17
次の日
「じゃあ、第一部隊は出発だ。指揮は瞬がとれ。俺は少ししたら行くからな。」
「おう、また後でな。」
第一部隊はカタリナに出発した。
「さて、事務処理をさっさとやってしまおう。」
「凛、第一部隊がカタリナに到着したらルーサクに場所を教えてやれ。」
「うん。」
「ランシェはダンジョンに行ったか?」
「うん。今、星七のダンジョンに入ってる。」
「そうか…メンバーは誰だ?」
「グランと多分、第三部隊の精鋭だと思うよ。」
「なら、大丈夫だな。」
「うん。だけど、どんどん、下に下がってるの…」
「はっ⁉︎」
「昨日、忠告したのに完全無視、それについて行ってる人たちもノリが良すぎてイケイケムードになってる。」
「念話でそれ以上、調子に乗ったら俺が連れて帰るって言え。」
「うん……わかったって。」
「よし、今はそっちに行く余裕はないからな。」
「帰ってきたら凛が多少、説教しておけ。」
「うん。」
「じゃあ、俺はそろそろ、行って来る。」
「うん…気をつけてね。」
それからキスをしてから出発した。
「ああ。今日中に帰ってくる。あとは任せるぞ。」
「うん。行ってらっしゃい。」
「副隊長、凛さんから連絡がきました。」
「なんて?」
「場所ととにかく、早く終わらせろと…あと、団長が出たとのことです。」
「マジか…絶対に練に早く帰ってきて欲しいだけだろ。」
「ええ…そうですね。」
「でも、逆らえん…」
「なんか、情けない話ですね…」
「じゃあ、お前が逆らってみろよ。」
「嫌ですよ。死にます。」
「だったら、そのことについては触れるな。」
「了解」
瞬が今、話してるのは、第一部隊は練が隊長だが瞬が一人でまとめるのは無理だから、秘書的な位置にいるユーアだ。
ユーアは戦闘力がそれほど高いわけではないが、頭の回転と敏捷が高いのでこういう立ち位置になった。
「ルーサクが実験場の場所に案内させて、お前がそこの指揮をとれ、ルーサクは案内が終わったら領主の方に来い。俺はその間、領主を見張るから。おそらく、突入する頃には練が着いている筈だからな…」
「「了解」」
そこから二手に分かれて行動を開始した。
ユーアとルーサクは移動しながら、話していた。
「本当に団長はすぐに来ますかね?」
「来ますね。」
「なんでですか?私たちはかなりの時間をかけてここまで来たんですよ?おそらく、私たちと一緒に着くとしたら団長は十分くらいで着かないとダメですよ?」
「それが可能なんですよ。」
「えっ?」
「団長のステータスが高いから隣の街までなら全力で走れば十分くらいで着くんですよ。」
「どれだけ高いんですか⁉︎」
「さぁ、教えてくれませんからね…」
「そうですか…」
「移動速度が違いすぎて、遅れて出発しないと時間がもったいないらしいです。」
「なんか、規格外ですね。」
「ええ…」
「ここを曲がれば、すぐですよ。」
「はい…ほら、あそこにいるのは団長ですよ。」
「本当にいた…」
建物の前にはすでに練がいた。
「お前ら、遅いぞ。」
「団長が早すぎるんですよ。」
「そうか…じゃあ、行くぞ!」
『はい!』
実験場に突入した。
「見張りはいないんだな。」
「ええ…おそらく、何処かで待ち伏せをして迎撃の準備をしている筈です。」
「じゃあ、バカみたいに正面から行かない方がいいな。」
「はい…ですが、我々はどこに行けば良いのかもわらかないので圧倒的に不利ですね。」
「じゃあ、相手に読まれない方法で下がれば良いんだな?」
「はい。ですが、それが最も難しいことです。」
「よし、任せろ。」
「はい?」
ドゴゴゴゴゴッ
下に大きな穴が空けた。
「ほら、下に行くぞ。」
「ええと、はい。」
なぜか、戸惑っているが無視だ。
(やっぱり、ダカワナとほとんど同じだな。)
「お前らはどんどん、檻を壊せ。ルーサクと半分の奴らは敵を倒しながら、上に行け!」
『了解』
ルーサクを先頭に首輪が外れた奴が上に行く。
「これはまた、魔力切れになりそうだな。」
ここにも五百人近くの子供がいた。
「そういえば、商人にもらった家は確認したか?」
「はい。途中で凛さんから連絡が来たので大丈夫です。」
「なら、ルーサクがちゃんと誘導するな。」
『瞬くん、練君はすでに救助を始めてるわ。』
『そうか…俺たちはいつ、動いたらいい?』
