表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
記喪転我意 (きそうてんがい)―Lost Memory―  作者: Spumante Rock


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

55/60

55話 フラッシュバック

いつも読んでいただきありがとうございます。

3学期が始まり、

美織は進路相談がいよいよ始まっていた。


「由依ちゃんは進路相談終わった?」

「私は明日だよ」由依が答えた。


「行きたい大学決まってるの?」


「なーに、美織こそ、まだ決まってないの?」


「なんかわからなくなっちゃって…」


「行きたい大学なんじゃ無くて、

どんな職業を目指すか…じゃない?」


「確かに…そうなんだけど…

由依や寸くんみたいに、才能が無いからな〜」


「そんな事ない、美織だって才能に目覚める時が来るよ…

才能って、持って生まれる人もいるかもしれないけど、

ほとんどの人は周りより多くそれに時間を費やしただけ…

努力の賜物なんだよ」


「そうだよね…」

美織は窓の外を見て、ため息をついた。


「費やしてきた時間ね~」

空に飛行機雲が1本線に青い空を分断していた。



〜 戸陽高校デザイン科 教室 〜


「谷本春高バレー見たよ〜、凄かったよ!」

クラスの仲間達から、祝福されていた。


「でも、ベスト8で負けたから…」


「いや、見てたけど、戸陽高校のレギラーメンバー6人中4人が

2年生だろ…マジで来年優勝狙えるんじゃね?」


「そんな簡単じゃ無いよ…、

県大会すら勝ち残るのは難しいよ。」


沢山の人に声を掛けられる様になった、

良くも悪くも、環境が少し変わってしまった。


授業も終わり、テスト週間に入る為、今日は部活もない…


「谷本くん、ちょっといい?」

マネージャーの齋藤あかりだった。


「あぁ、いいよ…どうしたの?」


「月間バレーボールって、雑誌の取材だって、

校長室でインタビューに答えてくれる?」


「取材?…わかった行くよ」



取材が終わって、教室に戻ると

クラスのみんなはもう帰宅して、教室は静かだった。


誰もいない教室で、自分の席に座って目を閉じた…


(美織は元気にしてるだろうか…愛ちゃんは…

一緒に過ごした時間を、思い返していた…)


忙しさや、周囲の賑やかで寂しさも紛れていたけど

やっぱり、1人になると寂しさは誤魔化せなかった。


谷本はカバンを持って、帰ろうと席を立った時、

マネージャーの齋藤あかりが戻ってきた。


「あっ…、齋藤さん、お疲れ様!!」


「取材の記者さん、正門まで案内してたの…」


「そうか、大変だねマネージャーの仕事」


「谷本くん一緒に帰ろうか?」


「あっ、そうだね、帰ろう…」


「同じクラスで、同じ部活なのに

一緒に帰るのは、初めてだね…」


齋藤あかりが

「少し遠いけど、ウチの近くまで送ってくれない?」


「別にいいけど…どうしたの?」


「虫除け…」

そう言って、齋藤は谷本の横を歩いた。


「齋藤は、なんでバレーボール部のマネージャーになったの?」

齋藤はその質問に答えなかった…


学校の正門に来ると、他校の生徒が数人立っていたが、

齋藤と谷本の姿を見ると、みんな逃げる様に帰って行った。


「どうゆーこと?」谷本が齋藤を見ると、

「虫除け…」そう言って笑った。


谷本は理解した…


自分の事を他校の生徒が待っていたんだと、

「安心して、私 谷本に告白したりしないから。」


「わかってるよ、それは…」


「ならいい…」

そう言って、しばらく歩くと。


齋藤が

「美織さんとは仲良くしてるの?」

と、聞いてきた


「えっ?なんで美織の事…知ってるの?」


「去年、谷本が捻挫した日

愛ちゃんを家まで送ったからね…私」


「その時、美織さんにも会ったから…」


「そうだったんだ…ありがとう」

「でも、美織とは別れてしまったんだよ…」


「そうだったんだ…、

それで春高予選の試合に、愛ちゃん応援に来なかったんだね…」


谷本は少し寂しそうに、

「僕が無くした記憶を、辿ってしまって…

美織の過去に触れてしまったんだ、

それが原因でギクシャクしてしまって、」


齋藤は黙って歩いていたが…

しばらくして、

「谷本は記憶が戻ったの?」


谷本は首を振った

「全然…思い出さないよ…」


「今も美織さんの事が好きなんでしょ?」


「それは…好きなんだけど…」


齋藤は頷いて、

「あんまり、考えすぎない方がいいよ」

「時間が経てば、今の出来事だって忘れてしまうから…」


「うん、わかってるよ…

話しを、聞いてくれてありがとう…」


齋藤が歩くのをやめ振り向いた。

「ウチここだから…送ってくれてありがとう!」

そこは、閑静な住宅街だった。


「あぁ…じゃあね…あれ…齋藤の家

絵画教室やってるんだ…」


玄関横に小さく

〝齋藤絵画教室”と、看板があった。


齋藤と別れたその後すぐ…

谷本は齋藤の家からの帰り道、

見通しの悪い国道入り口で、

突然目の前が真っ白になって座り込んだ。


「えっ!! 何だ…貧血か…?」


そう言って、歩道に座り込んで空を見上げた。

耳の奥に “ワーワー”と、ひどい耳鳴りが頭の中で暴れた!


言い様の無い恐怖で、手の震えが止まらない…


その時、谷本は脳裏に感じた…ここか…

〝あっ…僕は…この場所で事故に遭ったんだ…


しばらく、谷本は立ち上がる事が出来ずに、

通り過ぎる、車を何台か眺めていた。




ここまで読んでいただきありがとうございました。


引き続き次回もお楽しみ、いただけると幸いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