24
今日は予定通り、第三部隊とランシェとシンのメンバーでユヤンドを落とす。さらに途中から俺が行くから今までで最大戦力だ。
「今回は余程のことがない限り、失敗はないだろう。」
「そうですね。」
「だが、油断はするなよ。」
「はい。」
今は出発前の第三部隊隊長のセリアと話している。
「ランシェとグランは好きなだけ、暴れさせていいからな?」
「もちろん、そのつもりです。」
「あと、これが実験場にいた子供達のための家だ。」
住所を書いた紙を渡した。
「わかりました。」
「教会は警戒をしておけ。お前らはまず、研究所を落とせ。そこで俺が合流して3組に分かれる。教会と領主を攻めるのと子供達の誘導だ。」
「わかりました。こちらであらかじめ決めておきます。」
「頼んだぞ。」
「はい。また、後で。」
「ああ…」
セリアは部隊の奴らに話しかけに行った。思っていたより上手くやれてて良かったと思った。はじめはダメダメだったで、グランが隊長の方が良いと言われていたが、グランがちょうど良いくらいバカだったので、今ではグランが隊長になったら部隊が終わるとまで言われている。
「セリアは思ったより、上手くやってるな。」
「そうだな。ランシェは作戦を聞いてるのか?」
「ああ…グランと教会に行って好きなだけ、破壊しろと言われた。」
「なるほど…」
おそらく、領主は逃げないだろうから、俺が実験場を潰して、ランシェとグランとシンが教会を潰す作戦のようだ。セリアは子供達の誘導をするのかは本人が決めるからわからない。
「練はどうするんだ?」
「今日は他にやることがないから事務処理だけだ。時間になったらユヤンドに向かうつもりだ。」
「そうか…じゃあ、予定通りに進むな。」
「ああ…教会の奴らは警戒しとけよ?」
「わかってる。強い奴らが沢山、いるんだろ?」
「レスティアからの報告だから間違いがないだろう。あとは、これが教会の地図だ。全員に渡しておけ。」
教会の全てが書かれた地図を渡した。
「どうしてこんなものがあるんだ?」
「レスティアからの贈り物だ。」
レスティアが教会から脱出する時に一応、持って来たものだ。
「使わせてもらう。」
「じゃあ、気をつけろよ?」
「おう。」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「練君、そろそろ行く時間じゃないの?」
「そうだな。」
「気をつけてね?」
「ああ…」
凛に口付けをして部屋を出た。部屋を出た後、部屋の中から大きな声が聞こえた。余程、嬉しかったらしい。
「練様、私には何も言わずに行ってしまうのですか?」
階段を降りるとレスティアがいた。少し機嫌が悪い感じがする。おそらく、凛の声が聞こえたのだろう。
「そんなわけがないだろ?」
「そうなんですか?練様は私に何をしてくれるんですか?楽しみです。」
「何がして欲しい?」
「そうですね。この場で、キスをして欲しいですね。」
ここは人がよく通る場所なのだ。今もかなり、注目をされている。普通の人なら間違いなく、恥ずかしがるが、そこは練クオリティだ。
「なんだ。そんなことで良いのか。」
堂々とみんなの前でキスをした。それもかなり長く。レスティアの顔が赤くなるまで…
『キャー』
周りにいる野次馬達が歓声をあげている。
「これでいいか?」
「は、はい…」
レスティアは完全にフリーズしている。
「じゃあ、行って来るな?」
「はい…お気をつけて。」
「ああ…」
レスティアはフラフラしている。レスティアをメイドに預け、ユヤンドに向かった。
それから十分ほど、全力で走ると、ユヤンドが見えた。
「煙が上がってるな。おそらく、ランシェの仕業だな。」
(それにしても、移動速度が上がってないか?)
