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「未だに、魔軍は動かんか…」
その頃、王城では王が悩んでいた。魔物の大群は勇者と軍が力を合わせて無事に退けた。
「今のところ、勇者は順調に成長しているみたいだからな。何人か、逃げ出したようだが…まぁ、なんとかなるだろ。」
と、そこへ宰相が走り込んで来た。
「し、失礼します!!!」
「何事だ?そんなに慌てて…」
「報告します。二ヶ月前にイゼリアにてクーデターが起きています。」
「ほう…どんな奴らがクーデターを起こしたのだ?」
「それがかなりの強者らしいのですが、情報があまり、ありませんでした。首謀者は栄光の剣というクラン六名です。」
「たった六人で何ができるんだ…」
「それが、既にイゼリア、ダカワナ、カタリナが落ちたそうです。」
「なんだと⁉︎」
二ヶ月で三つの街を落とすのは早すぎる。それも六人でだ…
「そいつらは何者なんだ?」
「我々もたった六名だからすぐに収まるだろうと思っていたのですが、どんどん、仲間が増えていって現在は五百名を超えたと報告がきました。それで、密偵を送り込もうとしたのですが、ことごとく、失敗しています。それに全員、革命軍に捕まっています。なので、敵の情報がまるでわかりません。」
「どういう集団なんだ?そいつらは…」
「あと、これは未確認の情報なんですが、実験場の破壊が目的かもしれないとのことです。」
「なんだと⁉︎」
「なんでも、まずはその街にある実験場の破壊、その次に領主を倒しているそうです。それに制圧した街から実験場を示唆したのが領主でさらに領主に命令したのが王だということを公開しています。」
「なんということだ…」
確かにそれは事実であるが、それが発表されて、証拠まで掴まれていたら自分は言い訳をできるわけがない。
「なんとしても、そのクーデターを止めろ!!!軍を動かしても良い!!!」
「軍に余裕がありません。もし、軍を動かして魔軍が来たら、国がすぐに潰されます。このタイミングを革命軍は狙ってのことでしょう。」
「くっ
それでは何も出来ないではないか…」
「はい…ただ、次を落としに来るなら、ユヤンドです。あそこには教会があったはずなので、協力を要請すればいいのではないですか?」
「おお…確かに共犯だから協力はしてくれるはずだ。よし、今から取り掛かれ。」
「はい。」
勇者が魔王を倒すまでにユヤンドで抑えてくれれば、王都からも軍が送れるからなんとかなるだろうと思っていた。
それがどれだけ、浅はかな考えであったか、知るのは遠くない将来だった。
「セレスティナ様、レイン・ギルスダーク様という方から手紙が来ています。」
「本当ですか⁉︎」
(ずっと、待っていたんですが、全然、来なくて心配してました。)
「下がって良いわよ。」
「畏まりました。」
メイドが出ていったのを確認して、手紙を開けた。
セレスティナへ
俺たちは栄光の剣というクランを作った。おそらく、この手紙がつく頃には栄光の剣という名前は嫌でも聞くことになるだろう。こっちはみんな、楽しくやってる。王都に魔物の大群が来たって噂になっていたが大丈夫だったか?まぁ、クラスメイトもいるからなんとか、なってるだろうけど…
それと、凛と結婚をしたから。事後報告だけど。
レイン
「栄光の剣って何処かで聞きましたね…忘れてしまいました。」
(なんか、ダンジョン攻略したとか、噂が流れていた気がします。)
「それより、結婚したんですね…」
(あの二人は仲がとても良かったので、納得ですね。けど、私のことを忘れている気がします。勝手に結婚して事後報告なんて、酷過ぎます。)
「羨ましいですね…あっ 私は何てことを考えているのでしょう。」
この手紙が届く時には既にレスティアとも結婚しているのだった。
「セレスティナ様、王様がお呼びです。」
「はい。わかりました。」
(何か、あったのでしょうか?)
