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勇者が英雄に変わる瞬間  作者: しろたん
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26


「シュハイツはいるか?」


「はい。」


「ユヤンドはおとしたが、これから、どうする?戦力もだいぶ増えたぞ。」


「一旦、様子を見るしかないですね。」


「やっぱり、そうか…」


昼頃にユヤンドに向かう予定だ。その時に報告を受けてから考えることにした。

レスティアは昨日貰った法衣を着ている。着てる感じは普通の法衣と変わらないらしい。すっごくニコニコしていて機嫌がかなり良さそうだ。


「練様、お気をつけて行ってくださいね。」


「ああ…ありがとう。」


レスティアは俺が外に出てる間に事務処理をずっとしている。自分だけで判断できないものはしっかり整頓されて、残してある。聖女の頃からやっていたので慣れていると言っていた。


「じゃあ、また、お願いします。」


「マジか?」


「はい。」


そっと口づけをした。今回はソフトにやった。前回とは違う感じでやったんだが、お気に召したようで何よりだ。


「行ってらっしゃいませ。」


「行って来る。」


凛は昨日、疲れたらしくてまだ、眠っている。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「セリア、こっちの様子はどうだ?」


「団長来てたんですか?」


「今な…」


「こっちの状況は子供は三百人程、保護しています。教会の方は大司教や司祭など、疑いのある者は全員、死刑になるみたいです。教会に所属していた人で革命軍に入りたいと言ってきた人がかなり、多いみたいですので、昼頃から面談にしておきました。」


「わかった。何人くらいいるんだ?」


「そうですね。二百人を超えるくらいですね。」


「・・・嘘だろ?」


「いえ、本当です。」


「今日と明日で半分にしてくれないか?」


「わかりました。」


「あと、セリアはダカワナの時、参加しなかったが、今回はしろよ?」


「なんでですか⁉︎」


「瞬もメルエールも落とした街では面談に強制的に参加だからな。」


「嘘ですよね?」


「本当だ。俺のことを嵌めようとした罰だな。」


「そんな〜」


心の声で聞いたところ、セリアは俺が無理やり、隊長にしたことをまだ、根にもってるらしい。それで一日の面談の数を増やしたがそれが自分もすることになるとは思ってなかったらしい。


「まぁ…自業自得だな…」


「団長の意地悪〜!!!」


セリアは本気で泣きそうになっていた。


それから面談が終了した時には灰になっていた。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ただいま。」


「練様、おかえりなさい。」


レスティアは何故か、俺が帰る時、必ず初めに会う。仕事をサボってるわけではなく、逆にしっかり、やってる程だ。


「レスティアはいつも、俺が戻るとここにいるな。なんでだ?」


「がんばって、練様が帰って来る前に仕事を終わらせて、ずっと待っていますから。」


「そんなに無茶をしなくて良いぞ?」


「いえ、自分がやりたいので、大丈夫です。それにシンシアも手伝ってくれてるので、前よりも楽になりました。」


「そうか…無理だけはするなよ?」


「はい。それより、ご褒美が欲しいです。」


「はぁ…良いぞ。」


「はい。」


レスティアは膝の上に座るのが一番好きみたいだ。まぁ…仕事をがんばってくれるなら、いくらでもするけどな。凛がいない時はレスティアは凄く甘える。逆に凛がいる時は少し、遠慮をしてるように見える。やはり、正妻と側室の違いというものなのかもしれない。凛はそんなに気にはしていないが、レスティアにとっては、体の芯に染み付いてしまってるのかもしれない。


「本当に膝の上が好きだな?」


「はい。いけませんか?」


「いや、好きなだけ言ってくれれば良いぞ。空いてる時ならいつでもしてやる。」


「本当ですか?」


「ああ。」


納得したようで、胸に頭を預けて来た。シンシアの前なのにこういうことが出来てしまう程、レスティアは大胆になった。それからしばらくすると、凛が帰って来て一悶着あったのは言うまでもない。


次の日、また面談をしてから革命軍の研究室に向かった。ここでは錬金術師や魔法師が魔道具や魔道薬を作ってる。ここではちゃんと仕事さえすれば、好きなだけやりたいことをして良いと募集したところ、かなりの数の研究者が来た。ただ、やりすぎると自腹を切ることになる。そこは俺の気分次第だ。