練が着く前にすでに、突入をしていた。実験場に着くと、門の前に部下がいた。
「いつ、突入をしたんだ?」
「五分ほど、前です!」
「そうか。俺も行くから警戒は続けろ。」
「はい!」
実験場に入ると向こうの方で戦ってる音がする。まだ、地下には行けていないらしい。セリアが指示を出しているだろう。ああ見えても、風属性を持っていて凛と遜色無い程の腕だから大丈夫だろう。
(どこの実験場も同じ作りなのか?)
カタリナとダカワナにあった実験場と全く同じ作りだった。おそらく、たまたまではなくて、そのように作られているのだろう。
(なら、ここを破壊すれば、いけるな。)
思いっきり、廊下を殴った。ステータスが上がってるので、簡単に穴が空いた。
「お兄ちゃん誰?」
「お前らを助けに来た。」
牢屋に閉じ込められた子供に質問をされた。やはり、ここにもかなりの数の子供がいた。
「本当に⁉︎」
「全員、牢屋から少し、離れてろ。」
目の前にある牢屋をぶち壊した。
「全員、並べ。」
次々と子供の首輪を破壊していった。
「この中で土属性が使える奴はいるか?」
「わ、私、使えます。」
目の前にいる子供が言ってきた。
「じゃあ、ここからあの穴に階段を作れるか?」
「は、はい。」
その子供は無詠唱で土柱を使った。それも複数だ。
「お前、名前はなんだ?」
「ノ、ノアです。」
「そうか…全員、脱出するまでここに残ってくれるか?」
「は、はい。」
それから次々と子供の首輪破壊し、穴から脱出させた。今頃は部下がまとめて、家に送っているだろう。セリア達はまだ、来ないが…
「あと、何人いるんだよ…」
「二百人くらいですね。」
返事が返って来るとは思ってなかったのでかなり、ビックリした。
ノアは髪の毛は茶色のセミロングで自分の胸くらいまでしか、身長がない。おそらく、150cmはないだろう。いわゆるロリという奴だ。それに気がとても弱そうな感じなので、いつでも目がウルウルしているイメージだ。雰囲気は癒沙に似ている。
「まだ、そんなにいるのか…」
「が、頑張ってください。」
「お前はいつからここにいたんだ?」
「わ、私は教会が運営している孤児院にい、いたんですが、き、教会の人に突然、連れて行かれてここに来ました。」
「やっぱり、教会も絡んでいたか…」
「し、知っていたのですか?」
「まぁな。」
話しながらも首輪を破壊していく。と、そこへ
「ここが地下の牢屋ですね。」
セリアが遅れてやって来た。
「お前ら、遅過ぎだ。」
「な、なんで団長が私たちよりも早く到着してるんです⁉︎」
「コレだ。」
上の穴を指差しながら言った。
『・・・・・・・』
全員、口が空けたまま、動いていない。
「お前ら、少しは手伝え。」
「は、はい!」
「上に行ってやれ。すでに三百人近く、行ってるから大変だろ。」
「わ、わかりました。一班はここに残って、残りは上に向かってください。」
セリアが指示を出していた。おそらく、部隊をさらに小分けにするために班に分けているのだろう。ちゃんと、隊長をしているようだ。
『練君、大丈夫?』
『ああ…どうした?』
凛から念話が届いた。
『さっき、ランシェに念話をしたら教会でかなり苦戦をしてるらしいの。だから、早めに行ってあげて。』
『わかった。とりあえず、無理をするなと言っておいてくれ。』
『うん。』
「凛さんから連絡ですか?」
「ああ…ランシェ達が苦戦をしてるらしい。」
「そうですか。強者がいるのでしょうね。」
「そうだな。そういえば、セリア、適当に道でこの紙をばら撒いてくれ。」
「なんですか、これ?」
「教会の証拠だ。」
大量にコピーした紙を渡した。大司教と司教と司祭のサインも入っている。実験場に同意した紙だ。
「こんなもの、どうしたんですか⁉︎」
「教会から盗んで来たに決まってるだろ。」
「もう、何も言いません。」
完全に呆れられたようだ。
