西側が住宅や宿屋、食堂なんかが集まっていて、東側には鍛冶屋や商店、あとはプレイヤーが露店を開く為の広場なんかがある。
西側はゴチャゴチャしていて東側はスッキリしている感じだ。
隠れた店を探すなら当然西側の方を重点的に探す事になる。
細い裏路地にはいっていくと【魔性のお店】とか【ブシリアント】みたいな怪しい名前の看板が出ている店が沢山あった。
―――正直こういう店に入りたいとは思わないなぁ。
さらに奥に行くと開けた場所に出た。
西側の端の端、城壁を背にして小さな一軒家が建っている。
特別な場所なのか、その一軒家の周りには建物がない。
隙間がないと言っても良い程ギュウギュウに建物が並んでいるのにこれは少し異常だと思う。
そんな不思議な一軒家の前には看板が立てられていた。
【喫茶 黒猫の瞳】
看板の下には営業中のプレートがぶら下がっている。
俺はこの不思議な店に興味を持った。
こんな入り組んだ場所じゃパーティを組んでくれるプレイヤーも少ないだろう。というか、客が居るかどうかも怪しい。
それでも、どこか不思議な雰囲気がするこの喫茶店に入ってみたいと思ってしまった。
ドアを開けるとチリンチリン―と入店を知らせる鈴の音が店に響く。
店は普通の喫茶店といった感じだったが、プレイヤーどころかNPCすら居なかった。居るのはコップを拭いている白髪の店主らしき人だけだ。
「いらっしゃい。よく来たね。」
店主は俺の顔を見ると会釈し、そのまま食器洗いの作業に戻った。
店主は白髪だったが、まだ30代くらいの男性だ。腰まで伸びている白髪は後ろで縛ってあるが、これは飲食店をやっている人間としてどうなんだろうか?
「ここでは食事以外にもクエストを受ける事もできるよ。因みにここに来たプレイヤーはキミが初めてだ。寛いで行くと良い。」
・・・なんか凄い事言われた気がする。
サービスが開始されてから半年も経つのに俺以外のプレイヤーに発見されてないのかよ、この店。ゲームじゃなかったら潰れてるだろ。
取りあえずカウンターに座ってメニューを開くと如何にも豪華な感じの料理名が書かれている。
「って、全部の値段が時価ってどういう事だよ!」
そして値段の所が全部時価になっている。
駆けだし冒険者の俺には怖くて頼めない。この【黄金ロブスターの衝龍焼き】ってやつ食べてみたいけど絶対お金が足りない。
「すいません、俺には敷居が高かったみたいです。成りあがって小金持ちになってからまた注文しにきます。」
俺はそっとメニュー表を閉じてクエスト掲示板の方に行ってみる事にした。
店主が残念そうな顔をしてるけど気にしない。
気にしないったら気にしない。