ここにも一応、班長がいる。かなりの変わり者だが…


「ニカはいるか?」


「ここにいるぞ!!!」


「頼んでいた物は出来たか?」


「当たり前だ!私を誰だと思ってる!!!」


ニカはこの研究室の班長をしている。元々、違う奴がしようとしたが、腕は一番良いんだが、次々と問題を起こすから、周りの奴が責任を背負いたくなくなり、なら、自分に背負わせればいいとなって班長になった。


「だが、これは凄いぞ。家3件分が入る。この魔石をもっと、取って来るべきだな。需要が半端じゃない。」


今、話しているのは死霊の墓で取れた魔石を使ったアイテムボックスだ。


「流石だな。腕だけは良い。」


「腕だけじゃないぞ!!!」


「お前が今日までに問題を起こしたことで発生した弁償代をお前に請求するぞ?」


「ごめんなさい。調子に乗り過ぎました。」


ニカは腕が良く、誰よりも良質な物を作り、早く作るので、頼み事をするとかなり優秀なのだが、勝手に自分でやるとなると途端に問題ばかり起こす。金額で考えると金板が出る程だ。呆れてなにも言えない位だ。まぁ…給料からちゃんと引いてるが。本来なら給料を全部使っても取り返せない程だが、そこはそういう条件で呼んだんだから責任はこっちが持つということだ。やり過ぎた場合はお仕置きだがな。


「お前ならこのアイテムボックスはいくらで売る?」


「そうだな…この魔石がまず、金板一枚で売れたんだ。金板二枚でも売れる気がするぞ。ウィーン商会はまずは自分達の分を確保するのが最優先事項だから、ほっといて良い。なら、他の商会を目当てに狙えばいい。」


「なるほどな…」


(こいつは頭が良いのになんで、こんなに残念なんだ…)


「最悪、オークションに一つ出しても良いかもしれないけどな。」


「それだ…」


オークションに一つだけ出して、大体の売れる値段がわかる。それに、革命軍が制圧した街は税が低いのでかなりの数の商人が来ている。それにウチの中から誰か、潜り込ませて値段を上げさせれば、問題がない。初めの値段を金板一枚にすれば、最悪、赤字にはならない。