「これで、ラストだな。俺はこれから教会に行くから後のことは頼むぞ。」
「はい。」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ほら、あなたも早く来なさい。」
セリアはノアに手を伸ばした。
「は、はい。あの!」
「何かしら?」
「さっきの人は誰ですか?」
「団長のこと?」
「は、はい…」
「いずれ、この国を変える人よ。」
ノアにはまだ、理解ができなかったみたいだ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
それから、全力で教会に向かった。
「練、頼む。罠が多過ぎてこれ以上、前に進めないんだ。」
「お前らが苦戦してたのは罠か…」
「けど、量がヤバい。罠に対応してると遠くから魔法を撃ってくるから厄介なんだ。」
「じゃあ、俺が先行して完全に無効にして、敵と交戦を始めたら、来い。」
「了解」
それから堂々と廊下の真ん中を走った。半径十メートルを完全に無効にした。魔力をかなり持ってかれるが、しょうがない。
「罠はどうした⁉︎」
「何故か、発動しません!!!」
「全員、魔法を撃て!!!」
次の瞬間、かなりの量の魔法が飛んで来たが、全て無効にしてるので意味がない。それで、敵と交戦を始めると、
「全員、突撃!!!」
後ろからグランの声がした。
無効化の範囲をできるだけ、小さくして、敵の後衛を潰しに行った。ランシェ達はフラストレーションが溜まった分を全て敵にぶつけている。
「なんで、魔法が使えないんだ⁉︎」
「鬼がいるぞ!!!」
「全員、怯むな!敵を排除ブヘッ」
司令官みたいのをぶっ飛ばした。すると、敵は瓦解して行った。敵が全力で後退する様子を見ると、罠はここで最後みたいだ。
「全員、このまま進め!!!」
グランがさらに指揮を上げる。
『おおおお〜!!!』
やはり、グランの部下ということでみんな、グランに似てきている。
それからどんどん、進軍して行くと強者らしき者が立っていた。
「これ以上、通しません。」
法衣を来た金髪の少女が廊下の真ん中に立っていた。教会にいる法衣を着た奴はほとんどが光属性を使うらしい。これはレスティアからの情報なので確実だろう。
「兄貴、ここは俺に任せてください。」
シンが戦うようだ。
「わかった。負けるなよ。」
「はい。」
シンが少女に向かって飛びかかった。
「今のうちに行くぞ!!!」
(シンは負けないだろう。ランシェにそれなりに鍛えられたらしいから前よりは強くなっただろう。)
「ランシェ、シンシアという奴がいたら、俺が相手をするからな。」
「誰だそれ?」
「レスティアの側近らしい。」
「なるほど…わかった。」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「あなた方は何故、教会を攻めるんですか?」
「理由を知らずにこんなところの守りについているのか?」
「まぁ、仕事ですので。」
「俺たちは各街に存在する研究所を破壊している。」
「ええ。知っています。」
「その研究所では人体実験が行われている。」
「はい。」
「それを命令しているのがこの国の王だ。」
「はい。」
「だが、最近になってわかったことがある。それは教会も国と結託して研究所を支援していたことだ。」
「なっ⁉︎」
流石に教会にいるだけあって信じられていないようだ。
「そんなわけありません!!!」
「俺はカタリナの研究所にいた子供のうちの一人だ。友達が一人、また一人と死んでいく恐怖を知っているか?そんな時、助けに来てくれたのが革命軍だ。俺たちにとってはまさに正義だった。そして、俺たちを無償で保護してくれた。ユヤンドを攻略しようと思ったら、こんなものが見つかった。」
シンは少女に向けて紙を投げた。それは練がセリアに渡したのと同じだ。
「こ、こんな偽物、信じませんよ!私は教会の孤児院で育てられ、今に至ります。そんな、デタラメは信じません!!!」