『練君はいつでも良いって…ただ、領主にはあまり、乱暴をするなって。』
『どうしてだ?』
『ルーサクさんに殴らせるからとっておくようにだって。』
『なるほど…じゃあ、俺たちは制圧をしておけば良いんだな?』
『うん。じゃあ、がんばってね。』
『おう。』
(本当に凛の能力は便利だな。)
「よし、お前ら、行くぞ!!!」
『はっ!』
全員で一気に突入した。
ドゴゴゴゴゴッ
突然、地面が割れた。
「何が起こった⁉︎」
「前方に敵がいます!!!」
そこには大柄な男がいた。
「俺は領主に雇われている護衛だ。」
「お前らは先に行け!こいつの相手は俺がする!!!」
そう言って、土槍を発動した。
しかし、殴られて壊された。
「こいつ、筋力がヤバイな…」
「お前の名前はなんだ?まずは戦う前に名乗るのは礼儀だろ。」
「・・・瞬だ。」
「そうか…俺の名前はハワーだ。」
(まずは相手の力量を確かめなければな…)
「『岩槍激流』」
大量の岩の槍がハワーを襲う。ハワーはアイテムボックスからハンマーを取り出して、一気に叩き潰した。
(こいつ、早くはないがパワーが桁違いだな!!!)
「この程度か?次はこっちから行くぞ!」
ハンマーを持ちながら振り回し始めた。
(一撃でも貰ったら終わりだな…ただ、敏捷が低いっぽいからなんとかなってるな。)
次々と振り回し、ドンドン、土を破壊して行く。
(こういう奴の対処方法はまずは動きにくくする。)
「『岩柱』」
岩柱
岩の柱を出す。
攻撃力は皆無。ただ、かなり頑丈。
次々と岩の柱を作っていく。敏捷が低いので岩の柱を壊すたびに速度が落ちていく。
(相手の得意分野で勝負したら負けるからな…少しでも、自分の得意分野で勝負しないと。)
そこら中に岩の柱が立ったら、次は相手の場所を土を使って探知する。そして、相手の場所を少し沈ませる。敵がバランスを崩したところに周りにある岩の柱が襲いかかる。
ハワーは岩の柱を迎撃をするためにハンマーで反撃する。ハワーは岩の柱に気を取られ、完全に瞬のことを忘れてしまった。
「『岩石降下』」
かなりの大きさの岩石がハワーの上から落ちる。岩の柱を迎撃することで一杯一杯だったために直撃を食らった。
(岩石がデカくなってるから俺も強くなってるんだな…)
早川 瞬 16歳 男
レベル110
体力:1650
魔力:1320
筋力:2475
敏捷:1980
耐性:1650
運:50
スキル
《剣術》《土属性》《身体能力強化》《加速》
(ただ、あれを食らったら間違いなく死んでる気がするんだが…)
未だに岩石が動かないので完全に潰れてるとしか、思えない。
(まぁ、いっか…もし、どけて生きていて反撃を食らったら元も子もないからな。)
そんな鬼畜なことを考えていた。
『練君、瞬君が制圧したって。』
『そうか…こっちもなんとか、全員の首輪を外し終わったところだ。』
『今は、ルーサクさんが領主をボコボコにしてるわ。』
『そうか…俺はこの後はどうしたらいい?』
『一旦、第一部隊に任せて経験を積ませるのもいいかもね。』
『じゃあ、こっちで見張って大丈夫そうなら帰るよ。』
『うん…待ってるから。』
『ああ。』
凛との通信が切れた。
「ユーア、あっちは終わったらしいぞ。」
「そうですか…では、ほとんど任務は終了ですね。」
「ああ…後は親が迎えにできる限り来て欲しい物だな。」
「はい…」
今は、商会に貰った家で保護をしている。そこには行方不明になった子供との再開を喜ぶ親や親が迎えに来るのを待つ子供や諦めてる子供や子供を探している親がいる。
この光景を見ていると余計、国を許せなくなる。ユーアは実験場にいたわけではないので、この光景を始めてみる。そのため、涙目になっている。
「ユーア、泣くなとは言わないが、部下達の前では泣くな。後で一人になった時に好きなだけ泣け。ただ、その気持ちを忘れるなよ。」
「・・・はい…団長はこの光景を見てどう思いますか?」
「救ってやって良かったという気持ちともっと早く、救ってやりたかったという気持ちだな。それ以外に何もないな。俺も親にはもう、会えないが、あんな小さい子供で親がいないっていうのは想像もできないから同情はしない。だから、もう泣かない。ただ、逃げ道くらいは作ってやりたいな…」
「そうですか…団長でも泣いたんですね。」