「急にどうした?」


「ニカ、良いことを言ったお礼にこの魔石をやるよ。」


「本当か⁉︎」


それは、属性はないが、上級の魔石だ。石畳みの墓場で取れたやつだ。まだ、余っていて、商会に売ろうとしていた物だ。


「ああ。」


「何に使っても良いのか⁉︎」


「好きにしろ。」


嬉しくて魔石を持ったまま、踊ってる程だ。頭の中が完全にお花畑だが、まぁ、放置で良いだろ。早速、シュハイツに連絡だ。


「ニカ、このアイテムボックスは持って行くぞ!」


「ああ。好きにしてくれ。私はこれからこの魔石を使ってなんか、するんだ。」


「そうか…」


完全に自分の世界に入ってしまったので、放っておいてシュハイツの元に行った。

すると、また、レスティアに会った。


「練様、おかえりなさい。」


「ああ…ただいま。今日は自室に戻ったわけじゃないのに、どうしてここに来るのがわかったんだ?」


「予知を使いましたから。」


「なるほどな…じゃあ、毎回、使ってたのか?」


「まぁ…そうですね。」


「もう少し、違う使い方をしたらどうだ?」


「私にとってはこれが正しい使い方なのですが…」


「まぁ…自分で決めろ。」


「はい。」


「これからシュハイツのところに行くが、一緒に行くか?」


「はい!」


レスティアは嬉しそうに答え、腕にしがみついて来た。それから、レスティアは腕を絡めてきて頭を肩に預け、一緒にシュハイツのところに行った。

後ろにいたシンシアはむず痒くなってそっぽを向いていた。



シュハイツの働いているところは書類で溢れかえっていた。整理整頓がまるでされてない。経理部屋はかなりの大きさなはずなんだが…


「シュハイツ、いるか⁉︎」


「ここにいます。」


手を上げているようで、手のひらが紙の束の上に見える。足元は一切、置いてないので動きやすいが、机の上は悲惨なことになっている。


「シュハイツ、少しは整理整頓をしろよ。」


「いや、無理なんですよ。ここにある紙は全て、昨日と今日の二日で来た物なんですから。それに置く場所がないですよ。ユヤンドも制圧したので、さらに増えるんですよ…」


「どこか、場所を作るか?」


「出来れば、お願いしたいですね。」


レスティアは紙の束の方に目がいっているようだ。かなりの多さに戸惑っている。


「人も足りないか?」


「いえ、人は足りているのですが、置く場所がないというだけです。」


「ここの隣の部屋はなんだ?」


「確か、書庫だった気がします。」


「書庫は使ってるのか?」


「研究員が使ってるかなぁ、くらいです。」


「なら、研究室の近くに移動させて、ここと書庫の壁をブチ抜くぞ。」


「助かります。」


「とりあえず、シュハイツは一旦、書庫の方を頼む。ここは俺がやっておく。」


「そうですか?お願いします。」


シュハイツは出て行った。


「さて、メリッサ、指示を出してくれ。ここは俺よりも詳しいだろ?」


「は、はい。じゃあこれをお願いします。」


今まで、シュハイツがやっていた続きを渡された。かなりの量だが、手伝うと言った以上は本気でやる。


「私も手伝います。」


レスティアも手伝ってくれるようだ。


「レスティア様がやるなら私も…」


シンシアはレスティアを助けるためなら、なんでもやるようだ。この二人には何か、ありそうだが、暇な時に聞こう。それから三人が増えて、処理速度が急激に上がった。レスティアは元々、聖女として事務処理をしていたようで、かなり慣れている。シンシアも手伝いをよく、してるだけあってか、早い。さらに、そこに練が加わったことで速度が上がってる。練は元々、第四部隊ができるまではシュハイツと二人で事務処理をしていた為、かなり慣れている。それに元々のスペックの高さにより、シュハイツよりも事務処理が早くなってしまった。


「団長、本当に全部、読んでますか?」


読むのが早すぎるようで心配になったみたいだ。


「ああ。これくらい、余裕だ。元々、全部俺がやってたことだからな。」


シュハイツには内政をやらせていた為、事務処理はほとんど練がやっていたのだ。


「な、なるほど…」


メリッサ達は練の規格外にビックリしている。シュハイツが戻って来るまでに、今日やることが終わってしまった。その時、第四部隊は事務処理が終わらなかったら団長を助っ人に呼ぼうと密かに決めた。そうすれば、レスティアやシンシアも着いて来て、早く、終わると思ったのだった。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


自室に帰ると凛が頭を抱えていた。


「凛、どうしたんだ?」


「今、セリアと連絡を取ったら、教会にいた巫女と騎士がレスティアの下で働きたいって聞かないらしいの…」


「どういうことだ?」


「簡単に言えば、革命軍に入るのは良いが、レスティアの下で働きたいみたい。なんか、崇拝らしきものをしてる感じなのよ。」


「それは当たり前です。」


ここでシンシアが意見をした。


「シンシア、どういうことだ?」


「私達はレスティア様に命を救われたんですから。私はユヤンドの南の森で魔獣に襲われ、瀕死のところを助けてくださいました。それだけでもありがたいのに、働くところまで用意をしてくださいました。教会に働く者には私のように命を助けてくださいました者がたくさんいます。それ故、レスティア様に忠誠を誓っています。」


「なるほどな…シュハイツ、レスティアを隊長とした部隊を作ったらどうだ?」


「それは、良いですね。」


「私は嫌です。」


レスティアがここでまさかの反対。


「私は練様の副官がしたいです。」


「なら、兼任はどうだ?」


「副官に支障をきたさないならば、良いです。」


「俺の副官と隊長を兼任してもらって、誰か、副隊長に入れれば、問題がないな。シンシアにはレスティアの補佐をすれば、なんとかなるだろ。」


「そうですね。なら、そのように手配しましょう。」


「ランシェは戻って来るのか?」


「うん。」


「今回、ユヤンドで加わった仲間はほとんどが第三部隊に加わったからなんとか、回るだろ。」


「うん。ユヤンドはかなり、大きいけど、なんとかなりそうだって。」


「じゃあ、レスティアが率いるのを第七部隊にして、第七部隊に入る奴らをランシェが率いてイゼリアに連れてこい。あと、ノアを連れて来いって言ってくれ。」


「わかったわ…ノアって誰?」


「魔法がかなり使える奴だ。あいつを第五部隊の副隊長に入れてみるつもりだ。見た目は頼りないが、腕は確かだからな。別の奴が率いていれば、問題がないだろ。」


「そうなんだ。」


そんな感じで今日の会議は終わった。


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