「孤児院で有能な奴は教会で働くことができる。じゃあ、無能な奴はどうなったと思う?全員、研究所行きだ。」
「なっ⁉︎」
「この紙の提供者は誰か知っているか?」
「誰なんですか⁉︎」
「レスティア・ツィツィー様だ。」
「なっ⁉︎」
「レスティア様は今、革命軍にいる。この手紙を持って、教会を潰してくれと。」
「そんなこと、納得できるわけないじゃないですか⁉︎」
「なら、戦うしかないね。」
そう言って不意打ちを仕掛けた。だが、教会で育てられているあって反応は早かった。
「くっ」
だが、魔法師は近づかれると手段がないので獣人とは相性が悪いのだ。首への一撃を狙わずに、足や腕を集中して攻撃をした。そうすれば、魔法師は集中して魔法を使用するのが難しくなるのだ。
「『閃狼爪』」
閃狼爪
爪に魔力を流し、切れ味をあげて攻撃する技。
「きゃー」
背中に回り込み、法衣を切り裂いた。手加減をしたつもりだが、かなり、重症だ。法衣は全く、防御力がないようだ。本当にただの服みたいだ。
(出血が多くて死んじゃうな…)
アイテムボックスから魔法薬を取り出し、背中にかけた。するとゆっくりだが、傷が治っていく。残りの魔法薬を隣に置いて、先に行った奴らを追いかけた。
(目が覚めても、すぐには動けないだろう。)
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「練、先に行け。俺がこいつとやる。」
シンが少女を倒した頃、ちょうど練達は新しい敵と遭遇していた。目の前には槍を持った男がいた。練は気配察知でこの敵も含めて強敵は二人、いることがわかっていた。
「そうか。気をつけろよ?」
「この先にいる奴の方が強いだろ。」
ランシェは直感でわかってるらしい。
「俺の心配より、自分の心配をしろ。」
「そうだったな。『チャージ』行け!!!『炎爆発』」
「『雷装』」
雷属性を持ってるらしい。敵がランシェに気を取られている隙に先に進んだ。雷装でランシェの攻撃を回避すると俺の前に立ち塞がった。しょうがないので、スキルを無効にして、壁に向けて蹴った。
ドゴゴゴッン
「全員、急げ!!!」
グランの号令で全員、魔力を使って走り抜けた。
「ランシェ、あとは任せるぞ。」
「ほとんど、勝負は決まったようなものだがな…」
「それについてはすまない。じゃあな。」
「おう。」
槍使いがゆっくりとだが、立ち上がった。
「大丈夫か?あばらの骨、何本か折れてるだろ。」
「この程度、なんともない。」
完全に強がりにしか、聞こえない。さっきの練の攻撃を受け身も取れずに食らったので、ダメージが大きい。練は多少、手加減はしたんだが…
「教会にも雷属性を使える奴がいるんだな。てっきり、光属性しか使える奴はいないと思ってたぜ。」
「俺が特殊なだけだ。『雷装』『雷付与』」
槍に雷を付与をし、槍を振るたびに雷が出るようになった。
「『チャージ』『爆裂拳』」
「ふんっ」
ピシッピシッ
ランシェが槍を回避して攻撃したが、槍で防がれた。だが、ランシェの武器は最上級の魔石を元に使ってるので、攻撃力が半端じゃない。防御した槍にヒビが入った。
「その槍を叩き折ってやるよ。」
「くっ」
槍にヒビが入るとは思ってなかったみたいだ。少なからず、動揺が見える。
「『爆炎陣』」
「『雷装』グァッ」
槍使いの周りに炎が出て、爆発した。雷装で防御をしようとしたが防ぎきれなかった。爆炎陣から出ようとランシェがいない方に出たが既に回り込まれていた。
「『爆裂拳』」
ドゴゴゴッン
爆裂拳をモロに食らい、声も出せないほど、一瞬で気を失ったらしい。壁に激突して、そのまま、倒れたままだ。
「くそっ」
槍を叩き折れなかったのが悔しいようだ。
「お前が全快の時にやりたかったが、これが戦場だ。じゃあな。」
そのまま放置をして、あとを追いかけた。