「まぁな…初めて実験場を破壊した時のメンバーで泣かなかった奴は一人もいないぞ。」
「じゃあ、ランシェさんやメルエールさんもですか?」
「ああ…特に、ランシェなんかは大変だった。自分にムカつき過ぎて訓練をしまくって…」
「なんとなく、想像ができます。どうしたら止まったんですか?」
「俺が思いっきり、ぶん殴ったら落ち着いたみたいだ。」
「そ、そうですか…」
「俺たちの進軍の速度が異常に速いと思わないか?」
「はい…初めは思いました。」
「一人でも多くの子どもを救うために努力してるのさ…みんながな。」
「そういうことですか…」
今も次々と子どもを親が連れて帰る。一人でも多くの子どもが帰るところがあることを祈りながら眺めるのだった。
「結局、三百人近くの子どもが残ったな…」
「はい…」
「ここからはユーアが指揮をとれ。」
「は、はい。わかりました。」
「じゃあ、この金を使え。」
そう言って金貨が大量に入った袋を渡した。
「こんな大金、初めて持ちました…」
「食費がかなりかかるからな…それにこれからはカタリナの税金も管理するんだから慣れといた方がいい。あと、クランに入りたい奴がいたら明日の昼頃に来るからその時に面談をするからよろしく。」
「はい。わかりました。」
「じゃあ、一旦、イゼリアに帰る。」
「気をつけて…」
「ああ。」
イゼリアに帰宅した。
「練君、おかえりなさい。」
「ああ…ただいま。」
「どうしたの?」
「いや、イゼリアの実験場を壊した時のことを思い出してな。」
「突然、どうしたの?」
「ユーアが初めて、見て泣きそうになっていたのを見てな。」
「私も泣いちゃったからね…」
「俺たちはやっていることが正しいはずなのにまだ、実感出来ていないってことだろうな。」
「うん。」
「これから、一回、寝る…」
「えっ⁉︎早くない?」
「夜に行動を開始して聖女のところに行って来る。」
「あんまり、無理しないでね。体、壊しちゃうよ。」
「大丈夫だ。本当に壊しそうだと思ったら凛が止めてくれ。」
「うん。」
「じゃあ、寝よっか?」
「なんで、お前も寝ようとしている。」
「だって、一人で夜に寝るのは寂しいじゃない?だったら、今から一緒に寝ちゃおうって作戦。」
「はぁ…好きにしろ。」
この時、練は凛に対してかなり甘くなったと思った。
日が落ちてからすぐに
「じゃあ、行って来る。」
「気をつけてください。」
「うん…」
「まぁ、練なら罠でも問題がないだろ。」
「そうですね。練君が対応できない場合ではない限り、ありえませんね。」
凛、シュハイツ、ランシェ、癒沙に見送られている。
「じゃあ、少しの間だが、留守番を頼むぞ。」
ユヤンドに向かった。
「思ったよりあっさり行けたな。」
練は今、ユヤンドの外壁を超えていた。見張りも少なく、それに寝てる奴もいるので、簡単だった。
(あれが教会か…)
王城ほどじゃないが、聖女が住んでいるということで見た目がデカイ。
(見栄を張りたいだけにしか、見えないが…とりあえず、どこにいるのか、わからないが、上の方から探すか…)
城の上の方に登って行った。
(それにしても、罠が多いな。無効のスキルを持ってなかったらヤバかったぞ。そういえば、俺、聖女の顔がわからない…)
完全な凡ミスをしてしまった。
(これはヤバイな。どうするか…ん?なんであそこのバルコニーの窓は開いてるんだ?まるで、ここに来いと言っているかのように…賭けだが行ってみるか。)
バルコニーに向かって跳んで行き、音も立てずに到着して様子を見ようとしたら
「ようやく、私の勇者様が来てくださいました。」
突然、中から綺麗な声が聞こえてきた。
「もう、そこにいるのはわかってるんですよ。入って来て構いませんよ。」
(バレているならもうしょうがないな。)
「・・・どうして俺が来るのに気づいた?」
「そこを開けておくとあなたが入って来るって予知してましたから。」
「なるほど、スキルか…」
「はい。」
「それでお前が聖女か?」
「はい。レティシア・ツィツィーと申します。」
そこには法衣を着ている金色の髪をしている子がいた。髪の毛は長く、頭が動くたびにキラキラ輝いている。日本で染めている感じではなく、本物のようだ。顔は本当にこんなに綺麗な子がいるのか、とびっくりするほど、綺麗だった。流石、教会によって大量や集められた中、数千倍の倍率で選ばれた聖女だけのことはある。