それからかなり長い廊下を歩き、王室に向かった。
「セレスティナです。入ってもよろしいですか?」
「入って来て良いぞ。」
「失礼します。」
そこにはお父様とお姉様、宰相、そして勇者様方がいました。お母様はとてと、体が弱いのでいません。王妃様はお姉様を産んでからすぐに亡くなったそうです。私は側室の子であるので、継承権は一応、ありますがほとんど、存在していないも同然です。お姉様に何かない限りは継がないでしょう。
「セレスティナは座ってくれ…」
「はい。」
「では、説明しなくてはならないことがたくさんあるから、ゆっくりしてくれ。」
そう言われ、みなさんが少し、ゆったりと座ったところでお父様が話し始めた。
「実は少し前からイゼリアでクーデターが起きた。」
『⁉︎』
これには私も驚きました。クーデターというのは有力貴族が起こしたりするのが普通なのですが、イゼリアは冒険者がたくさんいて、有力貴族はいなかったはずです。
「首謀者はわかっているのですか?」
ここで勇様が質問をしました。
「細かくはわからなかった。密偵を送り込もうとしたが完全に失敗した。それに全て革命軍に捕らえられているから少しも情報が来ない。」
これは凄いことです。この王宮の中にも他国の密偵が少なくともいるはずです。おそらく、グロリアからも他国へ送ってるはずです。それがことごとく、失敗しているのは厄介です。
「なら、わからないということですか?」
「いや、少しだけわかった。首謀者が所属しているクランの名前は栄光の剣というらしい。」
「えっ⁉︎」
「セレスティナ、どうした?」
「い、いえ、なんでもありません。」
(こんなところで、この名前が出て来るとは思いませんでした。)
「最初はたった六人から始まったらしい。」
この瞬間、あまりの人数の少なさにここにいた人のほとんどが笑った。だが、次の言葉で驚愕に変わる。
「だが、既にイゼリア、ダカワナ、カタリナが落とされた。」
『なっ⁉︎』
「それに今は戦闘部隊が五百人を超える集団らしい。イゼリアが始まりなだけあってかなりの強者が集まっている。」
「けれど、そんなに強者が集まりますかね?」
「ああ…最初の六人が有名になったのはクーデターを起こしたからではないんだ。」
「それは何なんですか?」
「実はイゼリアにあるダンジョンの内の一つを完全攻略をしたらしい。だから、入って来る奴が強者の可能性もあるわけだ。」
「厄介ですね…」
(凄いですね…まだ、誰も完全攻略をした人はいないのに、出ていって数ヶ月で攻略をするなんて。六人ということは誰か、仲間が増えたんでしょうか?)
「国としても、対応をしたいのだが、あまり出来ないのだ。そこで、教会に要請をした。」
「教会が協力してくれますかね?」
「それなら先ほど、承諾書が届いた。」
「本当ですか⁉︎」
(なんか、怪しいですね…国と敵対関係にある教会が協力するなんておかし過ぎます。裏がありそうですね…)
「ああ。それで一旦、様子を見ることにした。」
それから、魔軍の動きや経済について話したら解散になった。
「セレスティナ、これからお茶でも飲みながら話さない?」
勇様からお誘いを受けました。
(まぁ…これでも女なのでお誘いは嬉しいのですが、彼の場合、彼の後ろに何人も女の人を連れているので全く、嬉しくありません。)
「申し訳ありません。これから仕事があるので、またの機会にお願いします。」
(全く、仕事などないですけど、行くよりは嘘をついた方がはるかにマシです。)
「そうか、じゃあ、また今度ね。」
「はい。」
「まったく、失礼ね、セレスティナ
は。」
腹違いの姉であるソフィアが嫌味を言ってきた。
「お姉様は楽しんできてください。」
(お姉様がいるところでお茶など飲んでも不味くなります。いやみと愚痴しか言いませんから…)
「当たり前じゃない。勇様がわざわざ、誘ってくれたのに断るなんてあなたは愚かね。」
「仕事がなければ行ったのですが、たくさん、溜まっていて今日のうちに仕上げなければならないものがたくさんあるので…」
「私は自分の仕事はすぐに終わらせるけどね。」
(私はお姉様の数十倍の仕事をやっているんですよ!!!)
「流石ですね…」
「当たり前じゃない!!!」
「では、失礼します。」
(この国は次の女王は終わっているので未来が暗いですね。まぁ…革命軍によって潰されれば、姉の名前を歴史書に載せなくていいので、良いんですけど…)
そんな、物騒なことを考えていた。




