表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
記喪転我意 (きそうてんがい)―Lost Memory―  作者: Spumante Rock


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

54/60

54話 あなたのいない目標

いつも読んでいただきありがとうございます。

谷本と愛は文化祭からの帰り道

2人で帰った。


帰りの電車は混雑していて、

会話もあまり出来なかった。


愛も、谷本の雰囲気を感じたのか、

無口だった。


気まずい空気を何とかしようと、

谷本が話しかける。


「愛ちゃんは中学生になったら、

バレーボール始めるの?」


愛はゆっくり谷本を見て、

「やりたいと思ってる…」


谷本は優しく笑いかけて、

「じゃあ、仲間だね。」


愛は頷き、

「寸くん、次はいつ会える?」


谷本は突然、息ができないくらい

胸が苦しくなった。


それでも、愛に感じとらないように

平静を装ったが、


愛の問いかけには、返答出来なかった。


「愛ちゃん、スケート行く約束だけど…

果たせなかったね…ごめんね。」


愛はゆっくり、首を横に振った。


その目に涙が溢れているのを見て、

谷本も、急に話しが出来なくなった。


何か話せば、

涙が溢れそうだった。


駅から歩く道のり、

愛ちゃんとの会話もできずに、

静かに歩いた。


長い時間歩いたように感じたが、

家に着くと…


今までの長い時間が嘘だったかのように、

一瞬で最後の文字がチラついた。


「じゃあ…愛ちゃん…」

そう言った瞬間、愛が谷本に抱きついた。


「ありがとう…寸くん…これ上げる。」


そう言って

さくらんぼのキーホルダーをくれた。


「さっきお姉ちゃんの学校で買ったの!」


「私とお揃いだよ。」


「ありがとう…大事にするよ」


愛は、一生懸命に笑顔を作り

家の玄関に向かった。


「じゃあね!寸くん」

谷本は、手を振って返したが、

何も言えなかった…


〝またね!″と、

言いたい…その一言を我慢した。


多分…愛ちゃんも同じだった。


いつもの挨拶が出来ない原因を作ったのは、

紛れもなく谷本自身だった。


愛にもらったキーホルダーを手にして、

自宅まで、歩いた。


今までで、1番遠い美織の家だった。



〜 朝比奈高校 〜


美織と由依が、2人で駅に向かって

歩いていた。


「で…どうなったの?」

由依が美織に聞いた。


「どうって…別れる事にした。」

美織が感情無く答えた。


「そうか…後悔しない?」


「後悔してるよ…」


美織の言葉が震えた…


「大丈夫?…美織…」

由依が美織の顔を覗き込むと、

涙が溢れて、震えていた。


由依は美織の、

カバンの持ち手を持って歩いた。


「あんた…フラフラしてるから…」

そう言って、黙って前を歩いた…


……


〜 新年を過ぎた頃 伊東家 〜


家族揃って、過ごしていた休日の事。


父親が、チャンネルを変えていると、

春高バレーが放映されていた。


「バレーボール見る!」と、愛が

テレビのチャンネルを奪った。


「そうか…春から愛は中学で、

バレーボールやるんだよな?」


「ウチの県の代表はどこの高校だ」


父親が、「戸陽高校って…」


愛が叫んだ

「寸くん達だ〜」


美織と母もテレビを覗き込んだ…


チームの練習風景が映し出された時、

寸の姿が映し出された。


《テレビ中継》

戸陽高校は春高バレー初出場

県大会決勝、王者・星稜大附属高校を

セットカウント3対2で敗る快挙

その原動力になったのが、2年生エースの谷本寸

昨年秋の地区大会と県大会で、得点王となり

春高バレーに駒を進めて来ました…


美織は嬉しそうに、

「寸くん頑張ったんだね…」


美織の母も、

「凄いじゃない寸くん…」


愛がテレビを指差して、

「寸くん18才以下の日本代表にも

選ばれてるみたいだよ…」


父が、

「こんな凄い子に見えなかったな〜、」

と、笑っていた。


美織の母が小さな声で

「あなた偏差値しか見てなかったものね、」

と、悪そうな顔をした。


その後、みんなで谷本達

戸陽高校を応援した。


夕方、由依からLINEが来た。


由依→美織

今日、テレビ見た?


なんて省略した内容…

もう少し丁寧に書けそうなものなのに…


由依らしいって言えば、

由依らしいLINEだ…


美織も省略して返信した。


美織→由依

勝って良かったね!

ここまで読んでいただきありがとうございました。


引き続き次回もお楽しみ、いただけると幸いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