「俺はクランのリーダーの練だ。そっちの言い方をするなら革命軍の団長だ。まぁ、俺が主犯だな。」
「まさか、トップの人が来るとは思いませんでした。」
「流石に誰か来るのはわかっていてもその人のことまではわからないみたいだな。」
「そこまで、未来予知は便利ではありません。」
「それで、教会の証拠はどこにあるんだ?」
「はい。これです。」
レティシアはアイテムボックスの中から紙束を取り出した。そこには王印と大司教の印が書いてあった。
「なるほどな。これは本物みたいだな。」
「はい。では、行きましょうか。」
「はっ?」
「あなた方の本部に私を連れてってくれるんですよね?」
「なんで、そうなるんだ?」
「実は、私はこのまま、ここにいると暗殺者に殺されてしまうんですよ。だから、私のことを連れ去ってくれませんか?」
「・・・」
(これは難しいな。正直、こいつの言っていることが正しいとは思うが嘘の可能性もある。だが、証拠は手に入った。ここで無理をする必要性があるのかわからない。)
「あと、ここから五分以内に出ないとあなたは見つかりますよ?」
ニコニコしながら言ってきた。
「どういうことだ?」
「今、未来予知をしたらそうなりました。」
「お前を連れて行くとどうなる?」
「見つかりませんね。」
「連れて行かなかったらどうなる?」
「五分以内なら見つかりませんね。」
「はぁ…じゃあ、着いて来い。」
「はい!!!」
ニコニコしながら、飛びついて来た。
「お姫様抱っこでお願いしますね。」
「なんでだよ…」
「その方が私が嬉しいからです。」
「はぁ…」
ため息をついて、レティシアをお姫様抱っこしてやった。
「ああ…もう、幸せ過ぎて死んでも良いです。」
「まだ、脱出すら終わってないぞ。」
「こんな、小説のように連れ去られるのは女の子の夢なんです。」
「そうか…声を出すなよ。」
「はい!!!」
それから俺の首に腕を回して来て抱きついて来た。それから地上まで落ちた。それから外壁まで家の上を走っていた。
「こんなにドキドキするのは初めてです。」
「バレたらシャレにならんからな。」
「はい。それに練様の心臓もスゴイです。」
「当たり前だ。こんなこと、初めてだからな。まさか、誘拐するとは思わなかったぞ。」
「それは仕方のないことです。私はあなたの妻になりますから。」
「・・・おい、どういうことだ?」
「未来予知でそうなっています。将来、たくさんの子どもを産むことになるそうです。」
「嘘だろ?」
「いいえ。本当です。」
「凛になんて説明したら、良いんだ…」
そんなことを考えながら移動していた。
「これはどういうことですか?」
シュハイツが驚いている。
「成り行きでこうなったんだ。」
「言ってる意味がわからないんですが…」
「では、あれは止めなくて良いんですか?」
「いや、止めようとしたら、黙ってろって言われたんだ。」
今、凛とレティシアが揉めてる。
「あなたは何なのよ⁉︎」
「私は練様の妻になる予定の女です。」
「どういうこと⁉︎」
「未来予知で練様の妻になることがわかっていました。」
「その未来予知は嘘じゃないの⁉︎」
「外れたことが一度もありません。」
「私が絶対に許さないから妻になることはありえないわ!!!」
「はぁ…胸と一緒で器も小さいなんて練様がかわいそうです。」
「私の胸はそんなに小さくないわよ!!!」
そこでレティシアが凛のと見比べて笑った。凛もDはあるだろう。しかし、レスティアはEは確実にある。
「ふっ」
「胸は大きさより形の方が大切なのよ!」
「負け犬の遠吠えにしか、聞こえませんよ?それに形でも負けませんし…」
レティシアは聖女に選ばれただけあって、かなり綺麗だ。正直、その辺にいる子だと天と地ほどの差がある。凛でさえ、うろたえている程なのだ。個人的には凛はすごく、綺麗だと思うが、今回は相手が悪すぎる。大陸中にある教会が最もふさわしいと思った者が選ばれるのだから…
「うう〜 練君…」
凛が抱きついて来た。
「レティシアもそんなにいじめるな。」
「なら、私と結婚してください。」
「それはまた今度な。今はユヤンドのことで頭がいっぱいだ。」
「わかりました。ユヤンドが終わったらちゃんと話し合いましょう。」
「ああ…」




